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US機がハドソン川に不時着=1月15日、NHKニュースより
ニューヨークで15日に乗員乗客155人を乗せてハドソン川に不時着したUSエアウェイズ1549便。操縦桿を握っていた機長の的確な判断と行動で、機体水没まで約1時間というわずかな時間内に全員が救出されました。この予期せぬ事故と機長の対処を見ていて、旅客機の構造や運航訓練などについて分かったことがいくつかあります。その中から、今回は次の4つについて解説してみましょう。

── Page Index ──
【その1】 旅客機運航の敵、バードストライク
【その2】 双発機と4発機はどっちが安全?
【その3】 ブラックボックスが真相を語る
【その4】 フライトシミュレーター訓練の意味
【最後に】 旅客機の疑問をもっと解消するために



事故のニュースが教えてくれたこと──その1
旅客機運航の敵、バードストライク


ハドソン川に不時着水したUSエアウェイズのエアバスA320は、ニューヨークのラガーディア空港を離陸して間もなく、鳥の群れに衝突して双方のエンジンが故障したとみられています。離陸から数分後、コクピットからニューヨークの管制官に「鳥にぶつかって両エンジンがやられた」との連絡が入りました。

では、鳥が機体やエンジンに衝突するというのは、どれくらい危険なものなのでしょうか。これは「バードストライク」と呼ばれ、ほんの小さな鳥であっても、高速で飛行する旅客機にぶつかるときの衝撃は相当なものです。バードストライクが原因で墜落したという報告事例は少なくありません。バードストライクはとくに離陸時や着陸時の低い高度で起こりやすく、各地の空港の関係者たちはいつも頭を悩ませています。

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空港周辺の鳥には要注意 (c)Yoshiyuki Oguri

旅客機にとってやっかいな存在である鳥を、どうやって滑走路周辺から追い払うか。空港では、これまでさまざまな対策を講じてきました。その具体策の一つが、鳥の活動時間帯である日の出から日没にかけての、1日数回にわたる空港内パトロールです。鳥にはいろいろな種類があり、行動範囲も違いますが、まずは旅客機の運航に危害をおよぼしそうな種類の鳥を徹底調査。パトロール隊は散弾銃を持ち歩き、空砲で大きな音を鳴そしてそれらの鳥を追い払います。

とくに関西国際空港や中部国際空港は、海上に建設されているという立地上の特性から、鳥にとっては良好な餌場になっているようです。2007年8月にオープンした関空の第2滑走路の建設現場を視察で訪ねたときは、コアジサシなどの希少鳥が群れを成して飛来していました。双眼鏡を覗くパトロール隊の一人に聞いてみると、空港周辺に集まってくる鳥の数は数千羽という単位にもなるそうです。

空港関係者によると、バードストライクをなくす決定的な対策はありません。現在のところは、散弾銃を持った“鳥撃ち名人”たちによる、毎日の地道なパトロール活動を続けていくしか方法はないようです。


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