航空券/航空券関連情報

US機着水事故でわかった旅客機のヒミツ(2ページ目)

ニューヨークで15日に乗員乗客155人を乗せてハドソン川に不時着したUSエアウェイズ1549便。この予期せぬ事故と機長の対処を見ていて、旅客機の構造や運航訓練などについていくつか分かったことがありました。

執筆者:秋本 俊二

事故のニュースが教えてくれたこと──その2
双発機と4発機はどっちが安全?


旅客機は、片方のエンジンが破損しても飛行できるように設計されています。しかし、双方のエンジンが同時に故障するというのは、きわめて稀なケース。鳥との衝突によって両方のエンジンが壊れたことが連邦運輸当局の調査で事実と確認されれば、今回のUSエアウェイズの事故は米航空史上でも初めての事例となるかも知れません。

エアライン業界では近年、左右の主翼に1基ずつのエンジンを搭載した双発機が主流になっています。左右の主翼に2基ずつ計4基のエンジンを装備した4発機も大型機では見られますが、燃料費の高騰が続くなか、エンジンの数が多ければそれだけ燃費や整備コストがかさんでしまう。そんな理由から双発機を主力に据えるエアラインが増えました。

ですが、4発機はもう時代遅れなのかというと、そうではありません。パイロットによっては「操縦していても、4発機のほうがやっぱり安心ですよね」と話す人が少なくないのです。

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ルフトハンザも大型4発機A380を導入 (c)Lufthansa

理由の一つは、双発機は長時間の洋上飛行が禁止され「常に60分以内の場所に代替着陸場のある経路を飛行しなければならない」という規定があること。現在は信頼性が実証されれば「60分」という時間を最大「207分」に延長することが認められ、双発機でも大西洋や太平洋を横断する路線にも投入されるようになりました。しかし、たとえばフライト中に片方のエンジンにトラブルが発生した場合に、定められた制限時間内に速やかにどこかの代替空港に着陸しなければなりません。そうなれば利用者の旅のスケジュールが大幅に狂うことになり、またエンジンに大きな損傷が見つかれば、その場で別のエンジンに交換しない限り再び目的地へ向けて飛び立つことはできないのです。

その点、エンジンを4基搭載している機種であれば、半分の2基が機能しなくなるというケースは極めて低い確率になります。4発機ならたとえエンジン1基が停止しても、残っている3基のエンジンでそのまま目的地に向かうことが可能です。4発機に対するコクピットクルーたちの評価が高いにも、そこに大きなメリットと信頼性を感じているからでしょう。

4発機としては現在、ジャンボ機の愛称で親しまれているボーイング747と、エアバスの長距離路線用機材であるA340、そして2008年5月から日本にも就航したエアバスのオール2階建て機A380の3機種が活躍を続けています。


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