航空券/航空券関連情報

US機着水事故でわかった旅客機のヒミツ(3ページ目)

ニューヨークで15日に乗員乗客155人を乗せてハドソン川に不時着したUSエアウェイズ1549便。この予期せぬ事故と機長の対処を見ていて、旅客機の構造や運航訓練などについていくつか分かったことがありました。

執筆者:秋本 俊二

事故のニュースが教えてくれたこと──その3
ブラックボックスが真相を語る


アメリカのNTSB(国家運輸安全委員会)は現地時間の1月16日現在、不時着のあとになくなったとみられるエンジンやブラックボックスの回収を急ぐなどして事故原因の調べを進めています。ブラックボックスが回収されれば、より確かな事故原因の究明につながるでしょう。

ところで、よく耳にするこの「ブラックボックス」とは、どのようなものなのでしょうか。

ブラックボックスという言葉は「ボイスレコーダー(CVR=操縦室音声記録装置)」と「フライトレコーダー(FDR=飛行データ記録装置)」の総称として使われているもので、正式な用語ではありません。しかしニュース番組などの影響で、一般の人たちにもよく知られる言葉になりました。

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コクピット内でのクルー同士の会話はすべて記録される (c)Yoshiyuki Oguri

ボイスレコーダーには、機長や副操縦士の無線による地上との交信や、コクピット内でのクルー同士の会話、さらには騒音や背景音などまでがエンドレステープやICメモリにすべて記録されます。これに対して、事故前の詳しい飛行状況を解明するために必要不可欠なデータを記録するのがフライトレコーダーです。高度、対気速度、機首方位、垂直加速度、経過時間などの飛行データが、磁気テープにダイヤモンド針で刻み込まれていきます。

ブラックボックスはとても頑丈にできていることも大きな特徴で、機体が炎上する激しい事故でも、ブラックボックスが壊れたというケースはほとんどありません。ボイスレコーダーもフライトレコーダーも、墜落時の衝撃や火災の高温から護られるよう、耐熱・耐衝撃構造の丈夫なカプセルに収められています。さらに水深6,000メートルの海底に沈んでも、海水の浸入を許さず、その水圧に耐えられる構造になっています。また爆発・炎上して機体が砕け散り、ブラックボックスが海中に水没しても、ブラックボックスは強い衝撃を受けてから30日間にわたって位置を知らせるための信号を発信しつづけるため、ほぼ100%回収できるのです。


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