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できるエンジニアになる(上流SE編)(2ページ目)

今回は、SEからさらにスキルアップして、企業の経営戦略や情報化戦略を策定できる、「上流SE(システムエンジニア)」なる条件などをご紹介します。

執筆者:坂田 岳史


上流SEに必要なスキルと資格上流工程を支援するためには、次のスキルが必要でしょう。

■経営的・業務的知識
企業経営に必要な基本的知識として、人・もの・金・情報(いわゆる経営資源)に関する知識が必要です。人とは人材マネジメントです。どのように人を教育・育成するか、その為にはどのような評価制度が適切かなどの知識です。ものとは生産設備などです。ものを作るためにどのよう設備が必要で、その設備を使えばどれくらいの効率化ができるかなどの知識です。金は会計・財務の知識です。これには財務会計と管理会計があります。財務会計は決算書を作るための会計処理であり、最終的には税理士や会計士が担当しますが上流SEとしては概略程度は知っておくべきです。また、管理会計は製品や担当者ごとの収益などを独自に管理するもので、経営活動の意思決定に利用されます。またこれらの知識の他に、業界の知識や経済動向、社会情勢(環境問題や少子化問題など)なども理解している必要があります。経営戦略を策定するためには、非常に幅広い知識が求められます。

■問題発見・解決能力
経営戦略は知識だけでは策定できません。様々な企業環境を分析しそれを元に、現在何が問題であり、それを解決するための課題の設定、課題解決の方法などを導く必要があります。これらの能力は教科書的につけることは難しいでしょう。ある意味経験を積むことが重要となります。

■コミュニケーション能力
経営戦略策定においては、経営者層、経営幹部とコミュニケーションをとる必要があります。経営者は経営のプロですが、必ずしも必要な能力を持っているとは限りません。その場合、経営環境分析の結果を分かりやすく説明する必要があります。また、経営者というのは思いこみ(自分はこうするんだ)があることがあります。それが正しければいいですが、リスクが大きい場合は説得する必要もあります。このように、経営戦略づくりは机上だけの作業でなく、人と人とのコミュニケーションにより策定され認知されていくのです。

上流SEとして仕事をするためにはこのようなスキルが必要ですが、これらのスキルを身につけるためには、勉強や経験が必要です。しかし、自学自習をするのも難しいでしょう。その場合、次の資格を取得することで上流SEのスキルが身につく(或いはベースができる)と思われます。

中小企業診断士
経営的な知識全般を身につけることができます。また試験では事例を使った記述問題もあるため、ある程度経営的課題を解決するための知恵も必要になります。さらに、2次試験合格後は実習もあり、ある程度実践的な経験を積むこともできます。

ITコーディネータ
ITコーディネータは経営とITを橋渡しする人材として創設されました。資格を取得するためには筆記だけでなく、15日間の研修を受けます。研修では経営戦略策定から情報化戦略策定、システム開発・運用までの支援を擬似体験できます。ある意味、上流SEに向いていると資格といえるでしょう。

システムアナリスト
高度情報処理技術者試験の中の1つで、経営戦略から情報化戦略策定までを支援できる人材を想定した試験です。ただし筆記試験だけで実習や研修はありません。

今回は、上流SEの仕事や必要なスキルについてご説明しました。現在、SEとして仕事をされている方は、スキルアップして上流SEに挑戦してみませんか。

<関連リンク>
エンジニアからコンサルタントへ
できるエンジニアを目指す(プログラマ編)

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