かつて多くの企業には、単独または業種別の団体として、国の厚生年金に独自の給付を上乗せする目的で「厚生年金基金」がありました。その後の経済状況の変化により、現在では多くの基金が解散したり、別の制度に移行したりしています。
もらい忘れの多い「厚生年金基金」の仕組みと加入履歴の確認方法について、社会保険労務士でAll Aboutマネーガイドの拝野洋子さんが分かりやすく解説します。
「数年で辞めた」「基金が解散した」そんな場合も支給されます!
「厚生年金基金? 若い頃に数年勤めただけだから、年金なんて出ないはず」「あの会社はもうないし、基金も解散したと聞いた」――そう思って諦めている方が非常に多いのですが、実はここに大きな落とし穴があります。
厚生年金基金に加入していた人が短期間で退職(中途脱退)した場合や、加入していた基金自体が解散した場合でも、その年金の原資や記録が消滅するわけではありません。
多くの場合、それらの記録と資金は「企業年金連合会(旧:厚生年金基金連合会)」という組織に引き継がれ、一元管理されています。つまり、何度転職を繰り返していても、会社がなくなっていても、企業年金連合会があなたの大切な年金記録を預かってくれている可能性が高いのです。
最大の注意点:年金事務所では手続きできない「請求主義」
ではなぜ、厚生年金基金の年金が「もらい忘れ」になり得るのでしょうか?
厚生年金基金とは、国の老齢厚生年金の一部を肩代わりする「代行部分」に、基金独自の上乗せをして支給する制度です。法改正で多くの基金が解散しましたが、日本年金機構とは異なる組織である「企業年金連合会」(旧厚生年金基金連合会)から支給されるのです。
また、会社を退職後、氏名・住所が変わっても、旧厚生年金基金(現企業年金連合会)に連絡しなかった方は多いことでしょう。この場合、請求書などの郵送物が届いていない可能性があります。
65歳(または特別支給の老齢厚生年金の受給年齢)になって年金事務所で国の年金の手続きをしても、企業年金連合会が管理している基金の年金は自動的には振り込まれません。あくまで自分から企業年金連合会に請求手続きをしないと、1円も受け取ることができない「請求主義」なのです。
あなたの「厚生年金基金の記録」を確認する3つの方法
自分に企業年金連合会(旧厚生年金基金連合会)から受け取れる年金があるかどうか、以下の方法で確認してみましょう。
1. 企業年金連合会のホームページで検索する
最も確実で手軽なのが、企業年金連合会の公式Webサイトにある「記録の確認」サービスです。ご自身の「基礎年金番号」などを入力するだけで、連合会にあなたの記録が引き継がれているかどうかを簡単に検索できます。企業年金連合会に電話をして記録を確認することもできます。
企業年金連合会から封筒やハガキで「年金請求書」などの案内が届くことがあります。「DMだろう」と勘違いして捨ててしまったり、実家に眠っていたりしないか、思い返してみてください。
2. 「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」の加入履歴を見る
まずは、お手元にある「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で過去の加入履歴を確認してください。
厚生年金保険の加入記録の横や備考欄などに「基金」という文字があれば、かつて加入していた証拠です。ちなみに「ねんきん定期便」では、企業年金連合会から支払われる代行部分と年金機構から支払われる老齢厚生年金が合計されています。
3. 年金事務所や街角の年金相談センターで見込み試算をしてもらう
厚生年金基金は、法改正で多くの基金が解散しましたが、平成26年3月以前の解散なら代行部分は「企業年金連合会」から支給されます。同年4月以降の解散では国から支給されますが、残余財産(上乗せ分など)は「企業年金連合会」から受け取れる場合があります。
年金事務所で見込み試算をとってもらうと一番下に、老齢厚生年金の一部である代行部分がいくらか、または、ゼロ円であるかがはっきり記載されています。
厚生年金基金加入者の年金は、年額数千円から数十万円
老後の資金計画を立てる上で、年額数千円~数十万円の上乗せは非常に大きな意味を持ちます。
「もしかして?」と少しでも心当たりがある方は、年金見込み額を年金事務所に確認してもらって疑問に感じた場合、企業年金連合会のホームページでご自身の記録を確認してみましょう。







