年金に満額(上限)はあるのか

公的年金はリタイア後の収入の柱になるものです。したがって、誰しも1円でも多く年金を受け取りたいと思うのが人情かもしれません。

たまに、「年金って最大でいくら受け取れるものなんですか?」という質問を受けることがあります。そもそも公的年金に「上限(満額)」は存在するのでしょうか。

国民年金(老齢基礎年金)の満額は78万100円

昭和61年までは全員が加入する制度ではなかったため、満額を受け取っている人は案外少ない

昭和61年までは全員が加入する制度ではなかったため、満額を受け取っている人は案外少ない

まず、国民年金から支給される老齢基礎年金の受給額についてです。答えは「ある」。その額は78万100円(平成27年度)です。

基礎年金は日本国内に住所があると、20歳から60歳まで強制的に加入(保険料を支払う)することになります。その間、滞納や免除期間がない限り、全員がこの満額を受け取ることになりますので、満額というより「定額」といったほうが正しいかもしれません。

年金の満額は毎年変わる

この満額は前年の物価や賃金の変動をもとに決まるため、毎年変動しています。平成16年以降は78万900円を基準として、これに毎年度の物価や賃金の変動を加味した改定率を乗じて計算されています。

ちなみに昨年(平成26年度)は77万2800円でしたから、7300円アップしたことになります。

国民年金のスタート時に比べて保険料は100倍、年金額は32倍

では、国民年金がスタートした昭和36年時点での老齢基礎年金の満額はいくらだったか、想像がつきますか?

答えは2万4000円です。一方、保険料はたったの150円(35歳未満は100円)だったのです。平成27年度の保険料は1万5590円ですから、年金額は約32倍になったのに保険料は約100倍と、保険料の上昇が目につきますね。

老齢基礎年金の満額を受け取るための要件

満額を受け取るには、20歳から60歳までの40年間、

1. 保険料を納めている
2. 会社員、公務員であった、
3. 第3号被保険者(会社員の妻)であった

のいずれかである必要があります。この40年間の中で、保険料を滞納もしくは免除されていると、その期間分が減額されます。

ただ、40年の期間が足りない場合、要件はありますが、滞納や免除期間についてさかのぼって納付したり、60歳以降任意加入したりすることにより、満額(に近づける)ことも可能です。

基礎年金額の推移で見えるもの

先ほど、制度スタート時の満額が2万4000円だと説明しました。その後の推移をみると、

昭和48年 24万0000円
昭和51年 39万0000円
昭和55年 50万4000円

と高度経済成長時にかけて満額も大幅アップしていることがわかります。そして、さらに平成に入っても上昇は続きます。

平成元年 66万6000円
平成6年 78万0000円
平成11年 80万4200円

この80万4200円というのが、今までの満額の中での最高額です。その後、デフレとともに年金額が微減していき、現在(平成27年度)の78万100円という流れになります。

ただ、物価の下落にともない多少減ってはいるものの、国民年金(基礎年金)については、抜本的な改悪は行われていないことがわかります。

老齢厚生年金に満額はない!?

一方、会社員が加入する厚生年金(老齢厚生年金)には満額というものは存在するのでしょうか?

老齢厚生年金は、加入期間と加入期間中の平均給料によって決まります。加入期間が長ければ長いほど、平均給料が高ければ高いほど年金額が多くなる仕組みです。したがって、「満額」という概念はありません。

ただ、加入期間については70歳という上限がありますし、平均給料についても、月額給料が62万円、1回の賞与が150万円という上限が設けられています。加入期間とは、「会社員であった期間」を指します。

極端な話、中学を卒業してから70歳までずっと給料と賞与が上限だというのが「満額」と言えるかもしれません(「上限」という言い方が正しいのでしょうが)。仮に、こういった人がいるとして計算すると、現在の計算方法で年300万円ぐらいになると思われます。ただ、そんな人はほとんどいないでしょうが……。

やはり、「満額」という概念は老齢基礎年金にのみあるものといえます。

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