暮らしの歳時記

なぜ祝日がない? 6月が日本人にとって「最も疲れる月」になったワケ【歳時記の専門家が解説】

どうして6月は祝日がないのでしょう? その理由とともに、6月が「最も疲れる月(6月病)」と言われる原因や、今後新しく誕生するかもしれない祝日候補を「暮らしの歳時記」ガイドの三浦康子が解説します。※画像:PIXTA

三浦 康子

三浦 康子

暮らしの歳時記 ガイド

和文化研究家、ライフコーディネーター。わかりやすい解説と洒落た提案が支持され、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、ウェブ、講演、商品企画などで活躍中。様々な文化プロジェクトに携わり、子育て世代に「行事育」を提唱している。著書、監修書多数。

...続きを読む
6月に祝日がない理由とは? ※画像:PIXTA
6月に祝日がない理由とは? ※画像:PIXTA

5月の大型連休が終わり、気づけば次の祝日は7月までお預け。「どうして6月は祝日がないのだろう」。そう感じたことのある人は多いはずです。

実は現在、年間を通して祝日がないのは6月と12月(※2019年以降)だけ。12月は冬休みがあるのに対し、6月は祝日ゼロで中休みがないため、日本人にとっては体感的に「最も疲れやすい月」とも言えます。歴史・文化・季節が複雑に絡み合った意外な背景を持つ“祝日ゼロの6月”について、「暮らしの歳時記」ガイドの三浦康子が分かりやすく解説します。

目次

6月は祝日が生まれる“条件”がない

現在、日本の年間カレンダーの中で国民の祝日が存在しないのは6月と12月(2019年の天皇退位以降、平成時代の「天皇誕生日」であった12月23日は祝日ではなくなり、平日になりました)。12月には年末の休みや冬休みが控えているため、実質的に平日の勤務・通学日数が減りますが、6月はそのようなことがありません。どうして6月は祝日がないのでしょう?

理由1. 祝日が生まれる“条件”に当てはまらなかった

日本の祝日は、次のような「意味のある日」をもとに制定されてきました。

  • 農耕儀礼の節目
  • 四季の転換点(春分・秋分など)
  • 皇室の祭祀や誕生日
  • 国家の記念日
  • 国民的な願いを象徴する日(平和、こども、敬老など)

ところが、6月には祝日の由来となる伝統行事・歴史的記念日がほとんど存在しなかったという、極めてシンプルな事情があります。

理由2. 農耕儀礼の“谷間”にあたる月だった

日本の暦は農耕と密接に結びついていました。

  • 春分:種まきの準備
  • 秋分:収穫の節目
  • 新嘗祭:収穫感謝、など

ところが6月は、田植えが終わり、収穫するにはまだ早い“中間期”。農耕儀礼としての大きな節目がないため、祝日候補になりにくかったのです。

理由3. 皇室行事にも重要日がない

祝日の多くは、皇室の祭祀や誕生日に由来します。ところが、6月には伝統的に大きな皇室祭祀がありません。そのため、明治以降の祝日制定でも「6月に特別な日がない」という状況が続きました。

理由4. 梅雨で大規模行事が少なかった

6月は梅雨の真っ只中。古来、屋外の祭りや行事が少ない季節でした。祝日は「行事のある日」が選ばれやすいため、季節的にも“不利だった”という側面があります。

過去にもあった「6月の祝日制定」に向けた構想

実は、6月に祝日を作る提案や構想は過去に何度もありました。

  • 国連による国際的な記念日「環境の日」(6月5日)を祝日に
  • 「時の記念日」(6月10日)を祝日に
  • 「父の日」(6月第3日曜)を祝日に
  • 梅雨休みを作ろう、など

しかし、いずれも実現には至りませんでした。

6月は日本人が“最も疲れる月”と言われる理由

6月に祝日がないのは、歴史的・文化的な偶然の積み重ねによるものです。一方、6月は心身の不調が出やすい月として知られています。

  • 5月の連休明けで疲労が蓄積
  • 気圧の変動が大きく、体調を崩しやすい
  • 湿度が高く、睡眠の質が下がる
  • 新年度のストレスがピークに達する
  • 祝日ゼロで“中休み”がない、など

こうした要因が重なり、「6月病」という言葉まで生まれました。

もし6月に祝日を作るなら?

6月になると「6月に祝日を作るなら?」という話題がでてきます。候補として挙がりやすいのは、これまでの祝日構想と一部重複する以下のような案です。

  • 環境の日(6月5日)
  • 時の記念日(6月10日)
  • 父の日(6月第3日曜)
  • 夏至(年によって6月21日前後)
  • 夏越の祓(6月30日)
  • “心の健康の日”のようなウェルビーイング系祝日

特に「環境の日」は国際的な記念日であり、日本でも「環境基本法」で“環境の日”として位置付け済みなので、祝日化の理由付けがしやすく、最も現実的だと言われています。

直近の例としては、2016年に「山の日」(8月11日)が制定されています。近い将来、6月にも新しい祝日がお目見えする日が来るかもしれません。それまではカレンダーに祝日の赤文字がないからこそ、意識的に自分だけの「中休み」を作って、この季節を健やかに乗り切っていきたいですね。

  • 1
  • 2
  • 次のページへ

あわせて読みたい

カテゴリー一覧

All Aboutサービス・メディア

All About公式SNS
日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
公式SNS一覧
© All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます