年金

国民年金保険料「未納」だけは避けて!免除・納付猶予・学生納付特例の仕組みを解説

「年金を払っていない期間があると、将来どうなるのだろう?」と不安に思う方もいるでしょう。年金保険料免除・納付猶予制度や学生納付特例制度の仕組みと、それぞれのメリット・デメリットについてお話しします。※サムネイル画像:PIXTA

拝野 洋子

拝野 洋子

年金・社会保障 ガイド

社会保険労務士

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国民年金の免除・納付猶予・学生納付特例制度とは?

令和8年度の国民年金保険料は月額1万7920円です。決して安い額ではありません。
 
転職活動中や、自分や家族が病気療養中、あるいは学生時代など、国民年金保険料の支払いが経済的に厳しい時期もあるでしょう。
 
そんなときに利用できるのが、国による年金保険料の「免除」「納付猶予」「学生納付特例」の制度です。

まず、国民年金は20歳から60歳まで40年、年金保険料月額1万7920円(令和8年度金額)を支払うと、満額の老齢基礎年金は年額84万7300円(令和8年度金額)です。

では、免除、納付猶予、学生納付特例の場合は保険料をいくら払い、いくら年金をもらえるのでしょう。年金額は平成21年4月以降の、国からの補填率2分の1(平成21年3月以前は3分の1)で計算してみましょう。

全額免除:
保険料の全額を支払わない。法定免除と申請免除がある
満額年金額の2分の1:年額42万3650円

4分の3免除:
保険料の4分の1だけ支払う(納める保険料月額4480円)
満額年金額の8分の5:年額52万9563円

半額免除:
保険料の半分を支払う(納める保険料月額8960円)
満額年金額の8分の6:年額63万5475円

4分の1免除:
保険料の4分の3を支払う(納める保険料月額1万3440円)
満額年金額の8分の7:年額74万1388円

納付猶予:
20歳から50歳までの人で本人・配偶者の前年所得が一定額以下の人
納付猶予期間は、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金を受け取るために必要な受給資格期間にカウントされますが、年金額には反映されません。

学生納付特例:
学生期間中の年金保険料支払いを猶予(後回し)にする
学生納付特例期間は、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金を受け取るために必要な受給資格期間にカウントされますが、年金額には反映されません。

年金保険料免除・納付猶予・学生納付特例制度のメリット

年金保険料の支払いが厳しいとき、「未納(何の手続きもせずに放置すること)」と「免除・猶予の承認を受けること」は、似ているようで天と地ほどの差があります。免除・猶予の手続きをすることで得られるメリットを3つ挙げてみます。

メリット①:
万が一のとき「障害年金・遺族年金」の保険料納付要件を満たせる
これが最大のメリットです。免除や納付猶予・学生納付特例の手続きをその都度しておけば、万が一、病気やケガで障害が残ってしまったときや死亡など不幸があったときに「初診日や死亡日に保険料納付要件を満たしている」とみなされ、障害年金や遺族年金を受け取る権利が守られます。

未納のままだと「保険料納付要件を満たさない」と障害年金・遺族年金を請求すらできないリスクがあります。

メリット②:
老齢年金をもらうための「受給資格期間」にカウントされる
老齢基礎年金をもらうためには、原則として「10年間(120カ月)」の受給資格期間が必要です。免除や納付猶予・学生納付特例を受けていた期間は、この10年の中にしっかりとカウントされます。

メリット③:
税金(国庫負担)により、払っていない金額分も老齢年金額に反映される
免除が承認された場合、ご自身で保険料を払っていなくても、税金から一定額が将来の年金額に反映されます。例えば「全額免除」であっても、将来もらえる年金額はゼロではなく、満額納付した場合の「2分の1(半分)」(平成21年3月以前は1/3)は老齢基礎年金が支給される仕組みです。

免除・納付猶予・学生納付特例のデメリット(注意点)

一方で、制度を利用する上で理解しておきたい注意点もあります。

デメリット①:
満額の保険料を支払った場合と比べると、老齢年金受給額は少なくなる
国庫負担による上乗せがあるとはいえ、全額納付した人に比べると、将来受け取る老齢基礎年金の額は少なくなります。

デメリット②:
納付猶予・学生納付特例期間は「年金額には反映されない」
学生納付特例は、あくまで支払いの「猶予(先送り)」です。そのため、受給資格期間(10年)にはカウントされますが、免除制度のような国庫負担(税金による補てん)はありません。つまり、後から支払わない限り、猶予期間中の年金額は「0円」として計算される点には注意が必要です。

余裕ができたら検討したい「追納」

免除や猶予を受けた期間の年金保険料は、10年以内であれば後からさかのぼって支払うことができます。これを「追納(ついのう)」と呼びます。

追納をすると、その期間は「全額納付」したことになり、将来の年金額を増やすことができます。さらに、追納した金額はその年の「社会保険料控除」の対象になるため、所得税や住民税が安くなる可能性があります。

免除を受けた翌年度から起算して3年度目以降に追納すると、当時の保険料に少額の「加算額(利息のようなもの)」が上乗せされます。

年金保険料の免除・納付猶予、学生納付特例は必ず手続きを!

国民年金保険料の免除・猶予、学生納付特例制度は、私たちの生活を守るための大切なセーフティーネットと言えます。「未納」のまま放置するのだけは避け、必要なときに必ず年金事務所に来所、郵送またはマイナポータルで手続きをしましょう。2年1カ月前まで遡及して手続きすることができます。

その上で、将来の年金額を少しでも増やしたい、節税メリットを受けたいと考えたときには「追納」を検討しましょう。ご自身のライフスタイルや資金状況に合わせて、柔軟に制度を活用していきましょう。

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