住民税非課税世帯には、給付金の支給、介護保険料負担の軽減や医療費負担の軽減など、さまざまな社会的支援があります。所得が少なくとも安心して生活できるよう、手厚いサポート体制が敷かれているのです。
しかし、一方で「多額の貯金があっても、年金が少なければ非課税世帯として優遇されるの?」という疑問の声も聞かれます。今回は、住民税非課税世帯の判定に「資産」は関係するのか、そして気になる60代・70代の資産の実態について解説します。

そもそも「住民税非課税世帯」になる条件とは?
まず前提として、住民税非課税世帯とは、世帯全員の住民税が非課税である世帯を指します。この場合、住民税の所得割・均等割のいずれも非課税であることが要件です。
該当するには、以下のいずれかの条件を満たすことが必要です。※東京23区の場合。
・生活保護法による生活扶助を受けている
・障害者、未成年者、寡婦、ひとり親で、前年の合計所得金額が135万円以下
<同一生計配偶者または扶養親族がいる場合>
・前年の合計所得金額:35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下
例:夫65歳以上・妻扶養。夫が年金収入のみなら211万円以下
<同一生計配偶者または扶養親族がいない場合>
・前年の合計所得金額:45万円以下
例:65歳以上。年金収入のみなら155万円以下
お住まいの自治体(級地)によって多少前後するため、正確な数字は市区町村の窓口やWebサイトで確認しましょう。
住民税非課税の判定に「金融資産」は関係ある?
住民税非課税かどうかの判定において「保有している金融資産の額」は関係ありません。
住民税はあくまで「前年の所得」に対して課される税金です。そのため、たとえ銀行に3000万円以上の貯金があっても前年の「所得(年金所得や給与所得など)」が基準以下であれば、住民税非課税世帯に該当します。
60代・70代の金融資産保有額は?
では、実際にシニア世代はどの程度の資産を持っているのでしょうか。金融経済教育推進機構の「家計の金融行動に関する世論調査2025年」から、その実態を見てみましょう。
●60代の金融資産「3000万円以上」の割合は?
60代の金融資産保有割合の上位3位は以下の通りです。
【単身世帯】
・1位:金融商品非保有……30.4%
・2位:3000万円以上……15.6%
・3位:100万円未満……9.1%
60代単身世帯の金融資産保有額の平均は1364万円。中央値は300万円です。
【二人以上世帯】
・1位:3000万円以上……27.2%
・2位:金融商品非保有……12.8%
・3位:2000万~3000万円未満……12.4%
二人以上世帯の場合、平均額は2683万円、中央値は1400万円となっています。
●70代の金融資産「3000万円以上」の割合は?
70代になっても、多額の金融資産を保有し続けている世帯が一定数存在します。
【単身世帯】
・1位:金融商品非保有……20.4%
・2位:3000万円以上……17.5%
・3位:100万~200万円未満……8.1%
70代単身者の金融資産保有額の平均は1489万円。中央値は500万円です。
【二人以上世帯】
・1位:3000万円以上……25.2%
・3位:2000万~3000万円未満……12.3%
・2位:1000万~1500万円未満……11.1%
二人以上世帯の場合、平均額は2416万円、中央値は1178万円となっています。
この調査の金融資産には、預貯金以外に株式や投資信託、生命保険などが含まれています。また、日常的な出し入れ・引き落としに使用される普通預金の残高は含まれていません。つまり、実際の「金融資産」はもっと多い可能性もあるのです。
まとめ
住民税非課税世帯の判定は、あくまで前年の「所得」に基づいて行われるため、貯金などの金融資産は直接影響しません。そのため、「資産はたっぷりあるけれど、年金収入が少ないから住民税が非課税」というケースが実際に起こり得ます。一方で、データが示す通り、シニア世代の資産状況には大きな差があり、同じ住民税非課税世帯であっても、実態はさまざまあることが分かります。







