すだちとかぼすは共通点が多く、どちらも皮は緑色で、強い酸味と爽やかな香りがあります。しかも添えられている料理も似ている……。大きな違いはサイズですが、きちんと言い当てられるかとなると、筆者でもたまにあやふやになります。
そこでここは見分け方のコツと覚え方に加え、それぞれの選び方や使い方をお伝えします。
「すだち」と「かぼす」の共通点
すだちもかぼすも香酸かんきつと呼ばれるかんきつ類で、みかんやオレンジのように生で食べるのではなく、強い酸味と香りを薬味として楽しみます。出回る時季もほぼ同じで、陳列される棚も同士のことが多いです。
まずはそれぞれのプロフィールを確認していきましょう。
■すだち
阿波蜜柑・酢橘とも呼ばれており、徳島県の特産品。ゴルフボールほどの大きさ。上品な香りがあり、日本料理の風味付けによく利用されています。
■かぼす
香母酢油(かぼすゆ)とも呼ばれ、大分県の特産品。テニスボールサイズですだちより一回り大きく、地元大分のふぐ料理には欠かせない一品です。
「すだち」と「かぼす」は何が違う?
それぞれの大きさ、皮、酸味、香り、栄養、旬を確認していきましょう。■大きさ
ゴルフボールサイズがすだち、テニスボールサイズがかぼすです。小さい方がすだち、大きい方がかぼすと覚えましょう。
■皮と果実の色
すだちは皮が薄く、果汁がたっぷり。果実は薄いレモン色で、熟すと黄色っぽく色づいていきます。
かぼすは皮がしっかりとしており、白い内果皮(アルベド)がしっかりと存在しています。果実の色味は黄色が強めです。
■酸っぱさと香り
すだちもかぼすも強い酸味があるので、生食には向いていません。それぞれ香りに特徴があり、すだちはキリッとした強い酸味が、かぼすは強い酸味の中にまろやかさが感じられます。
■栄養
すだちもかぼすもビタミンCが豊富。レモンに肩を並べられるほどのビタミンC量があります。また酸味成分のクエン酸には疲労回復・食欲増進・ミネラルの吸収を助けるなどの効果があります。
(※100g当たりのビタミンC量 レモン汁50mg、すだち果汁40mg、かぼす果汁42mg)
■旬
すだちは8~10月、かぼすは8~11月に旬を迎えます。旬の時季は果汁の質・量とも最高で最も風味豊かな味わいを楽めます。それ以降は貯蔵した露地ものが、3月以降はハウス栽培ものが出回っています。
「すだち」と「かぼす」の食べ方・切り方・使い分け
すだちは小さいので半分にカットして使うのがおすすめ。焼き魚・てんぷら・大根おろしなどに添えたり、薄くスライスした皮を土瓶蒸しやお吸い物に使っても。上品な香りが楽しめます。■すだちの切り方
1. 上部(房)を横にしてまな板上に置く
2. 房に対して横に切る
3. 果汁を搾る
かぼすはサイズが大きいのでくし切りがおすすめ。鍋に添えるのにピッタリです。またすだち同様に半分に切って搾り器で果汁を搾り、ポン酢・ジュース・ドレッシングを作っても。まろやかな酸味が楽しめます。
■かぼすの切り方
1. 上部(房)を上にしてまな板に置く
2. 4等分に切る
3. くし切りにする
4. くし切り完成 5. 果汁を搾る
ビタミンCは加熱すると分解されてしまうので、栄養を補給したいときは生でいただくのがおすすめです。
「すだち」と「かぼす」の選び方
■すだち皮の色はなるべく濃いグリーンで、ツヤのあるものを。切り口が茶色くなっていないものが新鮮。皮が黄橙色になっているものは熟しているので酸味も香りもマイルドになっている可能性があります。
■かぼす
皮は濃いグリーンなものほど香りが豊です。皮が黄色っぽくなり始めていたら熟し始めているので、酸味と香りが穏やかになっている可能性があります。
「すだち」と「かぼす」の保存方法
すだちもかぼすも常温に放置しておくと皮が黄色に変色して風味が落ちてしまうので冷蔵保存がマスト。水分がついているようならふき取りましょう。
すだちなら3~5個ずつに小分けしてポリ袋に入れて野菜室へ入れれば1カ月の保存が可能です。
かぼすなら2~3個ずつ小分けしてポリ袋に入れて野菜室へ。2週間の保存が可能です。果汁を搾って製氷皿に入れて冷凍することもできます。
かんきつ類は万が一カビが出た場合あっという間に広がります。そのリスクを分散するために小分けにして保存するとよいでしょう。
すだちとかぼすの違いは分かりましたか? それぞれの特性を生かして上手に活用してみてください。