読者の方からいただいたお便りをもとにした Q & A コーナーです。今回は、イギリス英語かアメリカ英語か、どちらを勉強すべきか悩んでいらっしゃる方からのご質問です。英語学習者が一度はぶつかる疑問なのではないでしょうか。
Q.
NHKのラジオ「英語リスニング入門」を 5月から 9月まで本とCDを買い勉強してきました。慣用表現、音の崩れ等とても参考になる教材でした。5月から 9月までは、米国の英語だったように思えるのですが、10月からは英国の英語に変わったみたいですね。
米国と英国の英語は少し違うのは私程度の者でも解ります。私の英語上達の目的は、リタイア後にハワイか西海岸で老後を過ごしたいと言うものです。はたして英国の英語の学習がプラスになりますでしょうか?
英国の英語は 9月まで学習していた様な 音の崩れ は(まったく無いとは言いませんが)あまりないように思えるのですが如何でしょうか?
慣用表現でもだいぶ違いがありますが、どの様に思われますか?良きアドバイスをお待ちしています。
A. ▼ 米語と英語の違いが聞き取れるのは、あなたの英語力が高い証拠
まず、米語と英語の違いがわかるなんて、スゴイと思います。それだけ英語の実力がおありだという証拠です。勉強し始めの頃は、英語に違いがあるなんて、わからないものです。アメリカ人が話す英語もインド人が話す英語も同じ音として聞こえてきます。米語と英語の音の違いがはっきりとわかるようになればひとつのステップを越えたといってもいいでしょう。
リタイア後をハワイか西海岸で過ごすなんて、素敵ですね!
最近は、この方のようにリタイア後を海外で暮らしたいと思っている方も多いようですので、ますます世界共通語の英語の学習の必要性は高まってくるのではないでしょうか。
確かにアメリカ英語とイギリス英語には違いがあります。使う単語にも違いがある場合があります。"音のくずれ"に関しては、また別のコラムで取り上げるとしますが、程度の差こそあれ、英語独特の"音のつながり"などは、共通しているのではないでしょうか。
▼ 地域によって違うイディオム
おっしゃるように、慣用句、イディオム、スラングなどに関しては、アメリカ、あるいは、それぞれ、その国でしか通じないものもたくさんありますよね。同じアメリカでも広大な土地ゆえに、地域によって通じたり通じなかったりするイディオムもたくさんあります。
世界の主流は、映画やTVの影響で米語が多くなっているように見受けられるかもしれません。ましてや、日本にいながら勉強していると、やはり耳に入ってくるのは、米語が多いようにも感じますね。
しかし、イギリス英語を学習していても、もちろんプラスになります。
▼ 世界にはいろいろな英語が
世界の英語は、アメリカ英語、イギリス英語だけではありません。オーストラリア英語、ニュージーランド、カナダ、スコットランド、どれをとってもそれぞれ、特徴があります。ましてや、中近東やインドの方が話す英語、香港や、フィリピンの方の話す英語など、これからの国際人は、さまざまな英語に対応していかなければなりません。
英語をよく知らない頃、勤め先で外国語でかかてきた電話を取ったことがあります。何をしゃべっているのだかちっともわからなかったので、とにかく海外事業部へ電話を回しました。あとで、「あの電話、どこからだったのですか?英語でないことだけはわかったのですが、何語だったのですか?」と尋ねたところ、「あれ、英語だったよ」と言われ、ショックを受けたのを覚えています。聞けば、中近東の方が話していた英語だったとのこと。世界には、いろいろな英語が存在しますね。
気軽に海外に旅行に行ける時代ですし、eメールや、チャットなどで国内にいながらにしてタイムリーに海外の方々とやり取りが出来る時代になり、ますます世界は狭くなってきています。ですから、標準的なアメリカ英語・イギリス英語を中心に、いろいろな英語を学ぶのは、きっと将来役にたつと思いますよ。
しかし、どれかひとつに絞ったほうが、自分が勉強しやすいというのであれば、米語を自分の中心に置く、という方法で進まれるのはいかがでしょうか?
▼ 世界の共通語『心』も育てましょう
英語と共に、学ばなければいけないのは『心』だと思うのです。思いやりは、環境や文化が違っても世界共通だと思いませんか?人を大事にする心、コミュニケーション能力、そして、柔軟なものの考え方、これらも同時に身に付けていきたいものです。
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