ある国際大会でのこと。あるVIP付きのボランティア通訳の A さんがいました。ちょうどその日、どうしてもスタッフ人数がたりなくなってしまったセクションがあり、本部の方がなるべく手の空いている人を探した結果、白羽の矢がその A さんに当たってしまいました。
▼通訳だけでは勤まらないボランティア通訳
その時、このVIP付き通訳 A さんに与えられた仕事は、選手のユニフォームを抱えてコインランドリーに行くことでした。選手達は、組み合わせの関係でどうしても前日と同じユニフォームを使わなければならなかったのです。汗にまみれたユニフォームの洗濯を短時間で済ませる必要がありました。本来この仕事は選手が自分たちでやっていることでしたが、怪我人がでたり、練習時間との関係でどうしても手がまわらなくなってしまったのです。
もし A さんが選手のファンなら喜んで飛びつきそうな仕事ですが、彼女は選手のファンではなく「通訳」でした。嫌々ながらも業務をこなしたものの、彼女の中には不満が溜まり、ついには「これはボランティアの仕事ではありません」と言い出してしまいました。
▼英語を使いたいだけでは・・・
彼女は、たぶん『英語を使いたい!』という希望だけのためにこの国際大会大会にボランティア通訳として参加していたのでしょう。おまけに、VIP付き通訳として配属され、それなりのプライドも持っていたのでしょう。
しかし、いざ仕事が始まってみると、選手のユニフォームの洗濯係を命じられてしまったのです。
こちらは別の大会、ワールドカップでのお話。「いざ職種が決まってみたら、英語があんまり使えそうなセクションじゃなかったら、キャンセルしたの。」「外国の人と触れ合う機会はあるんだけど、内容が外国人記者ブースの掃除なのよ。」なんて嘆いている人もいました。
華やかな国際大会の裏側では、そんな不満の声に耳を傾けたり、足りなくなったセクションの補充を考えたりと右往左往する本部の姿があるのです。
▼国際大会本部激怒!国際大会の舞台裏で求められるのは人間性!
大会本部にとって、ボランティア通訳のスタッフとは、どんな立場なのでしょうか?ただ英語を使いたいだけの人を集めたかっただけでしょうか?
この記事をお読みの方は分かりますよね!大事な国際大会。ボランティア精神を持った人々の中でも、選手や各国スタッフときちんとコミュニケーションが出来るように世界共通語の英語が必要なのです!
自分が、国際大会主催者側だったらどうでしょう?英語を使えないから嫌?雑用をさせられるから嫌?そんなボランティアならいらない!ですよね。
▼優秀な人材には仕事も集まります
ボランティア通訳する前に、もう一度考えてみましょう。英語を話せるだけでいいのですか?人を思いやったり、相手の立場に立って物事が考えられない人に、はたしていい仕事ができるでしょうか?
高い英語力とともに、すばらしい人間性を備えた人もたくさんいます。大会本部では、そんな優秀な人達を必要としています。たとえ無駄に思える仕事にも必ず役に立つ情報が入っています。英語は完璧だけど、プライドが高すぎて使えない。そうならない努力が必要ですね。
そして、使いたかった英語どんどん使えるようなポジションに自ら近づいていけば、楽しく国際大会でのボランティア通訳の仕事が出来る筈です!また、このように仕事をしているうちにご自分の英語のスキルもUpしていったり、世界に友達の和が広がっていきますよ!
焦らずに、英語を使う以外の部分も楽しんでボランティア通訳を楽しんでみてください。
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