暮らしの歳時記/春の行事・楽しみ方(3~5月)

Q.「五月晴れ」を5月に使うのは“誤用だ”と指摘されました。いつ使うのが正しいのでしょうか?

「五月晴れ」とは?いつ使うことば? 5月に使うのか、それとも梅雨の6月か……誤解しがちな「五月」がつくことばの素朴な疑問にお答えします。

三浦 康子

執筆者:三浦 康子

暮らしの歳時記ガイド

5月?6月? 「五月晴れ」はいつ使うのが正解なのか

「五月晴れ」は5月?6月?いつ使えばいいの?

5月?6月? 「五月晴れ」はいつ使えばいいの?

「五月晴れ」は、5月に使うのか、それとも梅雨の6月か……。日本には季節を表わすことばがたくさんありますが、意味を正しく知らずに使われているものが意外にも多くあります。誤解しがちな「五月」がつくことばの素朴な疑問にお答えします。
 

Q. 「五月晴れ」を5月に使うのは間違っているのでしょうか? 

【質問】
5月に「五月晴れ」ということばを使ったら、それは梅雨に使うものだと注意されてしまいました。いつ使うのが正解なのか教えてください。
 
 【回答】
本来は、梅雨の晴れ間のことをいいます。「五月晴れ」の五月は、旧暦5月(今の6月頃)をさしているからです。梅雨を「五月雨(さみだれ)」というのと同じですね。
 
ところが、時が経つにつれて、新暦5月の晴天の意味でも使われるようになり、この誤用が定着しています。
 
主な国語辞典でも、「1)さみだれの晴れ間。梅雨の晴れ間」と「2)五月の空の晴れわたること。また、その晴れわたった空」<広辞苑> のように両方が掲載されています。
 
したがって、5月に使っても梅雨に使っても大丈夫です。ただ、もとの意味を大事にしたい人や、梅雨入りしていない5月に使うのは誤用だと思っている人もいるため、使う場や相手によって注意したほうがいいでしょう。梅雨の晴れ間に使い、「これがほんとの五月晴れですね」といったら角が立たないかもしれません!?
 

「五月晴れ」以外にもある誤解しがちな「五月」がつくことば

五月がつくことばには意味を誤解しやすいものがある

「五月」がつくことばには、意味を誤解しやすいものがある

「五月晴れ」以外にも誤解しがちな「五月」がつくことばがあるのでご紹介します。
  • 五月雨(さみだれ、さつきあめ)
    旧暦5月の長雨、梅雨のことです。古くは、「梅雨」のことを「五月雨」と言っていました。
  • 五月雨式(さみだれしき)
    断続的に物事が行われること。一度だけで終わらず、とぎれながらも何度か続けて行うこと。※詳しくは「ビジネス用語「五月雨式にすみません」も実は粋!?意味や例文を解説」をご覧ください。
  • 五月闇(さつきやみ)
    五月雨=梅雨のころの厚い雲に覆われた暗さのこと。闇夜のみならず、昼間の厚い雲に覆われた暗さをいいます。
  • 五月空(さつきぞら)
    五月雨=梅雨のころの曇りがちな空をいいます。
  • 五月野(さつきの)
    五月雨=梅雨のころの野原のこと。
  • 五月鯉(さつきごい)、五月幟(さつきのぼり)
    鯉のぼりのこと。
  • 五月蠅い(うるさい)
    通常、うるさいは「煩い」と書きますが、当て字で「五月蠅い」とも書きます。昔から蠅(はえ)はうるさいもの。蠅は梅雨のころ(旧暦5月)に盛んに活動し始めるので、五月の蠅という字が当てられるようになりました。
 
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