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『かもめ食堂』のイメージを払拭したい!荻上直子監督が“宗教”にのめり込む主婦を描く衝撃作『波紋』(4ページ目)

映画『かもめ食堂』『川っぺりムコリッタ』などを手がける荻上直子監督の最新作『波紋』。夫が失踪後、宗教にのめり込んだ主婦の生き方を描いた本作について、荻上監督にインタビューしました。画像:(C)2022 映画「波紋」フィルムパートナーズ

斎藤 香

執筆者:斎藤 香

映画ガイド

『かもめ食堂』は代表作だけど……

荻上直子監督

(C)2022 映画「波紋」フィルムパートナーズ

――キャリアについてもお伺いしたいのですが、荻上監督の『かもめ食堂』は今でも人気のある作品ですが、監督にとって『かもめ食堂』は、どういう存在でしょうか?

荻上監督:確かに私の代表作だと思いますし、大好きな作品です。今でもDVDが売れていますし、それはすごくうれしいことです。ただ、新作を発表するとき、資料などに『かもめ食堂』の荻上直子監督~と書かれると「いや、作品はそれだけじゃないし」と思ったりします。

私の方から『彼らが本気で編むときは、』も入れてくださいなど、他の作品も一緒にとリクエストすることもありました。ずっと『かもめ食堂』の世界に囚われ、ああいう世界を期待されても困りますから。
     ――『かもめ食堂』の影響で、荻上監督の映画は癒し系と言われていたこともありましたね。
 
荻上監督:そうですね。そう言われることへの反抗心が、その後の作品作りへの意欲になっています。

「ほっこり」とか「癒し系」とかもうやめて!と(笑)。私はもっと意地悪だし、しつこいし、好き嫌いがはっきりしているタイプなので。『波紋』は、そういう私の邪悪な部分を全部出して作り上げた映画と言ってもいいかもしれません。

>次ページ:荻上監督が思う日本映画界の改善点
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