AI時代のビジネスパーソンが仕事に付けられる、人間ならではの付加価値とは?
しかし、営業職を例にすると、AI技術によってデータ分析や営業戦略、マーケティングなどの大量のデータ処理が自動化されることで、仕事内容が簡略化され、その分、従来以上に顧客との関係構築や人間でしか醸し出せない温かみ、やさしさの表現をより高度化させていくことに時間を使えるようになるでしょう。
AI時代にも勝ち続けられるビジネスパーソンとなるために磨きたい、印象形成のポイントを、非言語コミュニケーションの観点から紹介します。
「クセ」で大きく変わるイメージ
筆者は、企業内の優秀成績者表彰などのイベントに呼ばれることが多いので、「トップセールス」の方々に、数多くお会いします。また、会社や自宅にもたびたび、セールス担当がいらっしゃいますが、そのコミュニケーション力は人によってまちまちです。私たち人間のコミュニケーションには、言語と、それ以外のものがあります。「それ以外」は、表情、目線、視線、態度、動作、パラ言語と呼ばれる声の大きさやペース、トーンなどで、これらを「非言語コミュニケーション」と呼びます。
この非言語コミュニケーションは、どうしてもその人のクセが出やすいものです。トップセールスの人は、そのクセを意識的に可能な限りなくす努力をされているように感じます。クセは、その人の特徴であり個性ともいえますが、それが強すぎると相手は不快になってしまいます。
顔の中でよく動く「目」と「口」
「目は心の窓」と呼ばれるように、その人の心理状態が表れます。作り笑いをしていたとしても、本心は透けて見えるものです。ネガティブな感情を抱いていると、自然と眉をひそめ、眉間にしわが寄ることになります。目力でポイントとなるのは、焦点が定まっているか、目に強さがあるか、目が泳いでいるか、などです。視線については、アイコンタクトをするか、しないか。上目遣いか、伏せ目か。じっと見つめるか、ちらちら見るか。目ひとつで、印象は大きく変わります。自分が与えたい印象と異なる目の使い方をしていないか注意してみましょう。
また、口元にも大切な情報が集まっています。ポジティブな感情を持つと、口角が上がります。自然な笑顔と不自然な笑顔の差は、大頬骨筋が口角を引き上げるか、口元だけで口角を上げているかです。
口の動きとしては、大きく開けて動かす方が好印象です。口を閉じたままの「への字口」は印象が良くありません。
唇も、無意識に動く部位です。唇を噛む、唇を舐める、唇を尖らせて困った顔をしている、といった仕草は、幼稚に見えたり、不潔な印象を持たれたりします。
無意識にとる姿勢と動き
非言語コミュニケーションでは、身体から発せられる情報も重要です。猫背は暗い印象ですが、ピンと背筋を伸ばしている姿勢にはハツラツとした雰囲気が感じられます。前傾姿勢には、やる気を感じます。逆に、後傾姿勢は、そんなつもりは無くても、居丈高な印象を持たれてしまいます。
話の内容とは無関係の動きのことを「アダプター」と呼びますが、髪の毛をいじったり、貧乏ゆすりをしたりと、アダプターが多いと、自信の無さや緊張、不安が感じられ、相手に「頼りなさそうだな」と思われてしまいます。
無意識のうちにやってしまうクセが、意図しない印象を与えてしまうことを知っておきましょう。
AIには、非言語によるコミュニケーションはできません。これからの時代のビジネスパーソンとして、印象の良い非言語コミュニケーションをぜひ身につけましょう。