コミュニケーションで注意したい「表情」の作り方
今回は、短い時間の中でも相手との会話や気分を盛り上げる、「目周り」に集中した非言語コミュニケーションについて解説します。
相手に与える印象は視覚情報が55%。中でも「目周り」が重要
アメリカの心理学者・メラビアンによれば、対人場面における相手に与える影響は視覚情報が55%、聴覚情報が38%、言語情報が7%。相手が受ける印象は、話す内容に関わらず、表情や仕草、態度などの非言語情報によって9割が決まってしまいます。筆者は、営業担当者の研修をする中で、顧客との初対面のシーンを設定し、ロールプレイングを行います。終了後には、撮影した動画を見ながらフィードバックをし、本人からも感想をもらうようにしています。すると、ほぼ全員から、「自分がこんなに怖い顔をしていたなんて」「だからお客様も怖い顔になるのですね」などの感想が返ってきます。
表情分析の第一人者であるエクマンとフリーセンに倣い、表情指導では顔を3つの領域(額、目、頬)に分け、目を中心とした領域をアドバイスします。特に、コロナ禍でマスク着用していると、目の表情しか見えません。相手の不安感を軽減するためにも、目元が優しく見える工夫が求められます。
極端な例ですが、筆者が知るトップ営業の中には、怒っているように見えてしまう眉間のシワをゆるめる注射や、目をふんわり優しく見せる注射をするツワモノまでいます。今や男女関係なく、目の周りの印象形成に気を配りビジネスに応用している人は多く、それほどまでに、目周りの印象は重要なのです。
お互いにリラックスして会話ができる「表情のポイント」3つ
(1)笑顔自然な笑顔(自然発生的笑顔と呼びます)は、「安心した時」や「楽しい会話の時」など、自分の感情に伴って生み出されるものです。
作り笑い(手段的笑顔)は、大頬骨筋を無理やり引き上げるので、非対称的な顔つきになりますが、トレーニングを重ねることで、作り笑いであっても自然な笑顔に近づけることもできます。
目が笑っているかどうか、目の下に膨らみができているか、目尻に細かいシワがあるかが、自然な笑顔と作り笑いを分けるポイントになるので、意識してみましょう。
(2)目線合わせ
相手よりも背丈や座高が高いと、目線が相手よりも上になってしまいます。無理に腰をかがめるのは不自然ですが、できるだけ目線を合わせるようにするとそれだけで印象が違って見えます。
(3)アイコンタクト
出会いのシーンでは、アイコンタクトによって、良い関係を作ろうとする意思を伝えることができます。
話しかけるスタートの時点でアイコンタクトを取り、会話の最中はやや少なめにします。自分が話し終わったら、相手の理解度を測りつつ「次はあなたの番です」と目で促します。そして、相手が話し始めた時に「もっと聞きたい」と目を見て伝えます。
アイコンタクトの際、相手の目を凝視すると緊張させてしまいます。同様に、目の位置から額にかけての三角ゾーンを見つめても相手に威圧感を与えます。反対に、目の位置から口に向けての逆三角ゾーンの表情は、お互いにリラックスできるとされています。相手の顔を見て話す際に参考にしてみてください。
目周りで伝わるあなたの心
「目は心の窓」「目は心の鏡」と言われている通り、目には、その人を知るための情報が詰まっています。表情は額、目、頬の組み合わせによってリーディングをしますが、日本を含むアジア圏では特に目を重視するとも言われています。
コロナ禍でのマスク着用時には頬や口元が隠れてしまうため、目から額にかけての表情筋の動きからポジティブ、ネガティブ、それぞれのメッセージが伝わります。
自分が発した言葉は、自分の耳で聞くことができます。ですが、自分が浮かべている表情は、鏡でもない限り分かりません。
目周り10cm四方の狭い範囲ですが、普段のコニュニケーションにおいてまだまだ工夫の余地はありそうです。目周りに意識した非言語メッセージで、相手をリラックスさせ、お互い気分が良くなり会話が盛り上がるためのトレーニングをぜひ行なってみてください。