20代だけでなく10代女子も? 若い女性の尿漏れトラブル急増中
トイレに行きたかったわけじゃないのに日常動作の何気ない瞬間に漏れ出てしまう「尿漏れ」のトラブル。これまでは出産直後や高齢者の問題と捉えられてきましたが、実は最近は出産経験のない10代や20代の間でも悩みを抱える女子が急増中。原因は?対策は? 3万人以上のさまざまな世代の女性の悩みに寄り添ってきた「白金高輪海老根ウィメンズクリニック」の海老根真由美院長にお話を伺いました。
若い女性に多いのは「腹圧性尿失禁」
――ドラッグストアでも尿漏れパッドの売り場面積がどんどん広がっています。着実に尿漏れ人口は増えているように見受けられますが、なぜ若い女性の間に尿漏れが起きているのでしょうか。海老根院長(以下敬称略):高齢者と若い女性の尿漏れは種類が異なります。
高齢者がなるのは「切迫性尿失禁(過活動膀胱)」といい、膀胱に尿が十分にたまっていなくても急に我慢できなくなり漏れてしまうといった神経系のものです。エストロゲンの減少によるものだといわれていますが、まだはっきりとはわかっていません。
若い女性の尿漏れは「腹圧性尿失禁」といって重い荷物を持つ、咳やくしゃみをする、走り出す、ジャンプするなど、お腹に力が入った瞬間に尿が漏れるものです。お腹に力を入れなくとも、太って内臓が押されることでも起こりえます。
――お腹に力を入れると必ず尿漏れするのですか?
海老根:いいえ、尿を貯めたり出したりする尿道括約筋を含む骨盤底筋がしっかりしていれば大丈夫なのですが、最近は慢性的な運動不足で骨盤底筋が十分に発達していない若い女性がとても多いんです。
クリニックにも小学生、中学生で走ったり縄跳びをすると尿が漏れる、もう体育の時間が怖いという悩みで訪れる患者さんがいます。
――体育の時間が嫌ならますます運動不足になっちゃいますね。
海老根:受験勉強や遊ぶ時もゲームばかりといった座りっぱなしの生活習慣が若者の尿漏れトラブルに拍車をかけていると思います。
尿漏れトラブルに予防法や治療法はある?
海老根:高齢の「切迫性尿失禁(過活動膀胱)」には薬がありますが、「腹圧性尿失禁」にはそれがありません。やはり運動習慣を身につけることを第一にお勧めしています。――骨盤底筋体操ですか?
海老根:良いとは言われていますが、患者さんを診ていると骨盤底筋にだけフォーカスした「締める、緩める」といった単純運動をしている方よりも、ダンスやバレエとなどの「足を上げ下げする」運動をしている方のほうが骨盤底筋の状態がいいんです。ですからより「足を使う」運動をお勧めしたいですね。余談ですが、そうした方はデリケートゾーンそのものも綺麗です。
――なるほど。ではどうしても運動に取り組む気になれない女性はどうしたら?
海老根:運動がいいと頭では分かっていても骨盤底筋に大きなダメージを受けてしまっている出産後の女性はなかなか自力で運動することが難しいので、その場合は骨盤底筋周辺の血流を上げ、筋量を増やすレーザーや筋トレマシンを紹介しています。
まずエムセラ。服を着たまま座るだけで骨盤底筋群を鍛えられるマシンです。体感は腹筋を鍛えるEMSのマシンと似ていますね。論文では6回の利用で尿漏れが止まったというデータが出ています。
こちらがエムセラ。スイッチを入れるとお尻を突き上げるような運動刺激がスタート
モナリザタッチというレーザー治療もあります。
これは膣内や外陰部の粘膜表面に微細な穴を開け、体が傷ついた細胞を修復しようとする力を利用し患部の血流を促すものです。1カ月に1度のペースで数回照射することで尿漏れやデリケートゾーンの乾燥感、性交痛なども緩和されます。
ただ、どちらも決して安価な治療ではないので、その方の体質や体調に合わせて尿系に効く漢方も処方することもあります。
猪苓湯。その他八味地黄丸や牛車腎気丸など体質、症状別に様々な尿系の漢方が
海老根:海外では尿漏れ防止のための自宅で使えるEMSパッドが発売されてますから、日本にもそろそろ上陸すると思いますよ。
――それは本当に楽しみです! 運動も努力しつつ、その日を待ちたいと思います。本日はありがとうございました。
海老根真由美先生プロフィール
白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長。2013年の開業以来、小児科から産婦人科、婦人科、乳腺外科、泌尿器科、内科まで3万人以上の女性の悩みに寄り添う。
DATA
「白金高輪海老根ウィメンズクリニック」
所在地:東京都港区高輪1丁目2−17 高輪梶ビル7F
URL:https://ebine-womens-clinic.com/
お勧めメニュー:尿漏れ集中セット(モナリザタッチ2回、エムセラ6回 ※2カ月間有効)35万円(税込)