公立学校の先生たちがもらう退職金相場を地方自治体ごとにチェック!
幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、各種学校、義務教育学校など公立の学校は全国に約3万7200校あります。そんな公立学校の教師の平均的な退職金額を、都道府県、政令指定都市、市区町村ごとに調べました。小学校・中学校の9割超が公立
日本には、国立・公立・私立の幼稚園、幼保連携型認定こども園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、専修学校、各種学校が約5万5500校(短期大学、大学、高等専門学校は除外)あります。うち公立は約3万7200校で、小学校や中学校、義務教育学校、特別支援学校の95%程度、高等学校の73%、中等教育学校の61%を占めます。
出所:文部科学省「令和3年度学校基礎調査(確定値)の公表について」に掲載の「令和3年度学校基礎調査結果のポイント」(令和3年12月22日公表)
中学校・高校の教師で定年退職するのは6割強
総務省の「令和2年度地方公務員の退職状況等調査」によると、令和2年度に教育職に就いている地方公務員の離職者数は4万2645人。内訳は、定年退職2万7840人、早期退職1160人、勧奨退職2549人、普通退職(自己都合や諭旨免職による退職など)1万524人、懲戒免職130人、その他(分限免職、失職、死亡退職)442人で、定年退職は65%に過ぎません。
出所:総務省「令和2年度地方公務員の退職状況等調査」
公立教師の60歳定年退職手当は平均いくら?
公立の教員は、地方公務員ですので退職手当は地方自治体、都道府県や市区町村から支給されます。平均支給額を、総務省の「令和3年給与・定員等の調査結果等」を基にご紹介します。出所:総務省「令和3年給与・定員等の調査結果等」
●都道府県:60歳定年退職者への退職金支給額トップ5
1位:兵庫県/2323.1万円
2位:三重県/2311.1万円
3位:京都府/2297.4万円
4位:神奈川県/2288.5万円
5位:愛知県/2279.3万円
47都道府県の教育公務員60歳定年退職者への平均支給額は約2235万円です。支給額のトップは兵庫県の約2323万円で、最下位との差は約234万円です。また、支給額が平均以上は28都道府県です。
●政令指定都市:60歳定年退職者の退職金支給額トップ5
1位:名古屋市/2364.3万円
2位:静岡市/2303.7万円
3位:岡山市/2293.9万円
4位:神戸市/2293.0万円
5位:浜松市/2278.0万円
20政令指定都市うち19都市の教育公務員60歳定年退職者への退職手当支給額は2000万円を超えています。残りの1都市は1000万円未満です。今回はこの都市を除く19都市で集計しました。それによると、平均支給額は約2226万円で、最高額と最低額の差は約302万円、平均支給額より多く支給しているのは8団体です。
●市区町村:60歳定年退職者への平均支給額トップ5
1位:東京都港区/2427.7万円
2位:兵庫県西宮市/2404.1万円
3位:山形県山形市/2299.1万円
4位:兵庫県尼崎市/2297.1万円
5位:神奈川県横須賀市/2288.3万円
市区町村1721団体のうち教育公務員の60歳定年退職者の退職手当平均支給額のデータがあるのはわずか22団体です。そのデータによると、平均支給額は約2196万円で、13団体が平均額より多く支給しています。最高額と最低額の差は約478万円です。
公立教師の定年退職金は平均約2200万円。中小企業の約2倍
民間企業の退職金平均給付額はどのくらいなのでしょうか。日本経済団体連合会の「2021年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果」では、管理・事務・技術労働者(総合職)の大学卒は2243万円、高卒1953万円です。また、給与所得者の70%を占める中小企業従業員の定年退職金は、大学卒が約1119万円、高校卒は1031万円です(東京都産業労働局「令和2年 中小企業の賃金・退職金事情」)。公立教師の平均の定年退職金額約2200万円は、大企業の総合職の大卒とほぼ同額、中小企業の大学卒の約2倍相当額です。最近、問題提起されている教師の労働時間や労働環境・内容などを考えると、この金額は多いのでしょうか? それとも少ないのでしょうか?
出所:
日本経済団体連合会「2021年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果」
東京都産業労働局「令和2年 中小企業の賃金・退職金事情」
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