成田凌＆前田敦子がカオスな三木監督作品に挑む！『コンビニエンス・ストーリー』過酷な撮影の裏側とは

成田凌＆前田敦子にインタビュー

映画『コンビニエンス・ストーリー』は、売れない脚本家（成田凌）が、山奥の霧の中にポツンと佇むコンビニエンス・ストアに足を踏み入れたと思ったら、いつの間にか異世界へ飛んでしまう物語。彼はそこでミステリアスな人妻・惠子（前田敦子）と出会い、奇妙な関係へと誘われていくのです。言葉にするのが難しい不思議な世界を描いた本作に臨んだ、成田凌さんと前田敦子さんに、撮影の裏話を中心にお話を伺いました。
 

念願の三木監督作に主演できてうれしい！

――成田さんは三木監督の作品に出演することを望んでいらしたそうですが、依頼が来たときのことを教えてください。
 
成田凌さん（以下、成田）：僕は三木監督作品の大ファンなので、三木さんが新作を制作するという話を聞いて、「出たいです」と事務所のマネージャーさんにも話をしていたんです。そうしたらありがたいことに出演依頼をいただいて。うれしかったです。三木監督作品なら何でも出たいくらいの気持ちではありましたが、『コンビニエンス・ストーリー』の脚本を読んで、出演を決めました。
 
――脚本がおもしろかったのですね？

成田：そうですね。脚本の1文字1文字、句読点の位置にまで三木さんのこだわりが詰まっていて、脚本に監督の世界観があふれていました。正直、荒唐無稽な話なので、「この映画の美術や映像はどうなるんだろう？」と、全く想像できなかったのですが、とにかくセリフを頭に入れて、あとは三木さんに全てを委ねようと決めて、撮影現場に通っていました。
 

出演を決めたきっかけは三木監督の“とある一言”

――前田さんが出演を決めた経緯も教えてください。
 
前田敦子さん（以下、前田）：去年の夏くらいにお話をいただきまして、まず『コンビニエンス・ストーリー』というタイトルに惹かれました。コンビニは海外にもありますし、世界に通用するテーマなのではないかと思ったんです。
 
そのあと三木さんにお会いする機会があったのですが、「全然説明できない映画です」とおっしゃっていて（笑）。その言葉にも惹かれましたね。脚本もすごく面白くて。共演が成田くんだと聞いて、映画でまたご一緒したかったので、それも出演を決めた理由のひとつです。
 

「三木監督の頭の中を映像化していく感じ」撮影の裏側を語る

――三木監督の演出や撮影で印象に残っていることがあったら教えてください。
 
成田：スタッフさん用の絵コンテがあるんですが、それは俳優部には配られないものなんです。撮影はこの絵コンテ通りに、忠実に進められていきました。自分の心とその絵コンテが一致しないこともありましたが「とりあえずやってみよう」とトライしてみると「なるほど！」と思うことも多かったです。
 
撮影では、自分の演技プランをあれこれ考えることはせず、俳優としての自分を三木さんにお任せしていた感じです。現場では、三木さんの頭の中を再現していく日々でしたね。 前田：撮影が始まったばかりの頃は「ここで、こういう動きをして」「この位置でセリフを言って」と細かく指示されていたので、すごく綿密に演出されるんだと思っていたのですが、撮影が進んでいくと、だんだん最初の頃の動きの指示がなくなっていきました。全体が固まってきたので、俳優たちに任せてくれるようになったんじゃないかと思います。
 
でも私、実は撮影のときのこと、あんまり覚えていないんです。パンフレット用のインタビューを受けたとき、覚えていないことにびっくりしたくらいです。 成田：なんでなんだろうね、撮影がすごく大変で、怒涛の日々を過ごしていたから？
 
前田：私が演じた恵子という役が、特に感情があるわけではなく、人間と虚像の狭間にいるような人で、「あまり深く考えなくてもいいのかな」と思いながら演じていたからかもしれません。

＞次ページ：三木組の猛者のようなスタッフと相対するには覚悟が必要（笑）。