上手く活用しないと高額な塾代が大損失に!? よくある思い違い3選
塾は実態を知らないと、大金と大事な時間を失って「こんなはずでは……」と後悔することになりかねません。
- お金を支払う人とサービスを受ける人が異なる
- サービス開始まで、どのようなサービスを受けられるか具体的にはわからない
- 効果が支払い額以上に大きなものになる場合と、マイナスになる場合がある
このような実態を知らないと、大金と大事な時間を失って「こんなはずでは……」と後悔することになりかねません。そこで、私が保護者とやりとりをする中で感じた「塾に対する保護者の思い違いTOP3」をお伝えします。
第3位:月謝=教育費
塾にかかるお金というとまず月謝を思い浮かべる方が多いでしょうが、支払うのはそれだけではありません。多くの塾では月謝の他に、テスト代、教材費、通信費、施設維持費などが毎月かかります。私が勤めていた塾では「授業料には、学習指導費のほか、教材費などの費用が含まれています」という文言をチラシやwebサイトに必ず掲載していました。しかし、そうした情報を伏せている塾も存在します。
私のところに「某大手塾で授業料以外に高額なテキスト代を提示され、さすがに経済的に厳しいため転塾を検討しています」という親子が来たことがありました。その大手塾では、夏期講習や冬期講習とは別に「集中特訓」「年末年始特訓」「入試攻略ゼミ」など、何万円もするオプション講座が設定されていたのです。
これは珍しいことではなく、通常の月謝以外に高額なオプション講座が設けられている塾はいくらでもあります。入塾の問い合わせをした段階でこうしたオプション講座の受講をすすめる塾は、まずありません。オプション講座は、入試が迫ってきたタイミング、「この期に及んで転塾なんて考えられない」「お金をケチっていられない」という心理状態になったタイミングを測るように、怒涛のラインナップで提示されます。
もちろんあくまでオプションなので受講は任意ですが、講師から強くすすめられたり、同じ塾の友人が申し込んでいるのを知ると、「講座を取らなかったために不合格になったら……」という心理になり、無理をしてでも申し込んでしまうんですよね。
2021年、中学受験塾にしたドラマ『二月の勝者』の中で、「受験は課金ゲーム」というセリフが登場し反響を呼びましたが、なかなか的を射た表現だと思います。ただ、ゲームは課金すればその分有利になりますが、塾の場合、課金しても入試に有利になるとは言い切れません。むしろ講座に申し込んだせいで、授業内容を自分で復習する時間が取れなくなり、かえって成績を上げる機会を失うということもあります。
また、成績が上がり志望校に合格したとしても、自学自習スタイルが遠のいてしまえば、「教わらないと学べない子」になってしまうかもしれません。
さらに、ほぼフォローがないタイプの塾に入る場合には、サブとして別の塾に通ってメイン塾の復習をする必要が出てくる可能性も考えておかなければなりません。
教育費は、受験学年では月謝の倍くらいはかかることを覚悟して備えておいた方が、後で慌てずに済みます。
第2位:塾講師なら誰でもわかりやすく教えることができる
私の経験上、どこの塾、どこの校舎でも、特に指導力があると感じる講師が2割、標準的な実力を持った講師が6割ほどです。残る2割は残念ながら、「よくこれでお金をもらえるな……」というレベル。同じ塾、同じ校舎に所属する講師であっても、実力には差があるものなのです。特に大手チェーン塾では、夏期講習など多くの校舎で同じ時間に授業が設定されている時期は、理科・社会の講師が足りなくなる場合が多いです。そして急遽、講師派遣会社に連絡して、臨時講師が来たりするのですが、そうした講師には実力不足の方も多い印象です。
これは塾講師という職業の敷居の低さが関係しています。塾講師は、学校の先生になるのとは違って資格がいりません。そして、日本全国の塾の教室数というのは、コンビニの数とそう大きく変わらないのです。塾講師になるだけなら簡単になれてしまうため、結果的に玉石混交というのが実態です。
塾の先生の言うことを聞いておけば間違いない、というのは思い違いです。また、大手塾だから安心、ということもありません。むしろ、個人で運営している小さな塾の方が、実力がなければすぐにつぶれるので、一定の指導力があるといえるかもしれません。
塾の看板や塾講師の言葉を信じすぎず、いまお読みになっている私の文章も含めて、常に「そうとも言い切れないのでは?」という客観的な視点を忘れないでくださいね。
第1位:塾に預けさえすれば成績が上がる
塾に預けさえすれば成績が上がると思っている方は多いかもしれませんが、これも思い違いです。もちろん、塾に入って授業を受けて、それだけでできるようになってしまう子が全くいないわけではありません。でもそんな子は、私が見てきた数千人のうち、片手で数える程度です。授業を受けただけでできるようになるのは、料理番組や動画を見て、料理を再現するようなものです。説明されて「理解する」ことと、実際にそれが「できる」ということには、大きな隔たりがあるのです。
成績を上げるには、授業が終わった後、それができるか問題を解き、何回もくり返し解き直して「わかる」を「できる」に、「できる」を「身につける」にする必要があります。
授業はもちろん大事ですが、授業後に学んだことを復習する時間こそが、成績を上げます。それもすぐに上がるわけではなく、学んだことがテストに出て、成績として現れるのには最低3カ月はかかります。
授業は、成績を上げるためのきっかけ、くらいに考えておいた方が期待をかけ過ぎて失望することがなくなります。
今回は塾のネガティブな側面を取り上げましたが、知っていることで、対処・回避できることもあります。
- 教育費は受験学年では月謝の倍くらいになることを踏まえて備えておく
- オプション講座は周りに流されず、本当に必要そうなものだけを取捨選択する
- 塾や講師の言葉をうのみにせず、常に「転塾」というカードを切れるように腹づもりしておく
- 授業後の復習にこそ力を入れ、すぐに成績が上がらなくても焦らない
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