地元密着型の個人経営塾。大手の塾に比べると、規模や設備面から見劣りするも、少なくない一定の生徒数を抱えているのはなぜか。

個人経営塾のあまり知られていない一面を、東京都江戸川区一之江・船堀で小学生・中学生(中学受験・高校受験)対象の進学塾を経営する中里太一塾長に聞きました。

――どんな生徒が通っていますか?

その子自身をよく見ると、どう伸ばせばいいのかがわかります。

その子自身をよく見ると、どう伸ばせばいいのかがわかります。

中里 大手から転塾してきた子が多いですね。大手の塾の授業についていけなくなった子、放っておかれてしまった子なども来ます。

――生徒に共通する傾向は?

中里 勉強や進学に対する意識が低いです。慶應義塾大学や早稲田大学の名前を知らない子も珍しくないですよ。基礎学力もないことが多く、たとえば中学生になっても小学校の学習範囲である、分数の計算ができないとか。でも、教えればちゃんと理解するんです。「できない子」ではなく、十数年の中で、できない子にされちゃっている、という印象です。

――生徒への指導で心がけていることは?

中里 面倒見が大前提ですね。その子自身をよく見ると、どう伸ばせばいいのかがわかります。だから出す宿題の内容も生徒ごとに変えています。大手の塾は一律のカリキュラムのもと、出す宿題も一緒ですよね。うちに限らず個人でやっている塾は、カリキュラムの制約がないので、生徒に合わせて臨機応変にいくらでも変えることができるわけです。

その子の個性や学力に合わせた指導をしています。最初はどんなに小さくてもいいので、とにかく結果を出させます。「やればできる」という自信を生徒に持ってもらうんですね。それが講師と生徒の信頼関係につながっていきます。

あと、生徒の保護者に子どもの現状の学力を理解していただくように努めています。うちの塾に限らず、塾で勉強を始めても、すぐに学力が高まって成績に表れるわけではありません。結果が出始めるまで時間がかかるのです。そのことをご理解していただくよう、心がけています。

――どんな講師を採用していますか?

中里 東都ゼミナールに応募してくる講師は、ほとんどが大手塾の経験者なんです。大手塾だと、どうしても指導が均質化しがちですよね。もちろん指導の合理化を追求すれば、均質化は正解でしょう。でも、そんな均質化に適さない子もいるわけです。そういう子こそ指導して、その子の限界を超えさせたいという思いを抱いている講師を採用しています。

――個人経営塾の講師ならではの特徴はありますか?

中里 うちには型破りな講師が多いですね。夕方から翌朝4時まで生徒の勉強を見る講師もいますし。もちろん、保護者の理解を得た上でですよ(笑)。

期末試験が近づくと、技能教科の面倒も見ています。歌の歌詞を言わせたり、デッサンを一緒にしたり、「情熱大陸」のテーマ曲を流して学校独自の体操をさせるということまでしたりしています。成績アップのために、そこまで生徒に付き合いたいという講師は大手塾にはなかなかいないと思います。

また、地元愛があって、「地域の教育意識を高めたい」という気持ちが強い講師がいるのも、個人経営塾ならではですね。ただ教えるのが好きというだけでなく、もうひとつのこだわりがあり、目的がはっきりしている講師が多いです。

――学費について教えてください。

中里 塾にはいろいろな形態があって、授業料もそれぞれかなり違いますよね。個人経営塾は、大手に比べれば学費は安いところが多いです。設備費や広報宣伝費は大手よりも抑えられますからね。でも、我々の塾の授業料は、個人経営塾のなかでは、ちょっと高い方ですよ。ひとりの生徒の指導にかけている時間を考えると、もっと料金を上げてもいいのかなとは思っています。

――料金が大手と変わらないのに生徒が集まってくる理由は?

中里 金額ではなく、取り組んでいる中身で判断いただいているご家庭が存在するからですね。うちの指導はかなり厳しい方だと思います。生徒にアンケートを取ると、毎年たいてい全員が「厳しい」という項目にマルをつけます。それでも、自分ひとりでは甘えてしまうことがわかっていて、がんばりたいという子が来てくれています。同じアンケートで全員が「楽しい」という項目にもマルをつけてくれているんですよ。

ただ、いちばんの理由はやっぱり結果が出ているということでしょうね。生徒の成績は、ひとり残らず全員上がっています。偏差値20は上がっていますよ。入塾当時は偏差値50くらいだったけれど、早稲田・慶應の付属校に合格した生徒も何人もいます。勉強ができる子を集めて高い合格実績を出すのではなく、生徒全員の学力を高めて、子どもにも保護者にも満足してもらうのが使命ですから。

――生徒全員が偏差値20アップとはすごいですね。秘訣は?

中里 とにかく「やることをやらせきる」ことです。生徒にできる限界ぎりぎりの量の宿題を出すことです。そして、その宿題をしっかりやっているかどうかの管理。やれていないときのフォローと、やってきた生徒をきちんと評価をすることですね。ただ、叱ったり褒めたりすればいいってものじゃないんです。

極端な話を言えば、家庭の理解が得られれば、深夜まで面倒を見ますよ。そこまでする必要性の理解を得るために、保護者とのコミュニケーションには多くの時間を使っています。宿題を多く出している理由をきちんと保護者にも理解していただかないと中途半端になってしまいますから。

――個人経営塾が向いているのはどんな子ども、家庭でしょうか?

中里 個人経営とか大手とかはあまり関係ないような気がします。その塾の講師たちがどういう想いで、どういうことをしているか。そこに、共感できるかどうかだと思います。

東都ゼミナールに向いている子と言う点では、勉強できなくていいから根性がある子。こういう子は間違いなく伸びます。やっぱり根性、大事です。大手塾の授業では芽が出なかったとしても、一人ひとりの学力に合わせて課題を出し、時間の制約なしに面倒を見てくれるような個人経営塾の熱い講師に出会えれば凄い成長を遂げますよ。

あと、「子どもの理想の将来像がある家庭」ですね。個人経営塾は、塾長の個性が強く表れます。めちゃくちゃ合うか、まったく合わないかのどちらかです。教育観がはっきりしているほど、その個人経営塾との相性がいいか悪いかがすぐにわかります。うちに通って、かなりがんばっている生徒でしたが、保護者が子どものことをかわいそうだと思って辞めさせてしまうこともありました。親の覚悟、親のビジョンが大事です。途中退塾はいちばん子どもにとってマイナスですからね。

私たち講師は、親よりも受験知識があり、子どもへの学習指導に長けています。でもそれだけです。ただの代行業なんですね。だからこそ指示を出す人、保護者がはっきりとした教育観を持つべきだと思うんです。

――最後に、子ども持つ親へメッセージをお願いします。

中里 子どもの成長をどこかであきらめているというか、妥協している親が増えてきている気がします。もっと、子どもに期待してほしい。夢を持ってほしい。子どもは親の「作品」という側面もありますよね。できるのなら私たちにその作品づくりの手助けをさせてほしいです。

――ありがとうございました。

いかがでしたでしょうか。インタビューに答えていただいた中里塾長も言うとおり、個人経営塾は千差万別です。大手塾が近所にない、通塾しているが今ひとつ成績が上がらない、そんな方は我が子にぴったり合う個人経営塾を探してみるのもいいかもしれません。

■東都ゼミナール
http://www.tohto-semi.com/
東京都江戸川区一之江・船堀の完全少人数制 進学塾。

一之江教室
東京都江戸川区一之江4-11-2
TEL:03-5678-6737

船堀教室
東京都江戸川区船堀1-6-20船堀第二大高ビル3階
TEL:03-6663-9765

■中里太一(なかざと・たいち)
東都ゼミナール代表。
複数の大手進学塾で講師経験を積み、東京都江戸川区一之江で進学塾「東都ゼミナール」を創業。2013年4月、2教室目の船堀教室を開校。徹底した面倒見により、毎年在籍する生徒全員の偏差値を20向上させる。地域の小中学生とその保護者から圧倒的な支持を得ている。
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