年金

令和4年度版・国民年金と同じ保障を民間の年金保険で得るには?

日本に住む20歳以上の方であれば国民年金に加入しなければなりません。しかしながら年金不信などから保険料を納めていない方や、民間の個人年金保険に加入されている方もおられると思います。今回は国民年金と民間の個人年金保険を比較してみたいと思います。

川手 康義

執筆者:川手 康義

ファイナンシャルプランナー / サラリーマン家庭を守るお金術ガイド

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《目次》
国民年金と民間の個人年金保険を比較すると
国民年金と民間の個人年金保険には他にも違いが
年金受け取り前に障害状態や亡くなるとどうなる?
まとめ
 

国民年金と民間の個人年金保険を比較すると

国民年金は20~60歳の40年間加入することで満額を65歳から一生涯受け取れます。保険料と年金額は毎年変更され、令和4年度の保険料は月額1万6590円、年金額は77万7800円です。

これは払い込み期間40年、受け取り開始65歳の終身年金といえます。

民間の年金保険でこれと全く同じ条件を設定することは難しいため、払込金額の近い民間保険会社の個人年金保険を調べてみました(2022年4月時点)。

○払い込み期間:40年(20~60歳)
○受け取り期間:65歳から10年間
○保険料:月額1万5000円
○年金額:年額77万8800円

両者は似ているように思えますが、一つ大きな違いがあり国民年金は「終身年金」なのに対し、個人年金保険は「10年確定年金」です。そのため11年目からは支給されません。

ちなみに40年間の保険料総額は国民年金が約796万円(*)、個人年金保険は720万円です。

*国民年金保険料は毎年変わるため、あくまでも概算額です

《参考》
民間保険会社の個人年金保険
 

国民年金と民間の個人年金保険には他にも違いが

国民年金は保険料や受け取る年金額が毎年改定されます。これは物価や賃金の変動に合わせているからです。一方で民間の終身年金は保険料や受取額は定額(配当によって多少変動)のため、仮にインフレが起こった場合は実質的な年金の価値が目減りしてしまい、新たに追加加入するなどの見直しをする必要が出てきます。

また、国民年金は令和4年度から受給開始可能年齢の上限が75歳に拡充されるなど、根底には年金の支給額を減らしたい政府の思惑も透けて見え、この先の年金制度自体が不透明な部分もあります。

その点、民間の終身年金は保険会社側からの一方的な契約変更などまずあり得ませんので、その点は将来の見通しが立てやすいかと思います。
 

年金受け取り前に障害状態や亡くなるとどうなる?

年金として受け取る前に障害状態や亡くなった場合、国民年金や個人年金保険はどうなるのでしょうか。

国民年金では障害状態1級、2級ならば障害年金が支給され(*1)その後の保険料の払い込みもありません(法定免除)。一方で前述の個人年金保険では障害状態による保険金支払いや保険料の免除制度はなく、当初の契約通りの内容が続きます。

亡くなった場合はどうでしょうか。国民年金に加入していた人が亡くなった時点で「子」もしくは「子のある配偶者」の生計を維持していたら、遺された「子」もしくは「子のある配偶者」は遺族基礎年金を受給できます(*2)。一方で個人年金保険では亡くなる時点までに払い込んだ保険料(+配当金)が死亡給付金として支払われます。

(*1)
・1級は97万2250円、2級は77万7800円に(1、2人目の子22万3800円、3人目以降7万4600円)が加算されます
(*2)
・77万7800円+(1、2人目の子22万3800円、3人目以降7万4600円)
・子とは18歳になる年度末もしくは障害1、2級の場合20歳未満の人が対象
 

まとめ

今回は国民年金と民間の個人年金保険を比較してみましたがいかがでしたでしょうか。国民年金には老後の生活保障以外にも障害状態となった場合の保障や、遺族保障などの役割があることがおわかりいただけたでしょうか。

このように考えると月額1万6590円の保険料で済む国民年金は、意外と優れた保険であるともいえるのではないでしょうか。

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