古代都市テーベとその墓地遺跡
テーベ東岸に広がる王都の中心カルナック神殿のアメン大神殿 ©牧哲雄
テーベは中王国から新王国にかけての首都であり、宗教の中心地。この頃、王たちはピラミッドに代わって数多くの神殿や葬祭殿を建築し、新王国時代には王家の谷に数多くの王墓を築いた。テーベはナイル川の東岸と西岸で役割が異なり、日が昇る東岸はこの世に生きる人間のためにカルナック神殿やルクソール神殿が建てられ、日が沈む西岸は亡き王のための葬祭殿や王家の谷が広がる死の街ネクロポリスとなっている。神々のレリーフや神像、オベリスク、ヒエログリフなど、日本人が想像するエジプトの典型がここにある。
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アブシンベルからフィラエまでのヌビア遺跡群
高さ20mを超える4体のラムセス2世坐像が見下ろすアブシンベル大神殿のファサード
ラムセス2世像が見下ろす大神殿と、愛と美の女神ハトホルを祀る小神殿からなる美しい遺跡で、建築王ラムセス2世の最高傑作といわれる。両神殿とも内部は神々の像や、神の物語や戦争の様子、当時の生活を描いたレリーフ、象形文字ヒエログリフで覆われ、神秘的な空気に包まれている。アスワンハイダムの建設により神殿は水没の危機に瀕するが、約60か国の協力を得て神殿は1,000以上のブロックに分割され、移築された。これを機に世界の重要な遺産を全人類で守っていこうという機運が高まり、世界遺産活動が始動する。
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聖カトリーナ修道院地域
ユダヤ、キリスト、イスラム3教の聖地シナイ山を守る聖カトリーナ修道院 ©牧哲雄
紀元前13世紀、モーセの前に天使たちが現れて、神の言葉を伝える。その後ヘブライ人を率いたモーセは、シナイ山を登って神から十戒を授かる。千年後の3世紀、ローマ帝国のキリスト教弾圧に抵抗したカトリーナは処刑されるが、その遺体は天使たちによってシナイ山に運ばれる。しばしば神がその姿を現し、力を示した聖山シナイと麓の修道院・聖カトリーナ。シナイ山はいまでもユダヤ教・キリスト教・イスラム教の聖地として、多くの巡礼者を集めている。
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ラリベラの岩窟教会群
十字架の形が美しい聖ギョルギス教会。岩をくり抜いて造られている ©牧哲雄
イスラエル王ソロモンと伝説の王国シバの女王の間に生まれたメネリク1世が基礎を築いたという伝説が残るエチオピア。以来現在まで独自のキリスト教文化が伝えられているが、12~13世紀にザグウェ朝のラリベラ王が聖地エルサレムの再現を夢見て建設したのがこのラリベラだ。ハイライトは岩窟教会で、巨大な岩盤を掘り下げて造った11の教会が残っており、現在も国民の半数を占めるエチオピア正教徒たちが祈りを捧げている。ティムカットと呼ばれる1月の祭日には、『旧約聖書』に書かれた契約の箱=アークをかかげて行進する。
モシ・オ・トゥニャ/ヴィクトリアの滝
現地語で「モシ・オ・トゥニャ=雷鳴とどろく水煙」と呼ばれるヴィクトリアの滝。ザンビア側では滝の上で泳ぐことができる ©牧哲雄
ナイアガラ、イグアスと並ぶ世界三大瀑布のひとつで、高さ110mは三大瀑布の中でも最高を誇る。1.7kmに及ぶ大地の裂け目に莫大な水量が落下し、水煙は高さ150mにも達し、30km離れた場所からでも確認できるという。この絶え間ない水しぶきが独自の生態系を築いており、固有種を含む数多くの動植物を育んでいる。一番の見所はもちろん滝だが、ゾウやカバなどの哺乳動物が多いためサファリも楽しめるほか、滝の直下に広がるデヴィルズ渓谷の急流はラフティングの世界的な名所でもある。
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