「きっと大丈夫」! 根拠なき楽観バイアスとコロナ感染

楽観バイアスのイメージ

「みんな元気だしきっと大丈夫!」都合よく良い方に考えてしまう楽観バイアスは、ギリギリのストレス状態で現れやすくなります(画像はイメージ)

新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない今、緊急事態宣言が発出されている地域も、よい効果は見られていないようです。人流が減らない原因の一つに、「楽観バイアス」の影響が懸念されています。「楽観バイアス」とは、物事を自分に都合よく解釈してしまう認知バイアスの一つ。危険な状況のなかでも、「自分はなんとかなるだろう」などと楽観的に解釈しすぎてしまう考え方の癖です。
 
この楽観バイアスが、コロナウイルスの蔓延に影響を及ぼしているのではないかと危惧されています。少しくらいマスクを外して誰かと話しても「きっと大丈夫だろう」、飛沫が飛び交うお店でも「ここには感染者はいないだろう」。状況を甘くとらえる人が増えると、当然のことながら感染拡大は止まりません。自分の心の中の楽観バイアスに騙されないために、心理的メカニズムと対策法を知っておきましょう。
 

楽観バイアスが作動しやすい「ギリギリのストレス状態」

「楽観バイアス」は、過大なストレスから自分を守るために無意識的に生じる心理的作用です。感染への不安、感染対策をし続ける徒労感、人と会って話せない不満……。こうしてストレスが募っていくと、心はとても不安定になっていきます。
 
長引くコロナ禍は、誰にとっても耐えがたい苦痛です。その過大なストレスを払しょくするために、「なんとかなるさ」と楽観バイアスを無意識的に働かせて、心の安定を取り戻そうとする。そのようなギリギリのストレス状態にある人が多い。それもまた理解はできます。
 

自他を感染リスクにさらしてしまう、たった一度の気の緩み

しかし、ストレスの反動によって楽観バイアスに流されると、自他を感染リスクにさらしてしまいます。まじめにコツコツ感染対策を続けてきたのに、つい一杯のお酒、一通の誘いをきっかけに楽観バイアスが作動し、リスク行為を冒して感染してしまう。そんな悲しい事実も、他人事ではありません。
 
楽観バイアスに流されて羽目を外すと、その一瞬は幸福でも、感染後はとてもつらく、苦しい思いをしてしまいます。
 

楽観バイアスに流されないための5つの習慣

では、日々過大なストレスにさらされている私たちが、「楽観バイアス」に流されないためにはどうすればよいのでしょう。私は、基本的な感染対策である、マスク着用、3密回避、不要不急の外出自粛、手洗いうがいなどを徹底しながら、以下の5点を心がけることが大切だと考えています。
 
1. 「一人の意識」が社会を動かしていることを忘れない
 
「自分一人くらい大丈夫」という甘い考えが、簡単に社会を変えてしまいます。「一人の意識」は、それほど強大な力を持っているのです。逆に、いくら甘い考えが蔓延していても、自分は信念を貫く。そうした人が一人いるだけで、社会全体を変えることができます。
 
2. 一つの考え方にとらわれない。「複眼」で自問する
 
ノリや雰囲気で物事を進めるときには、たいてい単一の考え方にとらわれています。楽観バイアスもその一つ。「自分は大丈夫だろう」と軽く考え始めたら、「本当にそうだろうか」「他の見方はないだろうか」と「複眼」(複数の目)で捉えなおす癖をつけましょう。
 
3. 複数人に意見を聞く。電話やオンライン会議システムを活用する
 
2の「複眼」を養うには、色々な人の意見を聞いて「考え方の幅」を広げることが必要です。人によって多様なものの見方、考え方があります。電話やWeb会議システムを活用し、さまざまな人の生の声を聞きながら考えると、多様な情報をヒントに新しいアイディアが湧きやすくなるのでお勧めです。
 
4. 「メタ認知」で心身の4領域をモニタリングする
 
楽観バイアスなどの極端な思考を暴走させないためには、「メタ認知」(自分自身を高い位置から俯瞰する)を働かせて、心身の4領域をモニタリングしましょう。4領域とは、自分の(1)体の状態、(2)感情の傾向、(3)考え方の傾向、(4)行動の傾向の4つです。自分の状態を知ることで、心身の安定のために本当に必要なことを考えることができます。
 
「メタ認知」について詳しくは「「メタ認知」の力を高めれば、ストレスに強くなる!」、「心身の4領域」については「怒りが爆発する前に!無理なく冷静になれる2つの方法」もあわせてご覧ください。

5. 「未来の自分」「大切な人との未来の関係」について、高い志を持って考える
 
羽目を外せば、抱えた憂さは晴れるかもしれません。でも、本当に得たいのは「目先の利益」ではなく、「自分や大切な人が幸せになること」ではないでしょうか。そのためにも「未来の自分」「大切な人との未来の関係」がどのようになっていたいのかを、高い志を持って考えてみましょう。コロナ禍だからこそ考えられること、深められることもあるはずです。
 
今こそ正念場です。基本的な感染対策の徹底とともに以上の5点を心がけながら、誰の心にも湧いてくる「楽観バイアス」に流されず、コロナ禍の試練を乗り越えていきませんか?
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