怒りはぶつけるとトラブルに、抱え込むと恨みになる

怒り

「理不尽だ!」 些細なことから大きなことまで、日常的に起こる理不尽な出来事に、怒りが爆発しそうになったら……

あまりに理不尽な出来事に、怒りが爆発しそうになったことはありませんか? 怒りの感情は、いつどんな時に襲ってくるか分かりません。

たとえば、どうしても欲しい人気商品を買おうと数時間行列に並び、ついに自分の番だと思ったら、まさかの売り切れ……。こんな時には、誰だってやりきれなさとともに怒りを感じることでしょう。その怒りをお店の人にぶつけたくなってしまうかもしれません。

同様に、仕事でもプライベートでも、怒りを覚えるほど理不尽と感じる出来事は、多々あるもの。何気なく生活している中でもふいに訪れるのが怒りの感情です。この怒りの感情が噴出して、感情を丸ごと人にぶつけてしまうとトラブルに発展し、逆にその感情を抱え込むと怒りの感情が煮えたぎり、「恨み」に変わってしまうでしょう。

ではそうならないために、私たちは怒りの感情とどのように付き合っていけばよいのでしょう?

怒りを感じた時に起こる心と体の4つの反応

ある出来事に遭遇した時に、人間の心身では4つの領域に反応が生じます。それが、「感情」「生理機能」「認知」「行動」の4つです。

「直前で商品が売り切れる」という出来事が起こった時、この4つの領域ではどのような反応が起こるのでしょう? 反応の内容は人それぞれですが、たとえば、次のような反応が起こる人も多いのではないでしょうか?
  • 感情……ショック。やりきれなさ。イライラ。ムカムカ。
  • 生理機能(身体)……頭が真っ白になる。胃がキュッとなる。体が固まる。
  • 認知(考え方)……ずっと並んでいたのにひどい。この店に来るんじゃなかった。
  • 行動……「はぁ~っ」と大きくため息をつく。「チッ」と舌打ちをする。

この4つの領域で、「感情」と「生理機能」の変化を意思の力で止めるのは困難です。「イライラしないように」「固まらないように」と感情や生理機能に働きかけても、止めることは難しいのです。

怒りなどの強い感情は一瞬で頂上まで高まるものの、数秒待てば自然に鎮まっていきます。感情と連動して、生理機能も落ち着いていきます。したがって、怒りを感じた後の数秒は、怒りの感情には触らずに、怒りが自然に鎮まるのを待つことが大切です。

直接アプローチできるのは「認知」と「行動」の2つ!

感情、生理機能、認知、行動の4領域の反応は、下図のようにお互いに影響を与えあっています。
人間の心身では、感情、生理機能、認知、行動が互いに影響を与えあっている

人間の心身では、感情、生理機能、認知、行動が互いに影響を与えあっている

先の例では、直前で売り切れてイライラ、ムカムカしている怒りの感情とともに、「ずっと並んでいたのに」「来るんじゃなかった」という認知や体の緊張が生じ、ため息や舌打ちなどの行動が表れます。さらに、怒りの感情に任せて短絡的な行動をとってしまうと、怒りはより強くなるかもしれません。

4つの領域は常に影響を与えあっています。したがって、怒りを感じた時には、相互作用の効果で怒りの感情が高まらないようにしていくことが大切です。

ちなみに、この4つの領域で、私たちが直接アプローチできるのは「認知」と「行動」です。認知や行動が怒りの感情を煽らないように、今生じている認知、今やろうとしている行動を見直してみる。

このように認知と行動に働きかければ、怒りの感情をいたずらに煽ることもなくなるでしょう。

認知へのアプローチ……感情が鎮まるのを待ち、合理的な解決を考える

では、「認知」と「行動」にアプローチする際には、どのようなことを意識するとよいでしょう? まず、認知から説明しましょう。

怒りの感情が沸き上がるとともに、認知はネガティブな方向に深堀りしていきます。大方、「こんな店、もう二度と来ない!」「客を馬鹿にしているのか?」、場合によっては「私は望む物がいつも手に入らない運命だ……」。このように悪い方向にばかり考えてしまいます。

こうした認知がさらなる怒りを掻き立てるため、怒りが自然に鎮まる数秒間は、とりあえず何も考えないようにしましょう。

そして怒りが鎮まってきたら、今起こっている問題を整理し、何をするべきか考えるとよいでしょう。店員も急な売れ行きに対応できず、頭が真っ白になって客に告知する余裕がなかったのかもしれません。気持ちが落ち着けば、相手の事情を想像するゆとりが生まれます。

行動へのアプローチ……感情が鎮まるのを助け、攻撃的ではない伝え方をする

では、行動についてはどのようにアプローチするとよいのでしょう? 怒りの感情は、数秒待てば自然に鎮まるのでしたね。その間には、短絡的な行動をしないことが大切です。

たとえば、店員に食って掛かったり、街路樹を蹴っ飛ばしたりするような行動をすると、あとで「あんなことするんじゃなかった」「恥ずかしい姿を見せてしまった」と後悔するかもしれません。

では、この怒りが鎮まるまで間に何ができるでしょう。一つの方法として「足に意識を向ける」という方法があります。人間はカッとなると、頭に血が上り、熱くなるような感覚を覚えます。その頭に上った血が足の方に落ちてくるようなイメージで、足に意識を向けましょう。すると、イライラした気持ちがすーっと落ち着きやすくなります。

そして、怒りが鎮まったら自分の思いを店員に伝え、改善を求めてみるといいかもしれません。その際には、相手を責める言い方ではなく、「困っている」という気持ちを伝え、「こうしてもらえると助かる」という言い方で伝えると、相手も耳を傾けやすくなるでしょう。

このように、怒りを感じた時には怒りの感情が自然に鎮まるのを待つこと。そして、認知と行動に上手に働きかけて、怒りを煽らないような思考、行動を選択していきましょう。すると、怒りの感情に振り回されず、合理的で建設的な毎日を送ることができると思います。
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