起業・会社設立のノウハウ

飲食店がDX&情報共有ツールに「Slack」を選んだワケ。具体的な活用方法は?(2ページ目)

「DX」が騒がれている昨今、飲食業界でもさまざまな工夫を行っているお店があります。今回は筆者が経営する「原価BAR」の事例から、小規模飲食店の「slack」活用術を紹介します。

柳谷 智宣

執筆者:柳谷 智宣

スマートフォンガイド

運用面で気をつけていること

「Slack」の大きな機能として「スレッド」があります。チャットのメインの流れから話題が枝分かれした時に、個別に会話を続行する機能です。実は、「Slack」のユーザー機能でもうまく使いこなせていない企業が多く、なんなら「スレッド」を禁止するところもあります。

しかし、「スレッド」はメインのチャンネルの流れを止めず、個別の話題を深掘りできるので積極的に活用したいところです。スレッドへの投稿は参加者かメンションを付けられた人にしか通知が行かないので、うるさくもなりません。もし、全員に見てもらいたいなら、チャンネルにも同時投稿するチェックボックスが用意されています。
スレッドを利用し、多数の話題をスムーズに進められます

スレッドを利用し、多数の話題をスムーズに進められます

運用で気をつけているのは、ゾンビチャンネルを増やさないことです。誰でも勝手にチャンネルを作って良いことにしているのですが、活用が進んでいない場合は、無理に使おうとするのではなく、閉じるように促しています。削除ではなくアーカイブすれば、検索はできるので、今まで蓄積した情報は無駄になりません。

「Slack」の導入企業取材で何度も耳にしていたのですが、案の定「@everyone」や「@channel」というメンションを付けて全体発信をする人が出てきました。もちろん、超重要もしくは緊急の案件であれば仕方がないのですが、通常時に使う機能ではありません。ITリテラシーがあれば常識ですが、当然教えてもらったことがなければ分かりません。全体メンションを見かける度に、本当に必要な個人を追加するだけでよいと説明しました。
 

「Googleカレンダー」や「Zoom」と連携

「Slack」は外部サービスと連携できるのも大きなウリです。現在は、「Googleカレンダー」と連携させてイベントを管理したり、「Zoom」と連携させてビデオ会議を手軽に利用できるようにしています。ただし、スタッフはあまり、外部連携には興味がなさそうです。
ビデオ会議サービス「Zoom」を「Slack」から手軽に利用できるように連携しています

ビデオ会議サービス「Zoom」を「Slack」から手軽に利用できるように連携しています

コロナ禍で飲食店は致命的なダメージを受けています。月に1~2万円だとしても、可能な限り縮小したいと考えています。原価BARでも解約できるものは一時的にでも解約しています。しかし、「Slack」は無理です。便利かどうかというより、すでにインフラとなってしまっているからです。レスポンスよく密なコミュニケーションを取り、過去の情報も検索して活用できる「Slack」はもう手放せないと言って良いでしょう。

BtoBのSaaSとして、1人当たり月額960円というのは安い部類です。ただ、飲食店としては毎月1万円オーバーの固定出費はなかなか勇気のいるチャレンジでした。通話機能も連携機能もない、もう少し安い基本プランがあると嬉しいかな、とも感じています。

まだ、単なる情報共有のためのデジタル化が進んだという段階で、外部サービスと連携させてDXを実現するところまではたどり着けていません。しかし、飲食店といえども、コロナ禍、そしてニューノーマルの時代を見据えると、DX化しないと生き残っていくことは難しいでしょう。DX化が遅れているといわれている飲食業界ですが、頑張ってチャレンジしていきたいと思います。
原価BAR三田本店は緊急事態宣言明けから再稼働します。ご来店お待ちしております!

原価BAR三田本店は緊急事態宣言明けから再稼働します。ご来店お待ちしております!



原価BAR三田本店
https://genkabar.jp/


【おすすめ記事】
「また時短要請か……」コロナ禍で苦境に陥ったBARがDXと新店オープンにチャレンジする話
飲食店が緊急事態宣言を機に超アナログ管理から「kintone」を使ってDXに挑む

 
【編集部おすすめの購入サイト】
Amazonで起業関連の書籍をチェック!楽天市場で起業関連の書籍をチェック!
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます