・国民年金の納付率は76.3%
・国民年金と民間の個人年金保険を比較してみると
・国民年金と民間の個人年金保険には他にも違いが
・国民年金には老後の生活保障以外の役割もあります
・まとめ
国民年金の納付率は76.3%
厚生労働省の最新データによると国民年金保険料の令和元年度における最終納付率は76.3%であり、前年度から1.7ポイント増加しています。年々納付率は上昇傾向にはあるものの、納付されるべき期間の約24%は納付されておらず、根底には将来の年金制度への不安・不信があることや、民間の個人年金保険に入っており必要ないと考える方もいるようです。
《参考》厚生労働省 令和元年度 国民年金の加入納付状況
国民年金と民間の個人年金保険を比較してみると
それでは国民年金と民間の個人年金保険を比較するとどこに違いがあるのでしょうか。国民年金(基礎年金)は、20歳から60歳までの40年間にわたって保険料を納めると、65歳から死亡するまで満額の年金が受け取れます。保険料と年金額は毎年見直され、令和3年度は毎月の保険料が1万6610円、受け取れる年金額は満額の場合78万900円です。
これは60歳保険料払込満了、据置期間5年、65歳年金受取開始の終身年金といえます。
民間の終身年金でこれと全く同じ条件を設定することは難しいため、払込金額の近い民間保険会社の個人年金保険を調べてみました。(2021年4月時点)
〇月保険料1万5000円
〇20歳払込開始、60歳払込満了
〇65歳年金開始
〇10年確定年金
〇年金額 77万8800円
両者は似ているように思えますが、受け取り方に大きな違いがあり、国民年金が「終身年金」であるのに対し、この個人年金保険は「10年確定年金」のため11年目からは支給されません。
ちなみに20~60歳の40年間の払込総額は国民年金が約797万円(*)、民間保険会社の商品は720万円です。
*国民年金の保険料は毎年変わるためあくまでも概算額
《参考》民間保険会社の個人年金保険例
国民年金と民間の個人年金保険には他にも違いが
国民年金の保険料や受取年金額は毎年改訂されることは前述の通りですが、これは物価や賃金の変動に合わせているからです。一方で民間の終身年金は保険料や受取額は定額(*)のため、例えば大きなインフレが起こった場合などは、その後のライフプランの見直しをする必要が出てきます。*受取額は配当によって多少変わります
なお国民年金では支給開始を75歳までに遅らせることができる法案が昨年可決され、その根底には年金の総支給額を減らしたい政府の思惑があり、年金制度自体がこの先どうなるか不透明な部分もあります。
一方で民間の終身年金は保険会社側からの一方的な契約変更などまずあり得ませんので、その点は将来の見通しが立てやすいかと思います。
国民年金には老後の生活保障以外の役割もあります
国民年金は老後の生活保障(基礎年金)以外にも障害状態になったときの障害保障(障害基礎年金)、本人が死亡したあとの家族の生活を支える遺族保障(遺族基礎年金)の役割もあります。民間の保険で同じ内容を得るのであれば、先ほど試算した年金保険料以外に年齢や性別に応じた別建ての保険に入り保険料を払う必要があります。
国民年金は年齢性別問わず一律1万6610円ですが、これらの全てをカバーしていることを考えれば意外と優れた保険であるともいえそうです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は国民年金と民間の年金保険を保険料や他の保障内容について比較してみました。国民年金は老後の生活保障以外にも障害保障や遺族保障もカバーしていますので未納だけは避けておきたいところです。金銭的に余裕がない場合には免除・猶予制度も検討することをお勧めいたします。
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