鬼の正体とは何か?
「鬼滅の刃」でも注目されている鬼の正体とは?
<目次>
Q. 鬼とは? 人間が鬼になるの?
鬼は悪・善・神などさまざまな捉え方があります
それらの背景にあるのが、本来、鬼は「死者の霊」であるという考え方です。言い換えれば、人間が鬼になるということになります。人の死去を「鬼籍に入る(きせきにいる)」というのはその表れで、鬼を祖霊や神と結びつけるようにもなりました。そして、鬼には超人的な能力があり、人間の禍福(かふく。わざわいと幸せ)を支配する存在だと捉えるようになりました。超人的なものに対するおそれや憧れから、鬼は多種多様な描かれ方をするようになったと考えられています。
また、日本の文化には、物事は陰と陽で成り立っているという「陰陽思想」が深く関係しています。たとえば、“月は陰・太陽は陽”になります。邪気の象徴となる鬼は「陰」です。
Q. 鬼の語源、漢字や読み方の意味・由来は?
「おに」という言葉は、姿が見えないこの世のものではないものを意味する「隠(おぬ)」が転じた、「陰(おん)」が転じた、などの説があります。「鬼」(おに/キ)という漢字は死体の象形文字で、人は死んだら鬼になると考えられ、大きな頭の形がこの世の人とは異なることを示しています。中国では、鬼とは死者の霊魂そのものであり、姿形のないものとされました。それが日本に伝わると、死に対する恐怖から鬼は恐ろしくて怖いものと捉えられていったようです。
Q. 仏教における鬼とは?
仏教における考え方も、鬼の捉え方に影響しています。仏教では業に従って輪廻転生する世界を「地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人間道・天道」という六つで説いています。この中の「餓鬼道」は、絶えず飢えに苦しみ、食べ物を口に近づけるとすべて炎となって口に入れられず、決して満たされることがありません。また、地獄には閻魔王のもとで死者を責めたてる獄卒(ごくそつ)という鬼がいる、戦闘を好む阿修羅は鬼神とされるなど、仏教には鬼に関わることが多くあります。
Q. 鬼はどこにいる? いつ活動するの? 鬼の姿や衣装は?
鬼は鬼門(丑寅)から出入りすると考えられたことから、鬼のいる方角・時間・姿には丑寅が関係しています
鬼が活発に活動するのは、丑寅の時刻です。丑寅の時刻は、今でいうと深夜2時から4時頃。つまり、鬼は真夜中に活動するとされています。
このように鬼は丑寅に関係するので、ウシの角、トラの牙や爪をもち、トラ皮の衣装をつけた姿で表現されるようになりました。
Q. 鬼の苦手なものは?
邪気=鬼は強いにおいと尖ったものに弱いので、節分に柊鰯を飾ります
Q. 節分に「鬼は外!福は内!」と豆まきをするのはなぜ?
豆は「魔滅(まめ)」、大豆を炒ることで「魔目(まめ)を射る」に通じます
鬼はどこにでもひそんでいて、隙があると暴れだします。人の心の中にも鬼がひそんでいるので、豆まき後に豆を食べ、心の邪気(邪心)も払います。
▷詳しくは「節分のいろは~由来・豆まきの仕方・鰯と柊の意味・恵方巻の食べ方」
Q. 鬼伝説や鬼にまつわる物事は?
鬼にまつわる物事は多種多様。有名で特徴的なものをあげてみます。●おとぎ話「桃太郎」
桃太郎が犬・猿・雉を従えて鬼を退治する背景には、文化的な意味があります
▷詳しくは「桃の節句の起源・由来、ひな祭りといえば?桃太郎との意外な関係も」
●大江山の鬼伝説
京の都で暴れまわっていた酒呑童子という鬼を、渡辺綱を隊長とする討伐隊が退治します。ここから、渡辺姓は節分に豆まきをしないようになったとか。
▷詳しくは「鬼は内?鬼は外?豆まき珍風習」
●日本刀「鬼切/鬼切安綱(おにきりやすつな)」
渡辺綱が鬼の腕を切ったという名刀。重要文化財に指定されています。
●能「紅葉狩」
戸隠山にすむ「紅葉」という名の鬼女を平維茂が退治する話をもとにした能の演目。初心者にもわかりやすく人気です。
▷詳しくは「紅葉狩りの起源・豆知識…紅葉を狩ると言うのはなぜ?紅葉は鬼女?!」
●般若
嫉妬や恨みで鬼と化した女性を表します。
般若の面は、嫉妬や恨みで鬼と化した女性を表します
●夜叉
恐ろしく猛悪なインドの鬼神で、仏教に取り入れられて毘沙門天に仕える鬼神となりました。男と女がいます。
夜叉は、人に恩恵を与える寛大さと人を殺害する凶暴さとを併せ持つとされています
●「鬼嫁」「○○の鬼」「鬼才」
「鬼嫁」は恐ろしい嫁、「○○の鬼」「鬼才」はすごいパワーや超人的な才能をもつ人をいいます。
●そのほかにも、鬼を崇める社寺や鬼伝説の残る地域が多々あり、それらは節分の掛け声に反映されています。
▷詳しくは「鬼は内?鬼は外?豆まき珍風習や恵方巻以外もある各地の節分行事食」
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