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鬼の正体とは?由来・生態・苦手な匂い・日本古来の鬼伝説【Q&A解説】

節分の鬼や「鬼嫁」「○○の鬼」「鬼才」といった言葉などがあるように、私たちのまわりにはさまざまな鬼がいます。大ヒットの「鬼滅の刃」も、鬼という共通概念があるから成立しています。そもそも鬼とはどんなものなのか? 人間が鬼になるのか? 鬼の正体を知るためにその漢字の語源や意味・由来、何処にいて・いつ活動するのか、姿形、苦手なもの、節分に豆まきをして鬼を払う理由、鬼伝説や鬼切刀などの豆知識をQ&A形式で解説します。

三浦 康子

執筆者:三浦 康子

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鬼の正体とは何か?

「鬼滅の刃」でも注目されている鬼の正体とは?

「鬼滅の刃」でも注目されている鬼の正体とは?

節分の鬼から、「鬼嫁」「○○の鬼」「鬼才」といった言葉まで、私たちのまわりにはさまざまな鬼がいます。大ヒットしている「鬼滅の刃」も、鬼という共通概念があるから成立しています。そもそも鬼とはどんなものなのか? 鬼の正体を知るために漢字の語源や意味・由来、どこにいていつ活動するのか、姿形、苦手なもの、鬼伝説や豆知識などを説明します。
<目次>

Q. 鬼とは? 人間が鬼になるの?

鬼は悪・善・神などさまざまな捉え方があります

鬼は悪・善・神などさまざまな捉え方があります

鬼は、恐ろしいもの、力強いもの、超人的なものの象徴とされています。人に危害を加えたり、人を食べたりするなど「悪」の存在であることが多いのですが、人を助けたり幸せをもたらす「善」や、崇められる「神」など、多様な捉え方があります。

それらの背景にあるのが、本来、鬼は「死者の霊」であるという考え方です。言い換えれば、人間が鬼になるということになります。人の死去を「鬼籍に入る(きせきにいる)」というのはその表れで、鬼を祖霊や神と結びつけるようにもなりました。そして、鬼には超人的な能力があり、人間の禍福(かふく。わざわいと幸せ)を支配する存在だと捉えるようになりました。超人的なものに対するおそれや憧れから、鬼は多種多様な描かれ方をするようになったと考えられています。

また、日本の文化には、物事は陰と陽で成り立っているという「陰陽思想」が深く関係しています。たとえば、“月は陰・太陽は陽”になります。邪気の象徴となる鬼は「陰」です。
 

Q. 鬼の語源、漢字や読み方の意味・由来は?

「おに」という言葉は、姿が見えないこの世のものではないものを意味する「隠(おぬ)」が転じた、「陰(おん)」が転じた、などの説があります。
 
「鬼」(おに/キ)という漢字は死体の象形文字で、人は死んだら鬼になると考えられ、大きな頭の形がこの世の人とは異なることを示しています。中国では、鬼とは死者の霊魂そのものであり、姿形のないものとされました。それが日本に伝わると、死に対する恐怖から鬼は恐ろしくて怖いものと捉えられていったようです。
 

Q. 仏教における鬼とは?

仏教における考え方も、鬼の捉え方に影響しています。仏教では業に従って輪廻転生する世界を「地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人間道・天道」という六つで説いています。この中の「餓鬼道」は、絶えず飢えに苦しみ、食べ物を口に近づけるとすべて炎となって口に入れられず、決して満たされることがありません。
 
また、地獄には閻魔王のもとで死者を責めたてる獄卒(ごくそつ)という鬼がいる、戦闘を好む阿修羅は鬼神とされるなど、仏教には鬼に関わることが多くあります。
 

Q. 鬼はどこにいる? いつ活動するの? 鬼の姿や衣装は?

鬼は鬼門(丑寅)から出入りすると考えられたことから、鬼には丑寅が関係しています

鬼は鬼門(丑寅)から出入りすると考えられたことから、鬼のいる方角・時間・姿には丑寅が関係しています

鬼は鬼門から出入りするとされています。その鬼門は丑寅(うしとら。艮)の方角にあるので、丑寅の方角=北東にいると考えられています。

鬼が活発に活動するのは、丑寅の時刻です。丑寅の時刻は、今でいうと深夜2時から4時頃。つまり、鬼は真夜中に活動するとされています。

このように鬼は丑寅に関係するので、ウシの角、トラの牙や爪をもち、トラ皮の衣装をつけた姿で表現されるようになりました。
 

Q. 鬼の苦手なものは?

鬼=邪気は強いにおいと尖ったものに弱いので、節分に柊鰯を飾ります

邪気=鬼は強いにおいと尖ったものに弱いので、節分に柊鰯を飾ります

鬼は邪気の象徴とされ、古来、邪気は強いにおいと尖ったものに弱いとされています。節分の際、焼いて臭気を強めた鰯の頭を葉先が尖った柊に刺した「柊鰯」「焼い嗅がし」を玄関先に飾るのは、鬼の苦手な鰯の臭いと柊の棘で鬼が家に入らないようにするためです。
 

Q. 節分に「鬼は外!福は内!」と豆まきをするのはなぜ?

豆は魔滅(まめ)に、大豆を炒ることで「魔目(まめ)を射る」に通じます

豆は「魔滅(まめ)」、大豆を炒ることで「魔目(まめ)を射る」に通じます

古来、人間の力ではどうにもならない天災、飢饉、疫病などは鬼の仕業と考えられてきました。年の節目にあたる立春前日の節分は、鬼=邪気が入りやすいとされたため、新しい年に向けて家中の鬼を払い、福を呼び込むために豆まきをするようになりました。

鬼はどこにでもひそんでいて、隙があると暴れだします。人の心の中にも鬼がひそんでいるので、豆まき後に豆を食べ、心の邪気(邪心)も払います。

▷詳しくは「節分のいろは~由来・豆まきの仕方・鰯と柊の意味・恵方巻の食べ方
 

Q. 鬼伝説や鬼にまつわる物事は?

鬼にまつわる物事は多種多様。有名で特徴的なものをあげてみます。

●おとぎ話「桃太郎」
桃太郎が犬・猿・雉を従えて鬼を退治する背景には、文化的な意味があります

桃太郎が犬・猿・雉を従えて鬼を退治する背景には、文化的な意味があります

桃の実から生まれた桃太郎が犬・猿・雉を従え、鬼ヶ島へ行って鬼を退治する話。犬・猿・雉は裏鬼門に位置する申・酉・戌に由来。古来、桃の木は神聖で邪気を払う力があるとされ、桃の実は生命を宿す女性を意味していると考えられています。
▷詳しくは「桃の節句の起源・由来、ひな祭りといえば?桃太郎との意外な関係も
 
●大江山の鬼伝説
京の都で暴れまわっていた酒呑童子という鬼を、渡辺綱を隊長とする討伐隊が退治します。ここから、渡辺姓は節分に豆まきをしないようになったとか。
▷詳しくは「鬼は内?鬼は外?豆まき珍風習
 
●日本刀「鬼切/鬼切安綱(おにきりやすつな)」
渡辺綱が鬼の腕を切ったという名刀。重要文化財に指定されています。
 
●能「紅葉狩」
戸隠山にすむ「紅葉」という名の鬼女を平維茂が退治する話をもとにした能の演目。初心者にもわかりやすく人気です。
▷詳しくは「紅葉狩りの起源・豆知識…紅葉を狩ると言うのはなぜ?紅葉は鬼女?!
 
●般若
嫉妬や恨みで鬼と化した女性を表します。 
般若の面で嫉妬や恨みで鬼と化した女性を表します

般若の面は、嫉妬や恨みで鬼と化した女性を表します


●夜叉
恐ろしく猛悪なインドの鬼神で、仏教に取り入れられて毘沙門天に仕える鬼神となりました。男と女がいます。
夜叉は、人に恩恵を与える寛大さと人を殺害する凶暴さとを併せ持つとされています

夜叉は、人に恩恵を与える寛大さと人を殺害する凶暴さとを併せ持つとされています


●「鬼嫁」「○○の鬼」「鬼才」
「鬼嫁」は恐ろしい嫁、「○○の鬼」「鬼才」はすごいパワーや超人的な才能をもつ人をいいます。
 
●そのほかにも、鬼を崇める社寺や鬼伝説の残る地域が多々あり、それらは節分の掛け声に反映されています。
▷詳しくは「鬼は内?鬼は外?豆まき珍風習や恵方巻以外もある各地の節分行事食

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