若い女性の自殺者数が74%増……コロナ禍で深刻化する精神的な問題
コロナ終息の兆しが見えない中で、女性の自殺件数が急増しています。背景には何があるのでしょうか
このことからコロナ禍において、若い女性が精神的に追い込まれやすい状況になっていることが分かります。ウィズコロナが長引く中でストレスが溜まり、家庭内でのいざこざや暴力、虐待が深刻化しやすいこと。学校ではオンライン授業、もしくは会話は控えめにすることが求められていること。友人とも心置きなく会いにくい状況であること。仕事が激減し、生活を維持できない人もいること。こうした状況では、絶望的な気分が高まってしまうのも無理はありません。
女性の自殺件数増加の一因として考えられる「コミュニケーション量の不足」
では、コロナ禍ではなぜ男性より女性の方が精神的に追い込まれやすいのでしょう。これにはいくつもの要因が考えられますが、その一つに、ウィズコロナによるコミュニケーション量の不足が挙げられます。女性はそもそも、コミュニケーションの量を重視していることが多いと感じます。そのため、お互いの生活の中で感じたこと、考えたことを思いつくままに話しながら、何度も気持ちを受け止めあったり、共感しあったりする時間をとても大切にしているように思います。したがって、女性には気の合う相手と(多くの場合、女性同士で)たっぷり色んな話をし、おいしいものを一緒に食べて笑い合ったりする時間が失われてしまうと、心のバランスを取りにくくなるのでしょう(もちろん、個人差はあります)。
男性ももちろん、コミュニケーションはストレス解消の重要な手段ですが、女性に比べると会話の量は少なめでも充足することが多いと考えられます。その代わりに、会話以外の手段(趣味など)によるストレス解消法を重視している人も多いものです(個人差はあります)。
このように、女性はコミュニケーションによってストレスを解消する傾向が高いことが、コロナ禍の自殺件数の増加に関係しているのかもしれません。 コロナ禍で人と人との気軽なコミュニケーションの機会が分断されてしまったことで、ストレス解消の手段を失ってしまった女性は、とても多いのではないでしょうか。
長引くコロナ禍でメンタルを病まない方法・対策法
会話によってストレスを解消することの多い女性は、コロナ禍でどのようにメンタル管理を行っていくとよいのでしょう。私は感染に気をつけながらも、やはりコミュニケーションをとり続けていくことが重要だと思います。コミュニケーションは、「言葉」のやりとりだけではありません。場の雰囲気や会ったときの空気感、お互いの波長を合わせること、共感、喜怒哀楽の表出など、人と人との心を通わせるためには、ノンバーバルなコミュニケーションこそ必要なのです。
SNSやメール、電話、オンラインだけでは心が満たされないと感じるなら、実際に会って話すことが大切です。時間に余裕を持ち、会話の目的やゴールを設定せず、たわいもないおしゃべりを通じてノンバーバル・コミュニケーションを楽しむこと。こうした時間が心の疲れを癒やし、明日の元気をつくるためには必要です。
会話の際にはマスクを着用する、対面ではなく斜めの位置に座る、換気の良い場所で話すなど、感染防止に気を配りながらも、コミュニケーションは続けていきましょう。
自殺願望がよぎるほどつらいときは、とにかく「話してみること」を
死にたいほどつらい気持ちになっているときには、一つの考えにとらわれており、物事の捉え方がとても狭くなっています。コロナ禍でコミュニケーションがとれなくてつらいときには、ぜひ身近な人や相談窓口の人と思いつくままに話をしてみましょう。話すことで少し気持ちが楽になると、心に余裕ができますし、考え方の幅が広がり、一つの考え方にとらわれなくて済むようになります。すると、物事は必ずしも深刻に考えなくてもよいことが分かり、未来への希望も湧いてくるでしょう。