確実に変化するお金に関するトピックを押さえて、家計を支える準備を!
2020年、新型コロナウイルスが世界を襲い、明日さえどうなるのか分からない不安定な状況に覆われています。感染症は人々の生活様式だけではなく、お金に対する意識も変容させていっています。不確実なことが多い今だからこそ、確実に変化するお金に関するトピックを押さえて、家計を支える準備をしましょう。それでは、2021年のお金に関するトピックを月ごとに見ていきましょう。【2021年・1月のお金カレンダー】
■子の看護休暇・介護休暇が時間単位で取得可能に
育児・介護休業法施行規則等が改正され、育児や介護を行う労働者は、子の看護休暇や介護休暇を柔軟に利用できるように、年5日(対象家族が2人以上であれば年10日)を限度として、1日または時間単位で取得できるようになります。改正前は、子の看護休暇や介護休暇は、1日の所定労働時間が4時間超の労働者に対して、半日単位での取得が可能となっていました。改正後は、全ての労働者が中抜けなしの連続する時間単位で、取得が可能になります。
子どもが急に熱を出してしまい、病院に一緒に付き添ってから出勤するとか、介護する親に突発的な対応が必要な時など、所要時間に応じてより柔軟に取得できるようになります。改正によって、育児や介護を理由に離職をする人が少しでも減ればいいなと思います。
■みずほ銀行、通帳発行手数料を有料化
みずほ銀行は、2021年1月18日 (予定)より、通帳発行手数料の一部を有料化します。2021年1月18日以降に新規開設した口座に対し、通帳の発行・繰越の都度、1冊1,100円(税込)の手数料がかかるようになります。2021年1月17日(予定)以前に開設した口座や、通帳発行・繰越時70歳以上の場合は手数料が無料となる予定です。休眠口座等活用法の成立(2016年12月9日)を契機に、各銀行では、個人顧客の口座管理コスト削減のためにATM手数料の改定や、口座管理手数料導入を検討するなどの動きを見せています。私たち消費者としては、無駄な手数料を節約するという目的のほか、家計にある口座を見直す良い機会となるでしょう。
【2021年・2月のお金カレンダー】
■確定申告開始、2020年所得税法改正後の初めての確定申告
2020年分の所得税の確定申告は、2021年2月16日(火)※から3月15日(月)に行います。2020年分から適用の税制改正により、給与所得控除・公的年金控除が一律10万円引き下げられ、基礎控除が一律10万円引き上げられました。会社員など年末調整を行い確定申告が不要な人は、すでに改正分が反映されて計算されています。個人事業主や確定申告が必要な人は、控除額が変わっているので、間違えないように注意しましょう。※還付申告の場合は、2月15日(月)以前でも行えます。
年収850万円以下の会社員などの給与所得者は、所得税の増減はありませんが、年収850万円超の場合は増税になります。ただし、子育て世帯や特別障害者を扶養する世帯は、影響が出ないように所得金額調整控除制度が設けられました。
個人事業主の場合、基礎控除が10万円引き上げられたことにより、減税になりますが、青色申告控除が65万円から55万円に引き下げられました。e-Taxによる申告または電子帳簿保存を行う場合は、引き続き65万円の控除を受けられるので、減税効果を受けたい場合は、電子申告対応が必要です。
【2021年・3月のお金カレンダー】
■マイナカードが健康保険証に(申込が必要)
2021年3月からマイナンバーカードが健康保険証として利用できるようになります。利用できる医療機関・薬局等については、今後、厚生労働省・社会保険診療報酬支払基金のホームページで公表される予定です。マイナンバーカードを健康保険証として利用するためには、事前の申込が必要です。申込は、パソコンまたはスマートフォンのマイナポータルのトップページから行えます。マイナンバーカードの健康保険証の利用を申込むことで、医療機関・薬局等でスピーディーな資格確認ができるほか、就職・転職・引越しをしても、健康保険証の切替えを待たずに、マイナンバーカードで医療機関に受診することができるようになります。
【2021年・4月のお金カレンダー】
■高年齢者雇用安定法改正、70歳までの就業機会の確保の努力義務
少子高齢化が急速に進展し人口が減少する中で、働く意欲がある高年齢者が活躍できるよう、70歳までの就業機会の確保について、多様な選択肢を法制度上整え、事業主としていずれかの措置を制度化する努力義務が設けられます。現行制度では、高齢者の雇用確保のため事業主に対して、(1)65歳までの定年引上げ、(2)65歳までの継続雇用制度の導入、(3)定年廃止のいずれかの措置を講じる義務を設けています。
今回の改正によって、高齢者の就業機会の確保の目標を65歳から70歳に引き上げ、(1)70歳までの定年引上げ、(2)70歳までの継続雇用制度の導入、(3)定年廃止、(4)高年齢者が希望するときは、70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入、(5)高年齢者が希望するときは、70歳まで継続的に事業主が関係する社会貢献事業に従事できる制度の導入のいずれかの措置を講じる努力義務が設けられます。
ようやく65歳雇用延長が定着してきましたが、今回の改正は70歳雇用延長に向けて動き出したと言えるでしょう。長期にわたる就業を踏まえ、キャリア設計をいかにするかを考えることは、ますます重要になるでしょう。
【2021年・5月のお金カレンダー】
■自動車税・固定資産税など税・社会保険料の支払いが集中
各自治体によって時期が異なる場合がありますが、5月頃になると、自動車税や固定資産税などの税金関係の納付書が集中して届きます。自営業の場合は、4月に国民年金の納付書が届き、4月末から第1期の支払いが開始、6月頃には住民税(普通徴収)、国民健康保険の納付書が届きます。毎月の生活費とは異なり、家計の支出からついつい忘れてしまいがちな税金・社会保険料ですが、納付書が届いてから慌てないように、計画的に貯めておきましょう。
【2021年・6月のお金カレンダー】
■2021年度個人住民税の改正
5月中旬から6月初旬頃になると、各市区町村から住民税額決定通知書が特別徴収の場合は勤め先に、普通徴収の場合は、直接本人に送付されます。会社員や公務員など特別徴収を選択している場合、6月の給与から新しい住民税額が天引きされます。住民税も所得税と同様に、給与所得控除や基礎控除等の改正があり、2021年度分の住民税から適用されます。前年にふるさと納税を行った人は、ふるさと納税の還付分が反映された、本来の住民税額よりも少ない金額で徴収されます。ふるさと納税をした時に前払いした分が、翌年の住民税で返される仕組みになっているので、税金が減って手取りが増えたと思って使ってしまうと、無駄な支出になってしまうので注意が必要です。
【2021年・7月のお金カレンダー】
■東京オリンピック・パラリンピック開催、国民の祝日が移動
2020年夏の東京オリンピック・パラリンピックが新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大を受けて、2021年夏の開催に延期されました。開催期間は東京オリンピックが2021年7月23日(金)から8月8日(日)、東京パラリンピックが2021年8月24日(火)から9月5日(日)までとなっています。また、東京オリンピック・パラリンピック開催にともない、国民の祝日に関する法律で定める祝日が、「東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法」の改正によって、7月22日(木)が海の日、7月23日(金)がスポーツの日(旧・体育の日)、8月8日(日)が山の日となります。8月9日(月)は、山の日の振替休日となります。新型コロナウイルスの感染症の終息がまだまだ見えませんが、無事に開催できることを祈るばかりです。
【2021年・8月のお金カレンダー】
【8月】■普通預金の利息入金、定期預金の利息も再チェック!
8月に銀行の普通預金口座の通帳を見ると、普通預金の利息がついていることがあります。一般的な銀行の普通預金の利息は、毎年2回、2月・8月の第2金曜日の翌日に入金されます。三大メガバンクの普通預金金利は年利0.001%で過去最低水準です(2020年12月6日現在)。また、定期預金の金利も300万円未満のスーパー定期、1000万円以上の大口定期、期間も1カ月から10年までいずれも年利0.002%になっています。三大メガバンクでは、定期預金の金利が2020年4月に一斉に引き下げられました。定期預金を自動継続にしている人は、預入金額・期間によっては、計算上、利息が全くつかない場合もあるので、今一度チェックしてみましょう。
【2021年・9月のお金カレンダー】
【9月】■2021年のシルバーウイークは3連休
2021年のシルバーウイークは、9月18日(土)、19日(日)、20日(月・敬老の日)の3連休。2日空けて、23日(木・秋分の日)になっています。21日(火)、22日(水)、24日(金)の3日間、休みを取れば9連休になります。例年、敬老の日を前に、厚生労働省は、老人福祉法で「老人の日」と定めた、9月15日時点で100歳以上の高齢者の数を9月1日時点の住民基本台帳を基に集計し、発表しています。100歳以上の人口はここ数年増加のペースが加速し、2019年9月15日時点で7万1274人、2020年9月15日時点で8万450人となっています。令和元年度の簡易生命表によると、100歳まで生きられる確率(生存率)は、男性1.86%、女性7.37%です。人生100年時代を見据えたライフプランとマネープランを立てるのに最適な時期と言えるでしょう。
【2021年・10月のお金カレンダー】
【10月】■マイナポータルで医療情報が閲覧可能に
2021年3月開始のマイナンバーカードの健康保険証利用の申込をした場合、マイナポータルを通して、特定健診情報や薬剤情報・医療費を閲覧することができるようになります。自身の健康管理に役立てることができるほか、これらの情報を活用し、過去に処方された薬や特定健診の結果を医師や薬剤師に正確に伝えることができ、適切な診療や処方が受けられるようになります。また、2021年分の確定申告から、確定申告における医療費控除の手続きで、マイナポータルを通じて医療費情報を自動入力することが可能になります。
【2021年・11月のお金カレンダー】
【11月】■保険料支払い証明書、年末調整の準備
10月下旬から11月上旬にかけて、各保険会社から保険料支払証明書が、iDeCoを利用している人は、国民年金基金連合会から確定拠出年金(個人型年金)の払込証明書が届きます。また、会社からは、12月の最後の給与等の支払いの際に行う年末調整のために、扶養控除等(異動)申告書や保険料控除申告書、住宅ローンを組んでいる人で該当者は、住宅借入金等特別控除申告書の提出を求められます。12月に入ると何かと忙しくなるので、早めに準備しておきましょう。また、各金融機関から送られてくる証明書類に目を通すことで、現在の保険の加入状況や住宅ローンの借り入れ状況に改めて目を通す機会になります。見直しの必要性の有無を検討してみましょう。
【2021年・12月のお金カレンダー】
【12月】■ふるさと納税の限度額と締切に注意
ふるさと納税は、自分が応援したいと思う自治体を選び、そこに寄附する制度です。寄附したお金は、2,000円を指し引いた上で、所得税・住民税から税額控除されるため、実質2,000円の自己負担で自治体からの返礼品が貰える分、お得な制度です。自己負担が2,000円に収まる、寄附上限額は、1年間の所得によって変わります。会社員・公務員等の給与所得者の場合、年末調整で1年間の所得が確定するので、年内に源泉徴収票を発行してもらうなどをして、自身の所得額を確認しましょう。ふるさと納税のサイトでは、寄附の限度額が計算できるシミュレーションツールがありますので、それらを活用するのもよいでしょう。
また、支払期限にも注意が必要です。1年間のふるさと納税の締め日は、12月31日となっていますが、金融機関の営業日の関係で、支払日が翌年になってしまう場合もあります。十分に余裕をもって利用するとよいでしょう。
2021年の家計、ここに注目!「70歳雇用に向けた最初の年」
高年齢雇用安定法の改正により、2021年4月より70歳までの就業機会確保の努力義務が定められました。これまでの経緯を振り返ると、1990年に65歳までの継続雇用が努力義務とされ、2000年には「65歳までの高年齢者雇用確保措置」を講ずることが努力義務となり、さらに2004年に「65歳までの高年齢者雇用確保措置」が義務化(2006年施行)、2012年には「65歳までの高年齢者雇用確保措置」の対象者を限定する仕組みが廃止(2013年施行※)され、現在に至っています。※2013年以降、65歳までの雇用確保義務は、原則として「希望者全員」となった。ただし、2012年までに労使協定により制度適用者の基準を定めていた場合は、その基準を適用できる年齢を2025年4月までに段階的に引き上げる経過措置が講じられている。
65歳までの高年齢者雇用確保措置が努力義務から完全義務化されるのに20年以上の年月をかけて進めています。今回の70歳までの就業機会の確保も努力義務として導入されましたが、同様に20年以上の年月をかけて、義務化がすすめられるのではないかと思います。
就業機会の確保は、これまでの正社員やパートタイムとして雇用される働き方に限定せず、フリーランスであったり、社会貢献活動への支援等であったりさまざまです。人生100年時代を見据えたキャリアプランがますます重要になってくると思います。
また、キャリアプランだけではなく、ライフプランも人生100年時代を見据え、家計運営に取り組む必要が出てくるでしょう。
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