妊娠の基礎知識

妊婦のコーヒーはNG?妊娠中のカフェイン摂取のリスクと目安量

「妊婦はコーヒーを飲んではいけない」のではなく、飲む量に注意が必要です。コーヒー以外にもカフェインを含む食品とその摂取目安量や、コーヒーの代わりに飲みたいおすすめの飲料をお伝えします。

竹内 正人

執筆者:竹内 正人

妊娠・出産ガイド

妊婦がコーヒーを飲むのであれば、どの程度であればいいのか。妊娠中のカフェイン摂取のリスクや1日あたりの目安量のほか、カフェインを含む他の食品、コーヒーの代わりにおすすめの飲み物をご紹介します。
<目次>

妊婦がコーヒーを飲む際に気を付けるべきこととは?

妊娠中はコーヒーを飲みすぎないよう注意

妊娠中はコーヒーを飲みすぎないよう注意

多くの人が嗜好品として飲む習慣を持つコーヒーですが、妊娠中は注意が必要です。妊娠中は一滴たりともコーヒーを飲んではいけないということではなく、量に気を付けて摂取する必要があります。

コーヒーに含まれるカフェインは、過剰摂取してしまった場合に健康被害が懸念される成分です。中枢神経系の刺激によるめまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠症、下痢、吐き気等を引き起こすとされています。

妊婦の場合はこのほか、「妊娠中にカフェインを毎日過剰摂取してしまうと、出生児が低体重となり、将来の健康リスクが高くなる可能性がある」といった報告も存在します。

▽参考情報

妊娠中のコーヒーは1日2杯までが目安

妊婦がコーヒーに含まれるカフェインを摂りすぎると、胎児への影響も懸念される

妊婦がコーヒーに含まれるカフェインを摂りすぎると、胎児への影響も懸念される

それではどれくらいの量までならコーヒーを飲んでも大丈夫なのかというと、実はWHOや各国機関が推奨する上限量には開きがあり、国際的な確固たる共通基準がある訳ではありません。1日にマグカップ2杯程度とするアナウンスもあれば、3~4杯までなら問題ないとするものもあります。

最も少ないものでも1日2杯程度(カフェイン摂取量200mg)までと発表されているので、この程度にとどめておくのが賢明と言えるでしょう。

ただ、カフェインを含むコーヒーや紅茶は一切断っているという妊婦さんもいることでしょうが、お茶やコーヒーには気持ちを落ち着かせる効果があります。不安の多い妊娠中にはかえってストレスがたまってしまうことも考えられます。赤ちゃんに影響はないかどうかと不安になったり、寝つきが悪くならないよう、1日に2杯程度であれば許容範囲と考えてよいでしょう。

▽参考情報

妊婦がコーヒーを過剰摂取してしまった場合の懸念

それでは、妊婦がカフェインを過剰摂取してしまった場合、胎児にはどのような影響があるのでしょうか。WHOや各国の機関が発表している「妊婦のカフェイン摂取のリスク」および「妊婦のコーヒー摂取量の上限目安」を確認してみましょう。ただし、上限目安は一般にかなり厳しく設定されていて、1日でも上限を超えてしまったら、胎児に影響が出るということではありません。

■世界保健機関(WHO)
  • 妊婦のカフェイン摂取のリスク:胎児への影響についてはまだ確定していない
  • 妊婦のコーヒー摂取量:1日3~4杯までにすべき
Healthy Eating during Pregnancy and Breastfeeding (BookletFor Mothers)2001

■英国食品基準庁(FSA)
  • 妊婦のカフェイン摂取のリスク:過剰摂取により出生児が低体重となり、将来の健康リスクが高くなる可能性がある。また、高濃度のカフェインは自然流産を引き起こす可能性があることを示す証拠がある
  • 妊婦のコーヒー摂取量:1日にマグカップ2杯程度(カフェイン摂取量でいえば200mgまで)
Pregnant women advised to limit caffeine consumption」(2008年)

■カナダ保健省 (HC)
  • 妊婦のカフェイン摂取のリスク:少量のカフェイン摂取はほとんどのカナダ人にとって懸念はないが、過剰摂取は不眠症、頭痛、イライラ感、脱水症、緊張感を引き起こすため、特に子供や妊婦、授乳中の女性は注意が必要
  • 妊婦のコーヒー摂取量:1日にマグカップ2杯程度(カフェイン摂取量でいえば最大300mgまで)
Health Canada Reminds Canadians to Manage Caffeine Consumption」(2010年)
 

コーヒーだけじゃない!カフェインを含む飲み物

妊婦がコーヒーを制限しておくべき理由とその目安量についてはわかりましたが、カフェインを含む食品はコーヒーだけではありません。コーヒーの量を調節していても、他の食品でカフェインを摂りすぎていてしまっては、意味がなくなってしまいます。カフェイン含有量が多い食品には、以下のようなものがあります。

■各食品のカフェイン含有量
食品 カフェイン含有量
コーヒー 120mg/100ml(カップ1杯)
インスタントコーヒー 114mg/200ml(カップ1杯)
紅茶 60mg/200ml(カップ1杯)
せん茶 40mg/200ml(カップ1杯)
コーラ 36~46mg/355ml(1缶)
チョコレート 平均61mg/100g
ココア 平均9.3mg/100g

なお、お茶と名がつく飲料の中でも麦茶やそば茶など、茶葉を原料に含まない茶飲料には、カフェインは含まれていなかったと報告されています。

■カフェイン含有量の多い食品を摂る際の目安
カフェイン含有量の多い食品は、妊婦が1日に摂取しても問題ないとされているカフェインの量(200mg)を上限として考えたとき、どのくらいまでなら摂っても大丈夫なのでしょうか。換算すると以下のようになります。
  • 紅茶:3.3杯(カップ1杯200mⅼとして)
  • せん茶:6.7杯(湯呑み1杯150mⅼとして)
  • コーラ:2L
  • チョコレート:6枚(1枚55gとして)
▽参考情報

妊婦におすすめの「ノンカフェイン飲料」

ノンカフェインをうたう商品なら、妊娠中でも摂取量を心配せずに飲むことができますね。いわゆるノンカフェイン飲料には官公庁による取り決めはありませんが、カフェインを控えたい人向けの飲料は、大きく以下の3種類に分けられます。

ノンカフェイン飲料の種類/どういう飲料か/例
  • ノンカフェイン……カフェインを全く含まない原材料だけを使ったお茶
    麦茶、はと麦茶、甜茶、そば茶など
  • カフェインレス飲料……わずかながらカフェインを含むお茶やコーヒーからカフェインをとりのぞいたもの
    カフェインレス表記のあるお茶、コーヒー
  • デカフェ……わずかながらカフェインを含む飲料
    特にコーヒー
妊娠中は口にするものになにかと制約があり、ストレスを感じることもあるかもしれませんが、コーヒーに関してはカフェインが少なめのものやコーヒーに似た風味の飲料など、代わりになるものもあります。お気に入りの一品を見つけてみても良いかもしれませんね。

【参考サイト】 【関連記事】
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