税金

共働き夫婦、子供はどちらの扶養に入れるとおトク?

子供がいれば親の扶養に入れているかと思いますが、共働きの場合どちらの扶養に入れたらよいか迷うのではないでしょうか。今回は夫がサラリーマンで夫婦共働きの場合、どちらの扶養に入れるのがトクなのかを考えてみます。

川手 康義

執筆者:川手 康義

ファイナンシャルプランナー / サラリーマン家庭を守るお金術ガイド

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家族にお子さんがいれば扶養に入れているかと思いますが、共働きの場合どちらの扶養に入れるか迷うのではないでしょうか。今回はサラリーマン家庭で夫婦共働きの場合、どちらの扶養に入れるのがおトクなのかを考えてみます。
 
共働き,子供,扶養

共働き夫婦の子供はどちらの扶養に入れる?


《目次》
扶養には「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2種類があります
税法上(所得税)は子供が16歳以上なら所得の多い親に入れると有利
税法上(住民税)では16歳未満の子の数も非課税基準判定に使われる
社会保険上の扶養はどう考える?
まとめ
 

扶養には「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2種類があります

「扶養」といっても実は2種類あるのはご存じでしょうか。それは「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」であり、それぞれを分けて考える必要があります。なお「税法上の扶養」でも「所得税」と「住民税」でポイントとなる点が異なります。また「社会保険上の扶養」とは年金や健康保険を考える上での扶養のことですが、この記事では健康保険の観点で書いていきます。

なお「税法上の扶養」はどちらに入れるか自由に選べますが「社会保険上の扶養」は原則として年収の多い方に入れることになっています。

扶養:税法上の扶養と社会保険上の扶養は別
税法上の扶養:どちらの扶養に入れるかは自由
社会保険上の扶養:原則年収の多い方の扶養に入れる

 

税法上(所得税)は子供が16歳以上なら所得の多い親に入れると有利

税法上(所得税)の子供の扶養を考える際は、その子の年齢に着目します。具体的には年末時点の年齢が16歳以上23歳未満であれば、所得の多い親(税率の高い親)の扶養に入れる方が税額負担は少なくなるためトクになりますが、16歳未満の場合はどちらの親の扶養に入れても税額負担に変わりはありません。

その理由は、16歳以上19歳未満であれば扶養控除、19歳以上23歳未満なら特定扶養控除の対象になりますが、16歳未満の子はそもそも控除対象ではない(注1)ためです。

(注1)以前は年少扶養控除として対象であったが「児童手当」の拡充に伴い廃止となった
 

税法上(住民税)では16歳未満の子の数も非課税基準判定に使われる

それなら子供が16歳未満であれば適当にどちらかの扶養に入れればよいかというと、そうとも限りません。なぜならば住民税(市・県民税)の非課税を判断する際には16歳未満の子を含む扶養人数の数が関係してくるからです。
非課税限度額,住民税,扶養人数

扶養人数によって住民税の非課税限度額が決まります


上の図は長崎市の例ですが、均等割(注2)では本人のみ(扶養0)の場合の非課税基準(市・県民税がかからない給与収入基準)は96万5000円ですが、1人扶養に入れることで年間146万9000円に上がります。

所得割(注3)にしても1人扶養に入れることで年間167万円に上がりますので、例えば奥様がパートで年間のパート収入(給与収入)が100万円前後の場合は、16歳未満の子供といえども扶養に入れることで住民税の負担がなくなる場合があります。

なお市・県民税の非課税基準は自治体によって異なりますので、お住まいの市町村のホームページ等で確認することをお勧めします。

(注2)均等割とは所得にかかわらず負担する住民税
(注3)所得割とは所得に応じて負担する住民税
 

社会保険上の扶養はどう考える?

次に社会保険上の扶養について考えてみたいと思います。前述のように社会保険上の扶養は年収の多い方に入れることが原則であり、自由に好きな方を選択できるというわけではありません。また奥様がパートとして働いており、そもそもパート先で社会保険に加入していない場合は選択の余地なく夫の扶養に入れるしかありません。

悩ましいのは夫婦がどちらも同程度の給与収入があり、それぞれの会社で健康保険(組合)に入っている場合です。この場合はより給付の充実している方を選ぶことになります。具体的には健康診断の内容や予防接種の費用補助、健康保険組合であれば医療費が高額になった場合の月額の費用負担上限を独自に設けている場合もありますので、それぞれの健康保険(組合)を見比べた上で、より充実している方を選ぶとよいでしょう。

なおその際は健康保険(組合)に扶養を申請し認めてもらう必要がありますが、健康保険(組合)側が判断基準とするのは「主に扶養とする親の収入で生計を維持しているかどうか」(注4)です。年収が多い少ないといった画一的なものではなく、状況に応じて総合的な判断がされますので、申請の際には基準がどうなっているか問い合わせされることをお勧めいたします。

注4:根拠となるのは昭和60年6月12日 社会保険連絡協議会による「夫婦共同扶養における被扶養者の認定について」1.(2)「夫婦双方の年間収入が同程度である場合、被扶養者の地位の安定を図るため届出により、主として生計を維持するものの被扶養者とすること」通達文
 

まとめ

いかがでしたでしょうか。扶養といっても税金の観点、社会保険の観点の2つから考える必要があることがお分かりになったかと思います。

ポイントをまとめると

・扶養には「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2種類がある
・所得税では16歳以上の子供は所得の多い親の扶養に入れると有利
・住民税では16歳未満の子供も非課税基準人数に含まれるため、奥様がパートの場合は一考する
・社会保険上の扶養では原則年収の多い親の扶養に入れなければならない
・社会保険上の扶養で両親の年収が同程度の場合は生計を維持している親かどうかが判断基準
・社会保険上の扶養で両親の年収が同程度ならば健康保険の給付内容が充実している方を選ぶ


以上のようになるのではないでしょうか。

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