見た目を評価されることが多い子どもが抱える思いとは?
「かわいい」「ママに似て美人ね」など、子どもは直接見た目を批評されることが多いもの。しかし、ほめ言葉であれ弊害も……
そうした言葉を、子どもはよく覚えているものです。「見た目」への評価は、子どもの自己肯定感や価値観に後々まで影響を与えてしまうことがあるので、どのような点に気を付けるべきかを考えることが大切です。コンプレックスになるような批評はもちろん、ほめ言葉も同様です。以下で詳しく解説します。
根深い悩みになる見た目コンプレックス……有能感や自尊心をくじく原因にも
大人が「見た目」について頻繁に批評するのを聞くと、子どもは「見た目は自分(人)の価値を左右する重要な要素だ」と受け止め、そこに多くの意識を向けるようになります。すると、見た目をネガティブに評価された子は、自分に自信を失ってしまいます。子どもを見た目で評価することは、想像以上に弊害が大きいものです。努力ではどうにもならないことを批評されてもなす術はなく、無力感や劣等感ばかりが募ってしまうからです。その思いが心の中に残ると、有能感や自尊心をくじく原因にもなってしまいます。
子どもの見た目ばかりほめると、偏った価値観を与えることも
「ほめるだけなら問題ないのでは?」と思うかもしれません。しかし、見た目ばかりをほめられて育った場合、「自分の一番の価値は容姿だ」と受け止めやすくなります。すると心のあり方や考え方や行動には、「見た目ほどの価値はない」と感じやすくなります。こうした価値観を持って成長すると、いずれは自分の容姿が崩れていくことが怖くなります。そして、自分より美しい子が現れたり、自分の体形が変わったりすると、強い焦燥感や無価値観を覚えてしまいます。
では、見た目は絶対にほめてはいけないのでしょうか? そもそも、かわいいと感じる気持ちは「感動」です。感動の気持ちは、人とわかちあいたくなるのものです。日常の中に感動の言葉がやりとりされることは、とても素敵なことです。
大切なのは「見た目のことばかりを口にしすぎないこと」です。見た目の評価ばかりを聞かされれると、子どもも見た目にばかり関心を向けるようになります。すると、自他の価値を見た目で判断し、自信や自尊心が左右されてしまうことがあります。子どもがそうならないよう、大人は発言に注意することが大切なのです。
見た目ではなく「ありのままのその子」に優しい目を向けているか
人は本来「ありのままの自分」を認められ、好きになってもらいたいという願いを持っています。アイデンティティが確立していない子どもたちは、なおのことそう思っているのです。ですから、まずは「ありのままのその子」に優しい目を向けましょう。ご飯をほおばっているとき、親の膝の上で甘えているとき、熱を出してうなされているとき、ケンカして大泣きしているとき、子どもはどんなときでも、精一杯生きています。そうしたありのままの姿に、優しい目を向けていきましょう。すると、子どもは「自分のままでいていい」と安心し、「自分のままで好きになってもらえる」という自信を覚えるようになります。
子どもの見た目について口にしたくなったときには、日頃から「360度のありのままのその子」に優しい目を向けているかどうか、振り返ってみましょう。もし、そうでないなら、見た目について口にしないようにした方がいいでしょう。たとえ、ほめ言葉でもです。
子どもは、ほめ言葉にとても敏感です。見た目をほめられてうれしくなったら、もっともっとほめてもらいたくなります。ほめてもらえないとき、他の子の方がほめられているときには、不安と嫉妬を感じてしまいます。こうして、容姿という表面的な部分に意識が集中していくと、本来の「自分らしさ」が育ちにくくなってしまいます。
子どもは、大人の言葉の影響を受けて育ちます。見た目は簡単には変えられません。自分の本当の姿は、自分自身では見られません。それだけに、見た目について安易に評価しないよう、気をつけていきたいものです。