ネットで誹謗中傷が止まらない2つの理由

SNSでの過激な誹謗中傷……なぜ止まらない?

SNSでの過激な誹謗中傷……なぜ止まらない?

SNSの普及と共に増えていく、ネット上の誹謗中傷。ひとたび批判のターゲットにされると、瞬く間に攻撃され、とことんまで追い込まれてしまいます。特に昨今は、政治家の言動や行政の対応、芸能人の素行が批判のタネとなり、ネット上ではたくさんの誹謗中傷の書き込みが炎上しています。
 
では、なぜネット上では誹謗中傷が過激になりやすいのでしょうか? 背景として、次の2つの心理学的理由が考えられます。
 
1) 集団極性化……集団で話し合うと極端な結論になりやすい
 
集団で議論をしているときには、一人で考えているときより極端な結論になりやすくなることがあり、これを心理学では「集団極性化」と呼んでいます。
 
たとえば、グループ内でマナーの悪い人の話題が出ると、いつしか口汚い罵りに発展し、あとから「みんなでなぜ、あれほど悪く言ってしまったんだろう」と後悔したことはありませんか? これは集団極性化によって、会話が極端な方向に暴走してしまったためです。
 
ちなみに、ネット上ではしばしばこの集団極性化が生じますが、これを「サイバーカスケード」と呼んでいます。「集団極性化」について詳しくは「いじめ、暴行・・・集団心理が危険な結果を招くわけ」もご参照ください。
 
2)没個性化……匿名で発言できるため、攻撃的な主張をしやすい
 
ツイッターなどのSNSは匿名で書き込むことができるため、個人が特定される心配がありません。ですが、そのために普段は言えないようなことも、大胆に主張できてしまいます。これは、心理学的には個人が集団の中に埋没する「没個性化」という現象によって生じるものと考えられます。
 
たとえば、SNS上の誹謗中傷により名誉棄損罪で逮捕された加害者が、普段はとても大人しく穏やかな人であり、性格のギャップに驚かされることがあります。これは、SNSという没個性化の環境において、本人が普段は抑圧している攻撃性の一面が表出してしまい、暴走してしまった結果だと考えられます。
 
「没個性化」については「まるでバリア…?マスク一枚で人が安心できる理由」もあわせてご覧ください。 
 

ネットで衝動的・感情的にならないために必要なこと

 SNSには、誰もが同じ条件(文字数制限等)でタイムリーに自分の考えを発信できること、そして、市井の人々の多様な意見や本音を知れること、趣味や感性の合う人とつながれる、といったたくさんの利点があります。
 
一方で、上に述べたようにSNS上では集団極性化によって話が極端な方向に流れ、没個性化によって衝動的で攻撃的な発言が生じやすくなる、といった欠点もあります。思いつきで書いてしまった言葉がそのまま拡散され、過激な方向に暴走する。その結果、人を追い込み、名誉棄損の加害者になってしまうリスクがあるのです。
 
そのため、SNSに書き込む際には、送信ボタンを押す前にいったん時間を置き、読み返す必要があります。そして、「衝動的に書いていないか」「本当にこれを発表してもいいのか」と考える必要があります。
 
読む側も、SNS上の書き込みは集団極性化や没個性化によって極端な方向に流れやすいことを念頭に置き、発言の内容に感情的に巻き込まれず、冷静さを保ちながら読んでいく必要があります。
 

ネット・SNSを便利に使いこなす人は「メタ認知」を働かせている

つまり、ネットやSNSを活用する際には、書き込む側も読む側も「メタ認知」を働かせる必要があるのです。メタ認知とは、自分の認知を高い位置から認知すること。つまり、自分が考えていることや感じていることを俯瞰して捉えることです。
 
そのため、何かをSNSに書き込もうとする際には、「私は今、このことをSNSで書こうとしているんだ」と認知し、その自分の行動を高い位置からモニタリングするイメージを持つことです。そして、本当にそれを行って良いのか、書き込む内容に責任を持てるのか、匿名性という条件に安住して発言していないか、といったことを自分に問い掛けていくことが必要です。
 
また、ネットの情報を読んで感情が揺さぶられたときにも、そうした自分自身をモニタリングすることです。「この発言に強く同感しているはなぜ?」「これを読んで、胸がえぐられるのはなぜ?」というように、その時に覚えた感情を観察していきます。そして、同感や怒りから衝動的に書き込みをしようとしていないか、メタ認知を使って振り返りましょう。すると、感情の暴走を防ぐことができ、責任のある行動をとることができます。
 
ネットやSNSを上手に活用すると、生活の幅や人間関係は格段に広がっていきます。しかし、一時の感情や衝動に振り回されず、便利なツールとして使い続けていくためには、上で述べたように「メタ認知」を働かせていくことがとても重要になるのです。「メタ認知」については「「メタ認知」の力を高めれば、ストレスに強くなる!」でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項