上司の言動も影響するチームや部下の心の健康

「頼れる上司」になるには

威圧的な態度や偏見や思い込みによる言動は、組織内の不要なストレスを増やします。部下が心を開ける「頼れる上司」に必要なこととは?


「部署の雰囲気がピリピリしている」「うつ病などで休職してしまう社員が多い」……。心の健康状態は、個々の性格や環境によりますが、会社やチームの心の健康には上司の態度や接し方も少なからず影響するものです。部下が上司に対して不要なストレスを抱えてしまうケースでは、上司の言動に以下のような3つの傾向がよく見られます。

  1. 自分の基準での「こうするべき」「できてあたり前」を部下に押し付ける
例)この仕事は自分なら1日でできる→「なぜ3日もかかっているんだ!」
      部下ならしっかり気を利かせるのが当たり前→「なぜ気が利かないんだ!」
 
2. 偏見や思い込みで部下を捉える
例)○○大学出身ならこのくらいできて当たり前だろう→「大学で何を教わってきたんだ?」
      男(女)ならこういう仕事をするべきだろう→「なぜ男(女)なのにそうしないんだ?」
 
3. はっきり伝えていないのに「わかっているのが当然」と考える
例)「なるはやで」と言ったのにまだできていない→「なぜ指示が理解できないんだ!」
 

「よい上司」「頼れる上司」の条件とは

「よい上司」「頼れる上司」の条件は、時代によっても変わります。現代の組織で慕われる「よい上司」「頼れる上司」とは、具体的にどのような人物像を指すでしょうか? 次の2つのタイプが挙げられると思います。
 
1. 話しやすい・相談しやすい上司
上司が指示を出し、部下が従うという一方的なコミュニケーションスタイルではなく、色々な方向から話をしながら、一緒に考えてくれる双方向なコミュニケーションをとれる上司像。 たとえば、次のような上司です。
  • 落ち込んでいるときに、「元気ないけど、どうした?」と声をかけ、話を引き出してくれる
  • 発言を否定したり、茶化したりしない。どんな発言でもいったん受け止めてから、さらによい案を見つけるために一緒に考えてくれる
  • 連絡が取りやすく、話しやすい。席にいないことが多くても、LINEやメールなどで連絡が付きやすく、話を聞いてくれる
 
2. 上手に成長させてくれる・導いてくれる上司
部下の成長欲求を大切にし、部下一人ひとりの目標に合わせた仕事にチャレンジさせてくれる上司も、よい上司と言えるでしょう。ルーティンな仕事を任せっぱなしにするのではなく、機会があるごとに新しい世界を見せてくれ、視野を広げてくれる上司像。たとえば、次のような上司です。
  • 部下が「自分には無理ではないか……」と不安になっている仕事でも、「君ならできる」と信じ、「何かあれば自分が責任を取る」と安心させて、トライさせてくれる
  • いつも同じ領域の仕事ばかりを振るのではなく、色々な仕事を振って、部下の仕事の幅が広がるようにしてくれる
  • 展示会や学会、研修会などにさりげなく連れて行き、部下が成長したくなるような刺激を与えてくれる
 

健康的なチームを作る「よい上司」「頼れる上司」になる方法

では、上司が部下のメンタルの状態をよりよく保つためにできることは、何でしょうか? 部下が健康的に働ける職場づくりのために、簡単にできる具体的な言動をご紹介します。

1. 話しやすく相談しやすい空気の作り方

■ちょっとした挨拶や声かけは自分からする
部下からの挨拶や声掛けを待つのではなく、自分から「おはよう」「今日も張り切ってるね」などと気さくに話しかけましょう。こうしたやりとりがあるだけで、部下は上司に話しやすくなります。

■部下の意見を最初から否定せず、まず受け取る
部下がどんな意見を言っても、最初から否定しないこと。「なるほど」「そういう考え方もあるよね」などと合いの手を入れながら、まずは真剣に考えて意見を伝えてくれたことに対して、肯定的に受け取りましょう。その上でアドバイスを伝えると、部下も素直に上司の意見を受け取りやすくなります。

■連絡が取りやすい状態にして安心感を与える
ワーク・ライフ・バランスはもちろん大切ですが、部下とのコミュニケーションが途切れないようにするために、できる範囲で連絡を取りやすい状態にしておきましょう。忙しい人ほど、携帯電話やLINE、メールでいつでも連絡を取れるようにしておき、対面以外の手段でも部下の相談に乗れるようにしておきましょう。いつもつながれることを示すと、部下は安心できます。

2. 部下を上手に成長させ、導く方法

■成長欲求に合わせた仕事を与える
どんな部下にも内在する成長欲求を信じましょう。成長欲求を引き出すためには、まず一人ひとりが、個性やペースに合わせた進め方で成長していけるように、仕事の与え方を変えていくことです。部下にやる気が感じられなかったり、部下が後ろ向きな態度をとっていたとしても、本人にはこの職場で成長したい何かかがあるのだと信じ、試行錯誤でそのきっかけを与えていきます。

■色々な仕事を経験させ、部下が自分の適性を知る機会を与える
いくら得意でも、同じ領域の仕事ばかりやらされていたら、人は飽きてしまいます。部下に色々な仕事を経験させることで、部下自身が自分の適性を知り、その適性を発揮できるような機会を与えていきます。

■学びの機会や情報をさりげなく伝える
目の前の仕事に取り組ませるだけでなく、最新の技術や研究を知ることも長期的に成長させるために必要です。そうした学びの機会と情報をさりげなく、ただし押しつけないように与えていきましょう。とはいえ、自己研鑽の強要は過大な要求、個の侵害のパワハラにあたる場合があるので、部下がそれらに興味を示さなくても、悪く受け取らないようにしましょう。
 

上司としての在り方に悩む管理職の方へ

「若手に主体性がない」「指示待ちばかりで自分で考えようとしない」と嘆く上司は少なくありません。しかし、部下がそうなってしまう原因には、仕事を与える上司の側が部下の主体性、積極性を引き出していないことが影響している場合が、残念ながら少なくありません。

部下の主体性や積極性を引き出したいなら、上意下達で一方的に指示を押しつけたり、部下の未熟な意見をいきなり否定したりするのではなく、部下が未熟ながらも自分で考え、勇気を出して行動できるように導いていくことが大切です。

そのためには、部下が一生懸命考え、行動したことをまずは承認すること。そして、「君はどうしたいと思う?」など、アイデアを引き出す質問をするとよいでしょう。そして、部下から出てきたアイデアが未熟でも、そのアイデアが発展できるようにディスカッションを重ねていくことです。こうしたやりとりを重ねていくと、上司が正解を伝えなくても、部下自身が自分で答えを見つけて、実行していけるようになります。

このように、部下の建設的なアイデアを引き出し、そのアイデアをブラッシュアップさせていくようにかかわる上司が、これからの社会では求められています。ただし、あまり強引かつ性急に部下を引っ張らないことです。部下のメンタルバランスにも気を配り、健康的な組織づくりを目指しましょう。
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