Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)とは
Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)とは、技術革新を続けるWi-Fi規格の最新バージョンだ。この規格は、Wi-Fi 5(IEEE802.11ac) の上位互換規格で次世代の通信環境に対応する高速化と容量を実現している。Wi-Fi 6の認定ロゴ
以下にWi-Fi 6を生かすポイントを6項目述べよう。
<目次>
- ポイント1:10Gbps対応のプロバイダにはWi-Fi 6が最適
- ポイント2:無線LANの実効速度は?
- ポイント3:10G回線におけるiPhone 11の実効速度は
- ポイント4:1G回線でWi-Fi 6は意味があるのか
- ポイント5:Wi-Fi 6の4K/8Kテレビへの影響
- ポイント6:有線接続の実効速度は
- Wi-Fi 6にお勧めの機種
ポイント1:10Gbps対応のプロバイダにはWi-Fi 6が最適
既に10Gbps対応の光回線を持つプロバイダが多くなってきた。料金は多少高いが、今後の高速なインフラに対応するには、10Gbpsの回線が必要となるだろう。au光の10Gbpsコース (au光のHPより引用)
無線LANに目を向けてみると、旧規格Wi-Fi 5(IEEE802.11ac)の理論値は、6.93Gbps。やはり今後は9.6Gbpsの理論値を持つWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)を利用したい。もちろん、実際に理論値がでることはないが、数値に余裕のある規格を利用したい。
ポイント2:無線LANの実効速度は?
Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)の規格値は、9.6Gbpsだが、現在(2019年12月)発売されている無線LANルータの規格値は仕様表を見てみると5GHz帯で4,803Mbpsとなっている。 現状、10Gbpsに迫る規格にはなっていない。しかし、4,803Mbpsでもかなり高速だ。それでは、実際の速度(実効速度)はどの程度でるのだろうか。実際に計測してみた。調査環境は、以下の通り。- 計測ツール:iperf3
- コマンドライン サーバ側: iperf3 -s
- マンドライン クライアント側:iperf3 -c (サーバー側のIPアドレス)-P10
- 無線LANルータ 親機:WXR-5950AX12 子機:WXR-5950AX12(WBモード)
- コンピュータ:サーバ側 AMD Ryzen 7 2700X
- コンピュータ:クライアント側 Intel Corei7 4790
- 使用ケーブル:カテゴリー6a(コンピュータとルータ間のケーブル)
測定の準備中 散らかっていて申し訳ない。
これは、規格値の約6割だ。ほかの規格でも実効速度はこの程度なので、妥当な線と言えるだろう。
・iperf3の結果:[SUM] 0.00-10.01 sec 3.29 GBytes 2.82 Gbits/sec
ポイント3:10G回線におけるiPhone 11の実効速度は
ユーザとしては、実際に利用するスマートフォンでどの程度の速度がでるのかが気になるところだろう。そこでWi-Fi 6に対応しているiPhone 11で速度を計測してみた。回線は地元CATVの10G回線だ。【結果】990Mbps
10G回線でiPhone 11での計測(wifi6)
10Gbpsの回線で約1Gbpsとは、遅いように思えるかもしれないが、現在の主流である1Gbps回線の有線接続のスピードと同じ位だ。
また、同じ環境でiPad pro(第3世代)を利用し11acでの速度を計測してみた。結果は、710Mbps。Wi-Fi 6の方が約1.4倍高速ということになる。
10G回線でiPad_Proでの計測(11ac)
さらに、iPhone 11とiPad pro(第3世代)の速度をベンチマークアプリで計測してみるとiPad pro(第3世代)の方が上であった。ということは、同じ速度の端末であれば、さらに差が開くということになる。
iPhone 11(左)とiPad pro第3世代(右)の速度をベンチマークアプリantutuで計測。
ポイント4:1G回線でWi-Fi 6は意味があるのか
現在主流の1G回線でも同様の調査を行ってみた。10G回線を利用しているユーザはまだ少ないので、多くのユーザが利用している1G回線でWi-Fi 6が有効に利用できるかが気になるところだ。結果は、以下の様に相応の差があるので1G回線でWi-Fi 6を利用するのも意味があると言える。
【結果】Wi-Fi 6:850Mbps (iPhone 11で計測)
【結果】11ac :660Mbps (iPad proで計測)
1G回線でiPhone 11での計測(Wi-Fi 6)
1G回線でiPadProでの計測(11ac)
ポイント5:Wi-Fi 6の4K/8Kテレビへの影響
無線LANと4K/8KのTVが利用している電波の帯域が重複しているため、無線LANは、4K/8KTVに影響を与える。 従来は、シールドのしっかりした電波の配線機材ならよいとされていたが、経験上ハイパワーの無線LANルータを近接して利用すると、TVに影響が出る。TVに影響を及ぼすのは、2.4GHz帯の電波だが、Wi-Fi 8(5GHz帯)で利用する無線LANルータからは強力な2.4GHz帯の電波も出ている。特に10Gbps対応と銘打っている機種は、アンテナが大きくハイパワーの機器ばかりだ。
従って、特にWi-Fi 6対応の無線LANルータは4K/8Kテレビの電波の配線機材から、離れた場所に設置したい。
ポイント6:有線接続の実効速度は
10Gbps回線でWi-Fi 6を利用するときに、コンピュータを有線で接続して利用する人も多いだろう。やはりWi-Fi接続のみならず有線接続の実効速度も気になるところだ。【結果】7.3Gbps
10G回線の有線接続における実効速度
有線で接続するには、10GbpsのLANボード(ネットワークカード/nic)を設置する必要がある。この10Gbps対応のボードだが、現在一般に販売されている製品は、PCI Expressのスロットに設置するPCIe 3.1 ×4対応だ。その規格値は、10Gbps。しかし、転送にクロック信号が埋め込まれるため、実際の帯域は20%ほど減る。つまり8Gbpsとなる。実際に測定した結果は、7.3Gbpsなので相応の速度と言える。無線LANと比べると有線接続は、非常に速くなる。
なお、話の腰を折るようで申し訳ないが、有線接続で10Gと1G回線でいろいろなWebページを閲覧する際の体感を試してみた。場所は、地元のCATVのショールーム。結果だが、気持ち10Gの方がパッパッと表示されるような気もするが、ほとんど変わらない。100Mbpsの回線も試してみたが、こちらはさすがに少しもっさりとした感触が残った。10G回線は、Webページを閲覧する程度であれば1G回線に比べてあまり変化はないが、将来に備えた回線と捉えればよいだろう。
なお、10G回線を有線LANで利用するには、カテゴリー6a以上のLANケーブルが必要だ。壁の中にLANケーブルが埋め込まれている場合は、工事が必要となる。さらに複数の機器をつなぐには、高価な10Gbps対応のスイッチングハブが必要となる。Wi-Fi 6対応のスマホで利用するだけなら、回線と対応無線LANルータおよび製品付属のLANケーブルだけでよいが、有線での利用にはまだ少しハードルがある。
Wi-Fi 6におすすめのルーター機種
Wi-Fi 6にお勧めの無線LANルータは、ずばりバッファローのWXR-5950AX12だ。・バッファロー WXR-5950AX12
Wi-Fi 6対応とする他社の無線LANルータは、どれも10Gbps対応のWANポート/LANポートを装備していない。サポートしているのは、2.5GBpsや5GBpsであり、さらにLAN/WANのいずれかでしか利用できないこともあるので注意したい。
WXR-5950AX12は、そのほかのスペックも必要十分だ。現状、本機種を購入するか、今後の商品展開を待つかになってくるだろう。
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