適性・重圧・人間関係……働く人が抱える仕事上のストレス
働く人が感じるストレスは多様。仕事のストレスをどう受け止め、どう対処すればいいのでしょう。
1. 適性のずれ・希望とのミスマッチ
口下手なのに接客業や営業職、不器用なのに手先を使う技術職など、自分の個性に合わない仕事を続けているとストレスを抱えやすくなります。また希望した職種でも、実際の業務に興味を持てなかったり、大学などの専攻や前職での経験をもとに選んだ職種なのに、その経験が生かされないという場合にも、ストレスを感じやすくなります。
2. 責任が重く、多忙すぎる
職場での地位が高くなると、プレッシャーからストレスを感じやすくなります。自分の仕事に加えて部下の仕事の調整にも時間を割かなければならず、終業後や休日にも仕事のことが頭から離れない、という悩みも多くなります。
3. 人間関係の問題がある
気の合わない人と長時間、同じ空間で過ごすこと自体、精神的につらいものです。同調圧力が強い職場では、なおさらそう感じやすくなるでしょう。自分が浮いているように感じる場合やパワハラ、職場いじめを受けている場合には、職場に行くのもつらいと感じてしまうでしょう。
適度なストレスのメリット、低ストレスと高ストレスのデメリット
ストレスの原因になるものがコンプライアンス違反である場合には、個人の努力だけで改善を試みようとしても限界があるものです。職場内外の相談窓口に報告するなどして、解決を図る必要があるでしょう。とはいえ、それらの問題が改善したとしても、働いている以上はなんらかのストレスを感じるものです。そもそも働く人にとって、ストレスのない状態が最高の環境といえるわけではありません。ストレスとの付き合い方を知るヒントに、「ヤーキーズ・ドットソンの法則」という心理学理論があります。心理学者のヤーキーズとJ.D.ドットソンは、一定の作業を覚え込ませたネズミに電気ショックを与えてパフォーマンスの差異を計測しました。この実験により、覚醒レベルとパフォーマンスには、逆U字の関係が成り立つことを証明しました。
この法則によると、ストレスがあまりにも少ない「低ストレス」(暇でのんびり、規制がゆるいなど。低覚醒レベル)の状態が続くと、緊張感が少なすぎるために意欲が起こらなくなり、パフォーマンスは低下します。逆にストレスが多すぎる「高ストレス」(緊張にさらされ、ピリピリしている。高覚醒レベル)の状態が続くと、精神的に疲弊してしまうため、やはりパフォーマンスは低下してしまいます。
つまり、ストレスは少なすぎても多すぎても、パフォーマンスは低下してしまうのです。適度なストレスにさらされているときにこそ、ほどよい緊張感が行動を促進する刺激となり、最大のパフォーマンスが発揮されるのです。
低ストレス・高ストレスの状態を回避する方法
自分が「低ストレスタイプ」だと思った場合は、仕事のなかにあえてストレスを取り入れていきましょう。一方で「高ストレスタイプ」だと思った人は、できるかぎりストレスを回避していきましょう。各タイプにおすすめしたいストレス対策をお伝えします。1. 低ストレスタイプの方へ……適度なストレスを取り入れるコツ
・成績や成果の目標を設定して努力する
「半年後に○○を達成する」「1年後には○○に合格する」というように、具体的に目標を設定して努力しましょう。チームワーク向上のためにできることを考え、実践していくのもいいでしょう。
・自己研鑽のために資格や検定に挑戦する
仕事における成長を目指して、プライベートの時間にスクールや勉強会に参加してみてはいかがでしょう。資格取得や検定合格を目指して、勉強に励むのもおすすめです。
・あえて厳しい上司に教えを請う
厳しいと感じる上司に「もっと成長したいので、自分に足りないところを教えてください」と申し出て、辛口のアドバイスを受けてみましょう。その上司に評価されるようになるまで、努力を続けてみましょう。
2. 高ストレスタイプの方へ……上手にストレスを回避するコツ
・ホテルやスパの予約をして強制的に休みを取る
たとえば月に1回程度、ホテルや旅館に宿泊の予約を入れるなどして、強制的に休みを取ってみてはいかがでしょう。または、就業後の時間帯にスパやマッサージなどのリラクゼーションサービスの予約を入れておくと、その日は残業せずに退社し、疲れた自分を癒すことができます。
・デジタルデトックスをする
休日の半日だけでも、スマホやパソコンに触れない時間を作ってみましょう。スマホ持ち込み制限のあるジムで汗を流す、自然のなかで過ごす、趣味に没頭する。そんな時間がデジタルデトックスにつながります。