お金の悩みを解決!マネープランクリニック/老後のお金や介護費用が心配な人の相談

31歳貯金400万円。年金代わりにマンション投資を検討しています(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、結婚して1年半という31歳の会社員男性。妻がエステティシャンとして働き始めたが、将来の教育費や老後資金など、いろいろと悩みは尽きないとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 大きな保障はお子さんが生まれてから

いろいろと心配されていますが、順を追ってアドバイスいたします。
①については現状、仕方がないと思います。お互い忙しく、奥様が仕事にまだ不慣れな部分もあれば、実際にお弁当を作る時間もないでしょう。しかも、現時点で毎月10万円貯蓄ができています。ここはあまり気にしなくてもいいと思います。
 
次に②ですが、保険未加入について焦っているとのこと。しかし、まだ保険の必要性は低いと考えてください。無理をして入る必要はないということです。理由はまだ夫婦とも若く、お子さんがいないこと。さらに(1)でも触れたように毎月貯蓄ができ、実際に貯蓄もまとまった額が手元にありますので、仮に医療費がかかってもそこから捻出できます。

それでも「何も保障がない」のは不安と感じるのであれば、共済などの割安な保険で必要最小限の死亡保障と入院保障も5000円程度を確保していれば十分でしょう。

お子さんが生まれたら死亡保障が必要になります。そのとき、持ち家の有無で死亡保障は異なりますが、父親であり世帯の収入の大半を支えているまっつんさんには、1500万~2500万円の死亡保障は確保したい。割安な定期保険(掛け捨て)か、収入保障保険でも構いません。第2子が生まれたら、また追加で死亡保障を確保してください。
 

アドバイス2 将来を考えたらリスクは取れない

③は不動産投資のご相談。物件価格2000万円、低金利ということで全額借り入れ、賃料12万円で、月額の利益3万~4万円を想定しているとのこと。仮に変動金利の0.5%、返済期間20年で借り入れると、毎月の返済が月8万8000円ほど(ボーナス月の加算なし)ですから、考えている返済プランもこれに近いものでしょう。

そして、そういった内容で「ローンを組むことはリスクでしょうか」との質問ですが、先に結論をいえば高いと考えます。
 
お仕事が不動産業ということで、言われるとおり、物件選びは誤らないかもしれません。ただ、将来の景気や経済の動向を読むことは専門家でも難しいのです。先の試算だと返済まで20年間。その間、確実に家賃収入を得ることができるかどうか。最初は想定どおりにいくでしょうが、数年で終わっては意味がありません。家賃が下がる前に物件を売り抜けることができる、明確な保証もありません。もっとも懸念するのは、不動産の投資額を広げてしまい、負債が増えていくこと。そうなれば、家計破綻の恐れすらあります。
 
もちろん、不動産投資がうまくいく可能性もあるでしょう。しかし、今後もライフイベントが数多く用意されている中、余裕資金で行うのなら話は別ですが、将来の資金づくりとなる原資をつぎ込んで行うことは、やはり無理があります。お子さんが独立後にマイホーム購入も希望されているのですから、それを数年前倒しで購入して、自分たちが住むまで人に貸すということなら、まだリスクは避けられると思います。

あるいは、奥様がネイリスト兼エステティシャンとして独立を考えているなら、そのタイミングで住宅を購入し、自宅の一部を仕事場として活用するという選択肢もあるのでは。住宅のローンが奥様の仕事の経費になる(賃料を払う等)わけですから、節税にもつながると思います。
 

アドバイス3 時間軸に沿って資金を準備する

④については、もし親御さんが出してくれているクルマの維持費と通信費が自分たちの負担になった場合、生活費のアップは月割りで2万~3万円といったところ。また、先述したように新たに保険加入したとしても、共済なら保険料は夫婦で月4000円程度。結果、毎月10万円の貯蓄が7万円前後に目減りしますが、それでも十分な貯蓄ペースです。しかも、ボーナスから185万円貯蓄できるわけですから、他の支出を削らなくとも、年間270万円の貯蓄が可能となります。現時点では何ら心配は要りません。
 
最後の⑤ですが、まず教育資金について。進路によってその額は大きく変わります。例えば、高校まで公立、大学を私立文系とすれば、かかる教育費(学校外教育費も含む)は900万円ほど。中学から私立となれば1300万円がひとつの目安です。お子さんが2人なら倍となります。
 
老後資金は、老後の生活費に対して公的年金の不足額を補うことが目的ですが、まっつんさんの場合、定年から老後としても、30年も先の話。不確定要素が多く、いくら備えれば足りるかどうかは明解にはできません。

それよりも、そもそも時間軸がズレているのです。老後よりもお子さんが生まれ、それにかかる教育資金や住宅資金の準備が、今は優先されるはず。奥様が仕事に早く慣れ、独立までを考えることも、同様に老後より優先されるべきものでしょう。つまり、老後や公的年金について必要以上に不安にならず、今、貯めることができる範囲で確実に貯蓄を増やしていく。それが結果的に今できる、もっとも有効な老後対策になるのです。
 

教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水京武


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