日本のハイパーインフレ、財政破綻時に家計を守る方法は?

日本の財政破綻が心配で、不動産投資を開始

日本の財政破綻が心配で、不動産投資を開始

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、日本の財政破綻を危惧し、不動産投資を始めた40代の会社員男性。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんが担当します。
※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談は無料になります)

■相談者
駆け出し大家さん(仮名)
男性/会社員/43歳
大阪/賃貸住宅

■家族構成
妻(専業主婦/40歳)、長男(中学1年/13歳)

■相談内容
サラリーマンとしての先行きと、日本財政の先行きに悲観的であり、第2、第3の収益源を創ろうと日々努力しております。サラリーマン給与、株式投資、不動産賃貸業を行っています。とくに、不動産賃貸業は月間のキャッシュフローが100万円になるまでは規模拡大し、その後は返済比率を抑えつつ物件の入替え(若返り)で資産価値を高めていく予定です。

ここで相談させていただきたいのは日本の財政破綻によるハイパーインフレリスクについてです。私はこれがかなりの確立で起こるものと想定しており、そのために海外資産比率を一定規模に保つべきだと考えています。一旦、ハイパーインフレが起こりますと物価上昇に加えて金利急騰、為替暴落が起こります。この状況下まで行き着けば、海外資産によるローン残債の帳消しが可能となります。ただ、金利が先に急騰し(ローンの変動金利も急騰し)、為替暴落にタイムラグがある場合、その間の(ローン金利急騰による)キャッシュフローの持ち出しに耐えねばなりません。

そのためには残債に対してどのくらいの海外通貨建て資産を確保しておくべきか、あるいはそもそもこの考え方が正しいのかどうかを悩んでいます。この有事の際のセーフティーネットの考え方について、御助言賜りたく、お願い致します。

■家計収支データ
「駆け出し大家さん」の家計収支データ

「駆け出し大家さん」の家計収支データ



■家計収支データ補足
(1)不動産賃貸業の中身
物件/アパート1棟(新築)、中古マンション1棟(築25年)
借入額/2億2500万円
金利/アパート(2%弱)、マンション(1%弱)・ともに変動
家賃収入/188万円
毎月の返済額/88万円
その他、維持費/不明

(2)ボーナス200万円の使いみち
全額、投資に充当

(3)投資のこれまでの状況とスタンス
株式投資は10年間で年平均利回り13%前後で推移とのこと。長期投資スタンスなのでキャッシュフローはほとんどなし。

■FP深野康彦からの3つのアドバイス
アドバイス1 これ以上の借り入れを増やすことは危険
アドバイス2 「有事」よりも「平時」のリスクに備えるべき
アドバイス3 市場価格の確認とローンの借り換えを
 

アドバイス1 これ以上の借り入れを増やすことは危険

いただいているご相談は、日本の財政破綻に対するセーフティーネットの考えということですが、その前にどうしても気になる点がありますから、それについてまずは触れます。

昨年から始められた不動産投資ですが、データから類推すると、それ自体がとてもリスクを抱えていると感じます。

現在保有する2棟の維持費、税金等のランニングコストの金額が不明ですが、仮にこの2棟での月の純利益が60~70万円だとします。年間で720万~840万円。5年で4000万円前後ということになります。そして、これを元手に物件を入れ替えて、トータルの資産価値を高めていくというプランだと読み取れます。しかし、それを実現するには、十分な利益率の賃貸収入を維持継続していくか、購入した物件がそれ以上の価格で売却できるか、のどちらかということになります。

しかし、保有する物件が常時、借り手が途切れず、同じ家賃で10年、20年と収入を生むことは考えにくい。空室が出れば、その分、確実に賃貸収入は減りますが、維持コストは減りません。それどころか、築年数に応じて維持コストはアップするのが一般的です。メンテナンスを怠れば資産価値そのものが下がります。築25年の物件は、その傾向が顕著でしょう。新築の物件についても、購入した時点で資産価値は少なくとも2~3割は下落すると言われています。

もちろん、優良な物件を保有されていて、長期にわたり、期待どおりの利益を生むかもしれません。しかし、購入額を見る限り、それは考えにくいでしょう。一方、手にする利益が徐々に下降線をたどる確率は高いと思われてなりません。

その上で、今後のプランとして「純利益で100万円を目指す」ということですから、少なくともあと1棟は増やすということ。そうすると、その時点で借り入れは3億円超になるでしょう。これは避けるべき。現在の預貯金額や投資商品の評価額、そして給与水準を勘案しても、ご家族のためにもこれ以上の借り入れ増は勧められません。
 

アドバイス2 「有事」よりも「平時」のリスクに備えるべき

相談者の方は、日本が高い確率で財政破綻をすると予想されています。しかし、私はその確率はかなり低いと考えます。理由は、日本は確かに赤字国債を大量に発行=大量の借金をしていますがその借り手は海外ではなく、ほぼ国内に限っているということ。いざとなれば国内の政策で何とかなるということです。

個人の金融資産は1700兆円、対して負債は300兆円程度。国はというと、借金は1150兆円ですから、たとえば増税をすることで、その方法の良し悪しは別として、返済はできてしまいます。

しかも、日本は国としての資産も660兆円ほど保有しているため、純負債は500兆円を切っています。これは日本のGDPとほぼ同額。日本は世界的に見ても負債が多すぎると騒がれますが、自国のGDPと同程度の借金がある国は実はめずらしくありません。そういう点からも、早期の財政破綻は考えにくいと言えます。

また、残債を外貨建て商品でヘッジするというのは、ひとつの方法ではあります。円が大暴落することで得た為替差益によってローンが相殺される可能性もゼロとは言い切れないでしょう。しかし私なら国内不動産のみを保有しているのですから、円安になって資産が目減りするリスクを避けます。そちらの方がより現実的で、怖いと感じるからです。

そもそも、心配されているハイパーインフレも財政破綻も、経済有事の際に起きるような出来事です。それに備えることが不要とは言いません。ですが、不動産の賃貸事業は平時であってもリスク大です。であれば、起こる確率が低い有事よりも平時を万全にすべきではないでしょうか。今、考えるべきは、それに対するセーフティーネットだと思います。
 

アドバイス3 市場価格の確認とローンの借り換えを

相談者の方がまず着手すべきは、所有する不動産の市場価値の確認です。もしも、賃貸収入より経費が上回り、その後の赤字脱却が難しい場合、物件を手放すことが想定されます。その際、売却によって借入額が清算できるかどうか。清算できず持ち出しとなるなら、その額はどの程度なのか。そこを認識しておくことが、今後を考える上でのポイントだと思います。

次にしてほしいことは、ローンの借り換えです。一般の住宅ローンと比較はできませんが、それでも超低金利の今、変動でこの金利は高いのでは。借入金額が大きいだけに、おそらく0.1%下がっただけで、総支払額は300万円近く減るはずです(返済期間25年で試算)。手数料を差し引いても一定の効果は期待できるのですから、黒字になっているうちに、いくつかの金融機関に相談しておく価値はあると思います。

また、投資ペースは落とし、今後は貯蓄に大きくシフトすることも勧めます。毎月の余剰資金は全額、ボーナスは少なくとも半分は貯蓄に回してほしいと思います。現在保有の投資商品も、徐々に利益確定させ、できれば半分程度は貯蓄商品に振り分けるといいでしょう。

これまで高いパフォーマンスで投資による資産増をされてきたとのことですが、不動産投資というリスクを背負っている以上、他のリスクは極力減らしたいところ。相談者の家計は、不動産投資とは対照的に、高収入でありながら実に堅実で抑え気味です。基本は現金、しかも「円」による資産を増やしていくことを基本としてすれば、結果的にそれがもっとも効果的なリスクヘッジになると考えます。

教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
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業界歴26年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ




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