自宅を売却し、今の資産で早期リタイアは可能でしょうか?

早期リタイヤし熱海に移住を希望

早期リタイヤし熱海に移住を希望

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、離婚して現在独身の50代の男性会社員の方です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんが今後についてアドバイスします。
※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談は無料になります)

■相談者
アキスケさん(仮名)
男性/会社員/53歳
東京都/持ち家・マンション

■家族構成
独身、一人暮らし

■相談内容
10年前に離婚して、独り者です。勤務先はそのころ中途入社した会社なので、退職金は300万円程度です。住宅ロ-ンが800万円ほど残っていますが、親からの遺産(現在、父の後妻と係争中ですが、最低限1000万円はこの程度は入る予定です)をその返済に充て、売却した上で、退職して、熱海の別宅(管理費が現在も月3万円ほどかかります)で、悠々自適の生活を送りたいのですが、現状の資産で可能でしょうか。家賃はその管理費程度に減らせると思います。定期収入としては、株式の配当が10万円/年程度です。60~70歳まで個人年金が100万円/月、公的年金はこのまま辞めると100万円/年程度です。65歳以降は保険料を中心に支出を20万円程度に減らす予定です。

■家計収支データ
「アキスケ」さんの家計収支データ

「アキスケ」さんの家計収支データ




■家計収支データ補足
(1)ボーナスの使い道を教えてください(昨年例)。
貯蓄100万円、公社債投資積立30万円、保険・税金30万円、旅行・レジャー30万円、家電等の購入10万円

(2)加入保険の内訳
・本人/がん保険(終身払い終身保障、入院1万5000円、診断給付金100万円)=保険料2000円
・本人/終身保険(死亡保障500万円、65歳払い済み)=保険料1万円
・本人/個人年金1(60歳から10年確定、年金額50万円)=保険料1万3000円
・本人/個人年金2(60歳から10年確定、年金額50万円)=保険料4万5000円

(3)住宅コスト 
自宅マンションの住宅ロ-ン10万円、同管理費2万円、熱海別荘の管理費3万円。マンションは現状であれば、2000万円前後での売却可能(不動産の簡易鑑定×90%)。自宅売却で手にした資金は10年ものの個人国債か1年満期の定期預金にする予定。

■FP深野康彦からの3つのアドバイス
アドバイス1 100歳まで生きても3000万円超が残る
アドバイス2 「普通預金5500万円」はもったいない
アドバイス3 ワンランク支出アップの生活も可能
 

アドバイス1 100歳まで生きても3000万円超が残る

結論から言えば、相談者のアキスケさんが希望されている早期リタイアのプランは、資金的にまず問題はないと思います。

親御さんの遺産に関わる係争が今年中に終わり、1年後に自宅を売却。同時に早期退職したとしましょう。その時点で、退職金300万円とマンション売却による1800万円(売却コストを1割として試算)を手にしていますから、手持ち資金は退職までの貯蓄等の増加分も加えると、1億370万円ほどということになります。

次に生活費ですが、熱海と現在の生活費が同じとすれば、住宅ローンと管理費分を差し引いて月額24万円。ただし、ボーナスから捻出していた旅行・レジャー費の30万円と別荘の固定資産税(年間12万円で試算)を月割りにして加えれば、実質の生活費は月27万5000円となります。

リタイア後の54歳からはかかる生活費を主に貯蓄から取り崩すことになります。60歳になるまでの6年間の生活費は総額1980万円。60歳以降は個人年期保険の保険料が払込終了となりますので、生活費は21万7000円。そうなると、公的年金支給となる65歳になるまでの5年間では1302万円。合わせて65歳までに生活費がざっと3300万円発生します。

一方、その間の収入は投資商品からの年間の配当金10万円と60歳からの個人年金保険からの年金が年額100万円。それらを差し引くと約2700万円、手持ち資金が減る(投資商品は評価額変動なしとした場合)ことになりますが、それでも約7700万円が残ります。

65歳以降は年間約250万円(終身保険の保険料支払い終了のため、生活費は1万円下がる)の支出に対して、公的年金と配当を差し引くと手持ちの資産からの取り崩し分は年間140万円。100歳まで生きたとしても3300万円(66歳~70歳までの個人年金保険の年金額500万円加算)ほどが残るわけです。
 

アドバイス2 「普通預金5500万円」はもったいない

この結果は、あくまで試算に過ぎませんが、医療費や要介護になった場合にかかる費用、別荘のリフォーム代や修繕費が発生しても、おそらく資金が底をつくということはないと考えていいでしょう。

それでも、少しでも無駄を省くのであれば、いくつかポイントがあります。
まず、個人年金保険ですが、残りの保険料を一括して前納してもいいのではないでしょうか。資金は十分余裕がありますし、前納した分、支払い保険料が割引になります。

また、終身保険はあえて死亡保障を確保する必要はありませんので、よほど予定利率が高く、貯蓄として考えているということでないであれば、払済保険にしてもいいのでは。また、今後かかる医療費はおそらく貯蓄でカバーできますので、そう割り切れるのなら、医療保険は解約してもいいでしょう。

また、貯蓄の5500万円がすべて普通預金というのは、少しもったいない気がします。マイナス金利の影響で預金金利は超低水準ですが、それでも地銀やネット銀行は定期預金で0.1~0.2%の金利を掲げているところがいくつかあります。0.2%なら5500万円預けて、年間11万円(税引き前)の利息がつきます。もしも、現時点で0.001%の金利で預けているのなら、手間はそれなりにかかりますが、金利動向をチェックして預け替えをしていく価値はあると思います。
 

ワンランク支出アップの生活も可能

なぜこれほど資金的に余裕があるのかと言えば、もちろん手持ち資金が多いく、収入が高いことがその要因ですが、同時に生活費が抑えられている点が大きいと思います。

ボーナスでの支出を除けば、毎月の支出に占める趣味娯楽費、小遣い、雑費が5万5000円。まだ収入の低い20代と同レベルの金額です。

ただし、資金的には余裕がかなりあります。一般には老後生活になったら生活費を抑える必要があるケースがほとんどですが、アキスケさんの場合、もう1ランク支出をアップさせた生活でも十分やっていけるでしょう。少なくとも、今以上に節約を意識する必要性は低いと言えます。

あとは健康管理だけでしょうか。ストレスを溜め込まないよう、必要ならば支出もして、充実したリタイア生活を送ってください。
 

相談者「アキスケ」さんより寄せられた感想

回答ありがとうございました。遺産の調停なり、審判が終了するのを待って早期退職しても大丈夫とのこと安心致しました。五輪前マンションの価格が保持されているうちに売却したいと思います。株式は当然上げ下げがありますが、配当期待でいよいよとなるまでは保持したいと思います。独身で、派手な生活をする性分ではないので、このままのペ-スで何とか健康年齢を長く保つように努めて、静かに暮らしたいと考えています。

教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
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業界歴26年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ





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