教育費の高騰にそなえる、よい積み立て法はありますか?

教育費の高騰が心配です

教育費の高騰が心配です

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、多くの資産を持ちながら教育費が心配という30代の会社員男性です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。
※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談は無料になります)

■相談者
コーヒー牛乳さん(仮名)
男性/会社員/33歳
東京都/賃貸住宅

■家族構成
妻(契約社員/32歳)

■相談内容
貯蓄額と金融資産で現在6000万円程度ございます。貧しい家庭で育ったため、あまり散財しないよう努めています。また、確たる戦略もなく米国株を持っているため、リスク分散という観点からも少々不安が残ります。今後の資産運用(海外資産を含めた)についてご相談させてください。また、現在子供を持つことを計画しておりますが、2030年頃には高等教育の教育費がかなり高騰しているのではないかと危惧しております。主に大学、大学院など、教育費の高騰を想定した場合、よい学資保険など、推奨の積立方法などはありますでしょうか? ちなみに、預金のうち1500万円は将来の教育費として手を付けずにいるつもりです。

■家計収支データ
「コーヒー牛乳さん」の家計収支データ

「コーヒー牛乳さん」の家計収支データ



■家計収支データ補足
(1)住宅購入について
現時点で購入の希望なし

(2)将来的な実家への援助
両親および実弟への援助の可能性はゼロではない。
ただし、それも月3万円、5~6年=200万円と程度を考えている。

■FP深野康彦からの3つのアドバイス
アドバイス1 人生や家族を豊かにする支出もある
アドバイス2 進路によってかかる教育費は大きく変わる
アドバイス3 確定拠出年金は現役時代も恩恵あり

アドバイス1 人生や家族を豊かにする支出もある

まず、前提として、今後コーヒー牛乳さんがどのくらい貯めることができるのを確認しておきます。

33歳で金融資産が6000万円というのもすごい額ですが、高収入にも関わらず、支出がきわめて低く抑えられています。したがって、毎月42万円という貯蓄ペースが実現しています。しかも、ボーナスの使いみちは不明ですが、この相談文やデータから推測すると、ほぼ全額貯蓄に回っているのではないでしょうか。仮に8割でも、年間貯蓄ペースは824万円。これを60歳まで継続すると、退職金や昇給を考慮しなくても、2億2000万円という膨大な額が新たに加算されます。

したがって、教育費などについてもこの後触れますが、結論から言えば、心配はまったく不要です。老後資金も問題ないでしょう。もちろん、人生何が起こるかわかりません。収入が激減する可能性もゼロではないでしょう。しかし、すでに6000万円もの金融資産があります。2年後には7600万円超に増えています。

逆に心配なのは、ご本人が単に少々心配性というだけならいいですが、過度に心配し、毎日が楽しめないというのであれば、実にもったいないということです。
貯めることはもちろん重要です。しかし、人生や家族にとって、それを豊かにするために必要な支出もあります。たとえば、教育費を心配されていますが、それ以外のお子さんと過ごす時間、旅行をしたり、夏休みに出掛けたりということにも支出をしていいはずです。そのバランスを上手に取ることが、意味のあるマネープランだと考えます。

アドバイス2 進路によってかかる教育費は大きく変わる

それを踏まえて、教育資金を見てみましょう。
確かに、デフレ傾向があったときも教育費だけは下がらなかったこともあり、今後さらに上がる可能性も、もちろん否定はできません。

ただし、想定よりも教育費がかかるとすれば、授業料や学習塾費用の高騰よりも進路による教育費の増大の方が現実的だと思います。大学にかかる費用は私立文系で約390万円、私立理系で約520万円(※)。ただし、私立医歯系に進めば2250万円とその費用は大きくアップします。もちろん、中学、高校から私立となれば教育費は当然引き上がります。

さらに、8人に1人は大学院に進学する時代です。とくに理系は4割の大学生が大学院に進学するというデータもあります。費用は、私立の場合、修士課程(博士課程前期)の2年間で平均180万円、博士課程(博士課程後期)の3年間で220万円。さらに大学院進学が留学ともなれば、行き先等でその費用で大きく変わりますが、アメリカの私立大学院で、滞在費用なども含めれば2年間でトータル500万円は見積もっておいた方がいいでしょう。

データによれば、将来のお子さんのために、貯蓄から1500万円は手を付けずその費用に充てる予定とのこと。この金額は一般に、高校まで公立、大学は私立(医歯系を除く)に進学した場合の教育費を含めた、お子さんの養育に関わるすべて費用の合計にほぼ相当します。したがって、この時点でお子さんにかかる資金は準備できていると考えていいでしょう。

もしも、医者にしたい、あるいは海外の大学や大学院で学ばせたいという希望があれば、不足分を加算する形となります。高騰については、今から20年近く先のことなので誰も読めません。まずは今の平均コストを目安に考えておけばいいと思いますし、そもそも十二分に貯蓄がありますから、慌てて準備しなくても、より高額の進路や値上がりにも対処できるはずです。

これだけきっちりと貯められる方ですから、学資保険もあえて加入する必要ありません。先の1500万円を定期預金に預け、安全確実に増やしていけばいいでしょう。

アドバイス3 確定拠出年金は現役時代も恩恵あり

次に資産運用ですが、現在の資産配分は貯蓄と投資が2対1。状況的には比較的リスクを取れますし、貯蓄額自体が大きいので、しばらくはこのままでいいと思います。ただし、お子さんが生まれ、また住宅購入などがあった場合、徐々に現金の比率を高める意識は必要でしょう。

日本円での投資が多いことについては、米国株式に1000万円投資していますので、当然そこには為替も関係します。その意味で、外貨投資をしているとも言えます。ただし、言われるとおり、リスク分散という意味では、通貨分散をもう少ししてもいいとは思います。今は、ユーロの行く末が不透明ですが、落ち着いたところで米ドルとともに、何らかの形で所有してもいいのでは。

また、投資方法ですが、確定拠出年金(DC)の利用をオススメします。勤務先が企業型DCの制度を採用していなければ、個人型で構いません。ご存知だと思いますが、拠出した全額(コーヒー牛乳さんが個人型DCを利用する場合、上限額は月2万3000円)が所得控除の対象になりますから、60歳まで続ければ、その間ずっと節税の恩恵を受けます。また運用益や配当にも課税されません。目的はあくまで老後資金(引き出しは60歳以降)ですが、老後を待たずしていろいろメリットを得られるのです。

またNISAや、お子さんが生まれたらジュニアNISAも活用することで、さらに投資効果は結果的に高まっていくでしょう。

最後にもうひとつ。いくら超低金利とは言え、普通預金に3000万円は明らかに損をしています。こまめに探せば1年定期でも0.3~0.4%の金利を出している貯蓄商品はあります。それだけで手にする利息は税引き後でも年間9万円前後。検討してみてください。

(※)紹介している教育費はすべて文部科学省「平成26年度/私立大学入学者に係る初年度学生納金平均額」を参考にしています

相談者「コーヒー牛乳」さんから寄せられた感想

深野様のご意見、大変参考になりました。幸い丁度確定拠出年金(DC)を今年より始めたので、1、3年単位での定期の金利の高い貯蓄商品を探してみます。
たしかに年間9万円前後は大きい差かと思います。また、海外旅行なども行っているのですが、国内旅行やスポーツなどアクティビティなどももっと積極的にチャレンジしてみたいと思います。


教えてくれたのは…… 
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深野 康彦さん

業界歴26年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ


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