借り入れは完済のめどが立たず、教育費の備えもありません

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、返済に追われ貯蓄ができない30代の女性。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談は無料になります)

借金完済のめどが立たない

借金完済のめどが立たない



■相談者
TKGさん(仮名)
女性/契約社員/37歳
賃貸住宅

■家族構成
夫(会社員/30代後半)、子ども3人(14歳・12歳・10歳)

■相談内容(原文まま)
クレジットカードと、カードローンの返済額(月々20万以上)が多く、給料が入っては返済して→また借りて、を繰り返しているため、貯蓄ができません。完済のめどもまったく立ちません。来年から、一番上の子が高校へ進学するので、せめて入学金位は準備したいです。まずは、借金を減らしながら、お金を借りずに済む方法を教えて欲しいです。末っ子が、塾に通っているため、教育費にだいぶお金がかかっていますが、習い事はやめさせたくないです。どうか、よろしくお願い致します。

■家計収支データ
「TKG」さんの家計収支データ

「TKG」さんの家計収支データ



※夫の給与は定期代を引いた金額

■家計収支データ補足
(1)クレジット使用とカードローンの内訳
▼夫
1.銀行系カードローンA
借入額300万円/月返済3万5000円

2.銀行系カードローンB
30万円/月返済6000円

3.流通系クレジットA
カードローン/30万円
ショップ/7万円(=ローンとは別に、店舗での平均カード利用額)
月返済利用額に応じて、返済額は月8万円ほど。

1.2.3については「借りては返して」を繰り返しているため、実質ローンはほとんど減っていない。つまり300万円超のローン残高をいつも抱えている。

▼妻
1.銀行系カードローンC
借入額50万円/月返済1万2000円

2.銀行系カードローンD
10万円/月返済1万円

3.流通系クレジットB
カードローン/50万円
ショップ/50万円
月返済、およそ7万5000円

4.流通系クレジットC
ショップ/30万
月返済/およそ3万円

5.他、生活費のクレジットカード利用
3万円前後

※クレジットカードの支払いとカードローンの月返済の合計額/24万8000円

(2)ボーナスの使いみち(年間)
・給食費遅延分/20万円(給食費は平均すると1人月6000円くらい)
・生活費の補てん/10万円
・レジャー費用/27万円
・お年玉/3万円

(3)教育費5万9000円の内訳について
習い事・塾4万円
学校教材代(3人分)1万4000円
部活動費 5000円

(4)通信費の内訳
iPhone 3台、ガラケー1台、タブレット1台、家庭用wifi 外出用wifi

(5)加入保険について
・夫=保険料1万1000円(給与天引き)
保障内容は不明

(6)赤字家計について
このような家計になった理由の相談者の分析。

1.カードローンの月々支払いや家賃、携帯代など、現金で支払わなければならないものから、優先的に支払い、カードでも払えるものは、カードで支払うため、中々残高が減らない。

2.夫の給料が、残業時間により変動し、残業時間が少ない月は、給料も少ないため、カードローンの支払いだけで終わる月もある。カードローンを利用しなくても良い月が限定されるから、カードローン利用額が増えてしまう。

3.節約は、お昼ご飯をお弁当にするなどで心掛けているが、必要に応じて部活動用品、衣類などの補填が必要のため、現金で支払いできない時は、クレジットを使ってしまう。

(7)夫の給与は定期代を引いた金額として記載

■FP深野康彦からの3つのアドバイス
アドバイス1 本来は年間200万円貯められる家計
アドバイス2 親からの資金援助で家計の黒字化を目指す
アドバイス3 「任意整理」もひとつの選択肢

アドバイス1 本来は年間200万円貯められる家計

データを拝見しました。大変きびしい家計状況です。現時点で、当然あってしかるべき、一番上のお子さんの進学資金でさえ、これから用意することは不可能だと思います。これは深刻な事態と言わざるを得ません。もちろん、教育ローンや高校進学向けの奨学金という選択肢もあります。しかし、その利用は避けるべきです。根本的な問題の解決にならないからです。

では、その解決のために何を目指すべきか。黒字の家計、貯蓄できる家計です。家計支出のうち、ローン(またはキャッシング)やクレジットカード利用の返済が、現在毎月24万円8000円。月間支出の40%を占めています。毎月の収入が52万6000円ですから、単純計算ではありますが、これら支払いがなければ、16万2000円の黒字となります。つまり、ボーナスを全額支出したとしても、そして節約をしなくても、年間200万円近い貯蓄が可能となるわけです。

年間200万円貯められるのは、それだけ収入があるということです。ではなぜ、それとは正反対の家計となってしまったのか。理由は明白です。使い過ぎたからです。

これまでカードやローンを組んで支出した中には、どうしても必要なものもあったでしょうが、その多くは支出しなくても済んだはずです。家計管理の意識そのものを変えていくことが重要です。

アドバイス2 親からの資金援助で家計の黒字化を目指す

黒字の家計を目指すには、収入が増えないとすれば、支出を減らす必要があります。そのためには、現在の家計支出を大幅に見直さなくてはなりません。当然、家族全員が我慢を強いられますが、そのくらいの覚悟が必要です。

かと言って、食費や教育費は下げられません。手を付ける費目としては通信費ということになります。スマホの機種代金もローンであれば、契約解除をしてもそれを支払い続けなくてはなりません。それでも、ガラケーに戻すとか格安スマホに切り替えるとか、少しでも下げる工夫が必要です。タブレットもどうしても必要かどうか。あれば便利ですが、現状で月5万5000円の支払いは過大です。

あとはボーナスからのレジャー費。年間27万円は、せめて半分には抑えたい。家族の楽しみを減らすのは辛いかもしれませんが、今まで使い過ぎた代償です。仕方がありません。

ただ、生活費を節約するだけでは、立て直しに相当時間が必要です。したがって、ローンの支払いを減らすことを目指す必要があります。

方法は二つ。一つは、親御さんに頭を下げて、資金を借りる。できれば、ご夫婦双方の親からそれぞれ借りたい。それにより全額返済が理想ですが、それが無理なら完済できるものから一括返済をして、毎月の返済額を減らしていく。

親への返済は2、3年後からになりますが、返済の意思表示として、カードをすべて親に預けてください。すべての元凶はカードです。世帯収入があり、少なくとも滞納なく返済しているため、今後も借り入れが可能です。借りてしまえば、また「借りては返す」の繰り返しとなります。不便でも、現金だけの生活に戻るべきできす。

アドバイス3 「任意整理」もひとつの選択肢

ただし、親御さんから資金援助してもらえない可能性もあります。上のお子さんの教育資金だけでも借りるという手もありますが、それでも赤字家計には変わりません。したがって、その場合はもう一つの方法を選択します。「任意整理」です。

自己破産や個人再生と異なり、裁判所が関与しない債務整理の方法です。手順としては、弁護士や司法書士が代理人となり、無理のない返済方法を貸し手側と交渉していきます。もちろん、費用は発生しますが、原則、借り入れで発生していた利息がカットされるため、支払額そのものの軽減が期待できます。

もちろん、デメリットもあります。一定期間、クレジットカードが使用できません。カード引き落としにしている公共料金や保険料の支払いなどは、現金払い(もしくは銀行口座引き落とし)に切り替えなくてはなりません。しかし、これは考えようによっては、TKGさんの家計にはプラスです。クレジットの借り入れがこれ以上増えることはありません。
また、精神的な部分でも大きなメリットがあります。返済に追い回され、不安だけが募る日々から開放される。それだけでも任意整理を行う価値はあります。

任意整理と聞いて「何もそこまでしなくても」と思うかもしれません。しかし、これまで改善できず、給食費も滞納してしまう現状を、軽率に考えるべきではないと思います。ましてや、お子さんが3人いらして、今後間違いなく教育費がかかってきます。お子さんたちが頼れる人は、ご夫婦しかいないのです。幸い、ともに30代。まだまだ出直せます。ご実家からの支援を受けられないなら、一度、弁護士や司法書士に相談してみることをお勧めします。

相談者「TKG」さんより寄せられた感想の一部

通信料は、やはり使いすぎている傾向は感じていたので、積極的にテコ入れしたいと思います。幸い、スマホ一台分が契約満了になった為、格下の機種に変更するなどで対策を取りたいと思います。屋外用のwifi設備費用においても、近日中に解約するなどして、経費節減を目指します。また、クレジットカードについても、資金援助が出来るようになれば、順次解約していきたいと感じました。


教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  

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マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武



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