お金の悩みを解決!マネープランクリニック/50代シングルの人のお金相談

53歳会社員、貯金1800万円。どの職場でも人間関係をうまく築けず、早期退職を考えています

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、53歳の女性会社員の方。どの職場でも人間関係をうまく築くことが苦手で、会社勤務に限界を感じているとのこと。そのために早期の退職を希望しているが、資金的にあと何年勤務すればそれが可能か、ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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どのくらい資産があれば無職で生活できますか?

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、53歳の女性会社員の方。どの職場でも人間関係をうまく築くことが苦手で、会社勤務に限界を感じているとのこと。そのために早期の退職を希望しているが、資金的にあと何年勤務すればそれが可能か、ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。
早期の退職を考えています

早期の退職を考えています

■相談者
あんさん(仮名)
女性/会社員/53歳
千葉県/借家

■家族構成
1人暮らし

■相談内容
自分の性格に難ありで人間関係がうまく築けず、どこに勤めてもトラブルがあります。できることなら今すぐにでも仕事を辞めたいが、年金支給開始までにあと12年もあり生活できるのか不安があります。あと何年仕事をし、どれくらい資産を増やせば、無職で生活ができるのかご教授いただければ幸いです。資産を増やしたい気持ちはあるが、iDeCo、NISA、投資等は資産が減るリスクがあるため一切やるつもりはありません。両親はすでに他界、結婚の予定もありません。

■家計収支データ
相談者「あん」さんの家計収支データ

相談者「あん」さんの家計収支データ

■家計収支データ補足
(1)ボーナスの使い道
旅行(年間3回程度)10万円、生活費の補てん2万円、貯蓄16万円

(2)年金額
ねんきん定期便の見込額(定年まで勤務した際の金額)は合計117万2210円。

(3)食費について
基本的には、低コストを考え、固定食(毎回同じようなメニュー)にしている。朝は卵かけご飯と味噌汁。昼食はおかずのみのお弁当を持参。夜はご飯と味噌汁。ときどき魚を取り入れる。休日は、朝は同じメニューで昼はパン。夜は食べたり食べなかったりしています。

お米ともち麦、調味料を購入した月は1万8000円ほど。その他の月は1万3500円程度。本人は「もう少し節約したいと考えており、パンをやめてコストの低い代替えを模索中」とのこと。

(4)節約について
相談者コメント「私はケチな人間です。お金を使うことに罪悪感を感じるため、気持ちよく買い物ができません。我慢は常にあり、自分に許可ができず苦しいと感じる時もあります。旅行時は金額じゃなく行きたい所、食べたい物を頑張って意識し選びますが、何もかも無駄と感じて楽しめなくなってきています。仕事のストレスは、休日に本を読むこととパンを食べることで発散できています。それが今一番幸せな時間です。それも仕事をしているから感じる幸せであって、無職で毎日休日と同じことをしても幸せは感じにくくなると思っています」

■FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 3年勤務して、92歳までの老後資金は準備可能
アドバイス2 これ以上の節約は勧められない
アドバイス3 勤務期間は少なくとも3年間、最長で5年間

アドバイス1 3年勤務して、92歳までの老後資金は準備可能

まずは、現状のデータをもとに試算をしてみましょう。設定として、今後3年間は今の勤務先で働き、その後、リタイア(無職)するとします。

現在の収支は年間で124万円の黒字。3年間勤務すると、計372万円が新たに貯まります。退職金があるかどうかは不明でしたが、ここでは考慮しません。結果、56歳の時点で2172万円が手持ちの金融資産となります。

56歳から年金支給となる65歳までの9年間は、貯蓄を取り崩す生活となります。現在の生活費は、ボーナスからの補てん分も合わせると110万円。9年間で990万円となります。

ただし、退職後はこれに別途、社会保険料が発生します。

国民健康保険料と介護保険料は、お住まいの市区町村によって金額が異なり、また低所得者には減額してくれるケースもありますので、一概には言えませんが、ここでは年間10万円とします。
加えて、60歳になるまで国民年金保険料が発生します。こちらも所得などの条件によっては減免措置がありますが、年金受給額を下げないためにも、定額を支払うとします。保険料アップを見込んで、仮に平均月1万7000円とすると、4年間で82万円ほど。したがって、社会保険料は65歳になるまでに計172万円がかかります。

結果、65歳になった時点での手持ち資金=老後資金は1010万円となります。

次に、老後の生活費を見ていきます。収入である公的年金ですが、勤務した場合で年額117万円ですから、56歳で退職となると、当然減額となります。正確な受給額はここでは割り出せませんが、110万円前後でしょうか。そうなると、手取り(税金、社会保険料天引き後)では90万~95万円。

生活費が今と同額なら、年間で25万~30万円が不足しますから、これを貯蓄から捻出します。老後資金から予備費(医療費、介護費など)として200万円を別途確保すると、27年間、92歳までは老後資金で生活費がカバーできることになります。

アドバイス2 これ以上の節約は勧められない

これで老後資金が足りるかどうかですが、試算に加えていない退職金の支給が実際にもない、あっても少額であるなら、長生きリスクへの不安がややあります。生活費を今後節約していけば、ギリギリやれそうと言えなくもないですが、個人的には、そのためにこれ以上生活費は落とすべきではないと考えます。

ご相談文に「お金を使うことに罪悪感を感じる」とあります。旅行にしても、食事にしても「何もかも楽しめなくなってきた」とコメントされている点が気になります。もちろん、無理に支出する必要はありません。また、個人の価値観は千差万別。当然、あんさんの考えも生活スタイルも尊重します。

ただし、支出は良くないことという考えがエスカレートすると、本来支出をするべき部分も削られてしまうのでは。そこが少々心配です。具体的には、食費や冷暖房費、医療機関による定期検診の費用などもそうでしょう。先のシミュレーションで生活費をずっと今と同額としたのも、これ以上の節約は勧められないという考えからです。

アドバイス3 勤務期間は少なくとも3年間、最長で5年間

そうなると、老後において資金的にリスクを減らすには、老後資金の増額がもっとも有効となります。つまり、勤務年数を増やすことです。それでも、単に増やせばいいというものでもありません。そもそも、あんさんは人と働くのが難しく、できれば仕事はしたくないという思いから、ご相談されたわけですから。

仮に1年延長して4年間勤務すれば、124万円の貯蓄増と約30万円の社会保険料の負担軽減があり、トータルの収支で154万円のアップ(実際は、年金受給額もアップしますが、ここでは考慮せず)となります。結果、老後資金は97歳までカバーできます。2年延長すると、それが102歳まで延びます。

したがって、あんさんが実際に今の職場でどの程度勤務できるかはわかりませんが、数字だけで判断すれば、少なくとも3年、最長で5年と考えます。

しかし、現実的に3年でもきびしいとなれば、退職後に収入は今より下がっても精神的な負担の少ない、継続してできそうなパート、アルバイトをする。口で言うほど簡単ではないでしょうが、その方法を選択することになるでしょう。ともあれ、働き方はご自身の健康面にも関わることです。無理せず、柔軟に考えていいと思います。

相談者「あん」さんから寄せられた感想

最短であと3年とのことで安心いたしました。ゴールが見えなければ、ただただ苦しい日々を過ごすことになるのでご相談できてよかったです。

ただ、長生きリスクも考え、少しでも細く長く働いていかなければならないことも理解できました。またご指摘のように、支出は良くないことという強迫観念が実際エスカレートしており、食事も食べたい物ではなく安い物を選択しています。そしてもっともっと節約できないものかと常に考え、現在はプロパンガス契約をせず生活するようになりました。

長年の生きづらさの蓄積で、不安やストレスが年齢と共に加速し焦っていたので、マネープランで試算いただけた目標となる3年を目指し、まずは今の自分に目を向け健康面に留意し生きていきたいです。ありがとうございました。

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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水京武
 
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