余裕ある生活のはずが、予定が一変することになってしまいます

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、娘さんが中学受験することなり、教育費と老後資金が賄えるか不安でたまらない、と悩む41歳の会社員女性です。塾代やリアルな今後の教育費の負担が見えてくると不安で眠れない、といいます。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください(相談は無料です)

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娘は一生懸命頑張っており応援したいのです

娘は一生懸命頑張っており応援したいのです




■相談者
Tさん(仮名)
女性/会社員/41歳
関東/持ち家(一戸建て)
 
■家族構成
夫(44歳)、娘(10歳)
 
■相談内容(原文まま)  
娘が中学受験することなり、教育費と老後資金が賄えるか不安でたまりません。私が最初受験を勧めたものの、いざ塾代やリアルな今後の教育費の負担が見えてくると不安で眠れず、かといって勧めた手前夫や両親に相談や援助を頼むこともできず辛いです。
 
娘は一生懸命頑張っており応援したいのですが……。家のローンは2022年5月で完済予定です。その後は資金的には余裕ある生活の予定が一変することになり、仕事をペースダウンする選択肢がなくなったと思うとしんどいと思ってしまいます。支出は突発的なものが毎月あり、実際にはあと2万円くらいは多いと思います。今から12年間継続して年間120万円を教育費に使っても老後資金が大丈夫か、場合によっては仕事ペースダウンが可能か、年間10万円ほど旅行に使って大丈夫か知りたいと思います。実際に資金的はどうなのか見ていただき、もし厳しいのなら乗り切る方法を考えたいですし、心配しすぎなら安心して受験と仕事を前向きに頑張りたいです。
よろしくお願い致します。
 
■家計収支データ
相談者「Tさん」の家計収支データ

相談者「Tさん」の家計収支データ



 
■家計収支データ補足
(1)住居費について
15年前に新築で購入と同時に借り入れ開始。物件は2430万円、頭金は680万円、諸費用は別途手持資金で用意しました。ローンは当初1750万円借り入れ、34年返済予定でしたが、数回繰り上げ、一度、借り換えを行い、現在残高は185万円です。金利は当初固定でしたが、平成24年に借り換えした際に変動にして現在の金利は0.875%。ボーナスからの返済はありません。固定資産税は年間6万9300円。
 
(2)車両費について
以前は2台でしたが、現在は10年前購入の1台。次回2年後を希望として250万円ぐらいで買い換え予定です。その後も10年ごとに250万円ぐらいで買い換え希望ですが…。
 
(3)加入保険について
【夫】
収入保障保険:遺族、障害、介護保障で月10万円保障。60歳まで保障・払込予定 保険料年間=5万4827円  
変額保険:死亡200万円、高度障害60万円保障。終身保障、60歳まで払込予定 保険料年間=6万6676円  
ガン保険:がん入院1日1万円、それ以外は1日5000円保障。終身保障、終身払込予定。保険料月=2475円
養老生命共済:死亡100万円保障。終身保障、2024年まで払込。保険料年間=約2万円
 
【妻】
収入保障保険:夫と同内容保障だが、55歳まで保障で保険料年間=2万8183円
変額保険:夫と同内容保障 保険料年間=3万9651円  
ガン保険:夫と同内容保障 保険料月=2475円
米ドル建終身保険(払い済) 死亡保障 1万7250ドル
 
【子ども】
学資保険:18歳満期240万円。17歳まで払込予定で保険料年間=12万795円
養老保険:死亡130万円、2032年満期(払い済)。
 
(4)教育費について
児童手当は全額子ども名義で貯金。上記預金残高のうち、児童手当を含む子ども名義の預金が200万円ほどです。教育費5万5000円の内訳は塾代4万5000円と学校納入費約1万円です。これとは別に通信教育代が年間7万円ほどかかっています。進路は中学、高校は私学で志望校の学校への納入金は年間100万円くらい。別途交通費など10万円ほどかと考えています。大学は自宅通学で私学予定。あくまでも希望は自宅通学の国公立大ですが。
 
(5)毎月の貯蓄について
妻の確定拠出型年金は毎月の貯金額に計上していない。妻の確定拠出型年金は給与天引きされており、毎月3万円を積み立てしている。
 
(6)ボーナスの主な使い道について
・保険料:約33万円
・車保険、税金:8万円
・車検:12万円
・通信教育 :7万円
・旅行:10万円。 ただしその年により変動が大きい
・固定資産税:7万円
・家電など買い替え:30万円。この数年かかっています
・残り貯金
 
(7)お勤め先について
夫婦とも60歳定年後65歳まで勤務可能。妻は嘱託、夫の60歳以降の身分は不明。夫婦ともに退職金ありだが、金額は不明。夫は65歳まで働くと思いますが、私は資金的には可能なら60歳で退職したいですが可能でしょうか?
 
(8)年金について
夫 65歳受給開始、月13万円
妻 65歳受給開始、月7万2000円
以前、ねんきん定期便などをみて自分で確認したようですが、正確かどうか不明です。夫は企業年金があると入社時に聞いたような気がしますが真偽は不明、私は確定拠出型年金制度があり、月3万円拠出しています。
 
■FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 心配しすぎ。家計に無駄はないので、家計の棚卸しを
アドバイス2 貯蓄が継続できれば、教育費も車の買い換えも、旅行もOK
アドバイス3 60歳以降にかかる生活費のコストダウンだけは意識して
 

アドバイス1 心配しすぎ。家計に無駄はないので、家計の棚卸しを

結論から言えば、心配しすぎです。家計を拝見すると、無駄な出費がありませんし、住宅ローンは繰り上げ返済や借り換えなど、きちんとメンテナンスをされています。車も1台処分するなど、地に足がついた生活をされていることが窺えます。さらに、住宅ローンの返済をしながら、現在の金融資産が1560万円あり、ここまで堅実にやってこられたのでしょう。大丈夫です。このままのスタイルでいけば、何の心配もいりません。
 
ただし、お金の出どころが重複しているものがあります。保険に関しては、一度見直しをし、家計を再度整理してみてください。
 
年払いの保険料はボーナスから支出されており、毎月の支出としても月換算で計上されていますが、これは重複していますね。毎月の保険料はガン保険の4950円のみとなるはずです。それによって、毎月の貯蓄額が16万円としながらも、内訳を見ると、学校費用の引き落とし用、年払い保険料用も入っており、これは実質すぐに出ていくお金です。
 
確実に貯蓄としてできているのは、財形貯蓄と積立定期の4万円ということになってしまいます。財形貯蓄も、基本的には、給与天引きですから、手取り収入からの貯蓄ではありません。
 
しかしながら、家計データの収支差は支出を30万円としても14万円のプラス。さらに、月換算で計上していた保険料分2万8000円を加えれば、16万8000円が余剰金となります。
 
結果的には、毎月16万円貯蓄できているのは、そのとおりかもしれませんね。Tさんが不安に思われるのは、出ていくお金ばかりに気をとられているからではないでしょうか? 今一度、お金の出どころを明確にし、将来に向けての毎月の貯蓄額とボーナスからの貯蓄額を把握すれば、不安は一気に解消すると思いますよ。
 

アドバイス2 貯蓄が継続できれば、教育費も車の買い換えも、旅行もOK

毎月の貯蓄額15万円(学校費用の引き落とし分を除く)は、教育費や老後資金など、将来に向けての貯蓄としてください。銀行口座などを使い分けるなど、分かりやすい管理の仕方がいいかもしれませんね。
 
ボーナスからの貯蓄については、年払いでかかる支出を差し引くと、残りは39万円程度となります。ただ、保険を見直すことで、10万円近く、貯蓄を増やすことが可能です。
 
現在加入の保険のうち、変額保険については、夫婦ともに払い済みでいいでしょう。住宅ローンが、あと2年でローンは完済しますので、万一のことがあっても、住居についての心配はいりません。Tさんご自身の収入もありますし、夫婦どちらかに万一のことがあっても、収入保障保険のみで保障は十分だと思われます。金融資産もありますので、Tさんの場合は、過剰に保険に頼る必要はありません。
 
以上のように、家計を整理していくと、毎月15万円、ボーナスからは46万円(ボーナスから100万円は使うお金)の貯蓄が可能で、年間226万円、ご主人が60歳になるまでの16年間で、約3600万円貯めることができます。現在の金融資産1560万円、学資保険と養老保険の満期金370万円を加えると、5530万円が60歳までに貯められるお金ということになります。
 
ここから、子どもの教育費、車の買い換えなどの支出がありますが、教育費については、仮に年間120万円、今後12年間で1440万円、約1500万円かかったとしても、4000万円ほど残ります。車を10年ごとに250万円の予算で3回買い換えがあるとして、750万円。十分対応可能です。さらに、2年後には住宅ローンの返済が終わりますので、その分も貯蓄に回すとすれば、1000万円上積みできます。
 
順調に行けば、60歳時点で残る金融資産は、4000万~4200万円となります。余程、突発的な多額の出費がない限り、心配することはないでしょう。旅行もこれまでどおり大丈夫ですし、Tさんが60歳でリタイアしても大丈夫です。
 

アドバイス3 60歳以降にかかる生活費のコストダウンだけは意識して

老後資金については、4000万円に退職金が加わります。65歳の公的年金受給までの5年間をどう過ごすかで、金融資産の目減りの仕方は変わってきます。
 
60歳以降の収入は、現状より少なくなりますが、支出は今よりかなり削減できます。少なくとも、住居費、教育費、保険料の支払いはありませんので、毎月の支出は14万円程度になるのではないでしょうか?
 
ご夫婦で65歳まで何らかの形で働き、収入を得られれば、65歳まで収支プラスマイナスゼロで過ごすことも可能でしょう。仮に、Tさんが60歳でリタイアし、生活費の不足分が7万円ぐらいあっても、貯蓄からの取り崩しは、5年で420万円です。65歳からは、公的年金が2人で月額20万円あり、Tさんの確定拠出型年金もあります。生活費のコストダウンを意識すれば、心配する必要はありません。払い済みにした米ドル建ての終身保険もありますから、解約すれば、それなりの資金にもなるでしょう。
 
この先、優先すべきは、お子さんの教育費ですが、現状の家計を維持でき、貯蓄することができれば、何も不安に思うことはありません。今後、もしも家計に変化が起きたときは、家計の棚卸しを忘れずにしてください。お金の流れが整理できれば、Tさんのしっかり家計であれば、問題もクリアしていけると思います。安心して、お子さんの受験と仕事を前向きに頑張ってください。
 

相談者「Tさん」より寄せられた感想

深野先生からアドバイスを頂けて感激です! 今まで私が堅実にやってきたとのお言葉、今後も心配ないとのこと、本当に嬉しく安心して涙が出そうになりました…。最初勧めておきながら娘を心底応援できず、お金の心配と自分の負担ばかり気にする自分が母親としてたまらなく情けなかったのですが、このアドバイスを励みに受験も仕事も前向きに頑張れそうです! 支出の矛盾などご指摘の内容も言われてみれば全くその通りで、専門家へ相談する大切さを痛感しました。手取りからの貯蓄の考え方が以前から分からなかったのですが、今回整理できました。結論としてご指導いただいた金額の貯蓄を継続する、老後の生活サイズに注意する、この2点を守れば大丈夫というコメントも非常に分かりやすかったです! 本当に心が軽くなりました! ありがとうございました!
 
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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
  
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子


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