定年・退職のお金

50歳から老後貧困を防止する!強い家計の作り方3つのポイント

老後の貧困を防ぐためには、50歳を過ぎたら家計のダウンサイジングを図ることが有効です。「自分は大企業に勤めているから大丈夫」「老後も働き続けるつもりだからそうはならない」と老後の貧困を他人ごとと思っている方は多いのですが、現実には想定外の出来事により貧困に陥るというケースも多くあるのです。

小沢 美奈子

執筆者:小沢 美奈子

お金が貯められない人の貯金術や節約術ガイド

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50歳を過ぎたら、生活費のダウンサイジングをしよう

定年退職すると、一般的には年金などの限られた収入の範囲内で生活していくことになります。
しかし筆者が書いた「貧困高齢者が増加!今からできる対策は?」の中で述べた通り、年金受給世代の高齢者における貧困が後を絶たないのが実態です。

高齢者の貧困と聞くと、「自分は大企業に勤めているから大丈夫」「老後も働き続けるつもりだからそうはならない」と思う人もいるかもしれませんが、そう思っている人が、老後に急激な体力の低下や病気など、若いころには想定できなかった事態が発生し、収入が途絶えてしまったことで貧困に陥るというケースも多くあるのです。

将来自分が貧困にならないためにはどうしたらよいのでしょうか。健康でいることは大事なのですが、少なくても50歳を過ぎたら、生活費のダウンサイジングを図ることが効果的です。

今回ご紹介するA子さん(56歳)は、定年退職を迎えて企業の再雇用で働くご主人(62歳)を持つ主婦の方です。A子さんのご主人は、比較的高所得だったこともあり、生活レベルも高かったと言います。しかしご主人の定年退職により収入が激減し、A子さんは、はたと気付きました。

「このままでは家計は破たんしてしまう」

A子さんはこれを機に、真剣に生活費のダウンサイジングに取り組みました。そこで実践した具体的な削減方法をご紹介したいと思います。
 
老後貧困を防ぐ家計の見直し方は?

老後貧困を防ぐ家計の見直し方は?



 

1 交際費の削減は友人関係の整理から

子育てから卒業すると同時に、自分の好きなことに時間を使いたい、友人との付き合いを楽しみたいと思うのは、至極当然のことです。しかし、お付き合いもほどほどにしないと、交際費が老後の生活を圧迫する大きな要因となってしまいます。

当時A子さんのご主人は、東証1部上場企業に勤めていて、収入は人並み以上だったゆえに、「将来のことなどあまり考えずに、好きなことにお金を使っていた」とのこと。

A子さんの周りには、A子さんと同じような金銭感覚の羽振りの良い友人が多かったそうで、彼女たちと頻繁にランチで数千円もかかるようなレストランへ行ったり、年に数回、旅行したりしていたと言います。また、服やバッグも頻繁に購入していたせいで、当時は、交際費のみならず被服費もかさみ、合計で月に10万円を超える時もあったそうです。

しかし、ご主人の定年退職を迎え、このままではいけないと感じたA子さんは、交際費の見直しに取り組みました。

まずは、友人との付き合いを減らすことから始めたそうで、それにより交際費を月に数千円程度まで減らすことができました。さらに洋服やバッグの購入は、年に2回のバーゲンの時に限定するようにしたのです。

「最初は友人からのお誘いを断るのに勇気がいりました。孤立してしまうのではないかと不安になったのも事実です。結局、友人の数人は去っていきましたが、今は本当に大切だと思える友人のみが残ったという感じで、結果的には良かったと思います」

友人関係を重んじることも大切ですが、老後の生活を考えた場合、ある程度友人関係を整理することは有効だと言えます。
 

2 1週間当たりの予算管理で食費を削減

交際費に続いて、Aさんは食費の見直しも開始しました。それまで、夫婦2人の1カ月当たりの食費は約10万円かかっていたと言います。その原因を改めて分析したところ、デパ地下のお惣菜を頻繁に購入していたことや、外食が多いということに気付いたそうです。定年後にそのような使い方をしていたのでは、破たん街道まっしぐらです。

支出を削減するには、1カ月の予算を決めてその範囲内で買い物をするようにするとうまくいきます。以前はズボラな管理をしていたA子さんでしたが、1カ月あたりの食費の予算を決めました。さらにその金額を4週分に分けて、1週間当たりの予算を立てるようにしました。予算立ては、細分化するほど管理しやすくなるからです。

具体的には、夫婦二人で月に食費は6万円と決めたので、1週間あたりは1万5000円(6万円÷4)になります。その範囲内で生活することを守りました。

「夫婦二人だけだと、自炊より外食の方が安くつく場合もあるので、外食が絶対ダメとは言い切れないと思います。とにかく大事なのは予算の範囲内で食費をやりくりすることです。がんばって習慣化したおかげで、今は月6万円で食費を収めることができています」
とA子さんは話します。
夫婦で取り組むことが重要

夫婦で取り組むことが重要

 

3 保険料を削減できたポイントは? 

A子さんは、数年前に実のお兄さんをがんで亡くしたそうで、その不安を覆い隠すために、多数の保険に加入していました。終身保険はもとより、医療保険やがん保険、傷害保険などに加入し、保険料は毎月6万円も支払っていました。

さすがにこのままではいけないと思ったA子さんは、保険を見直すことにしました。まずは医療制度について勉強したそうです。

医療費が一定の額を超え高額になると、高額療養費制度を使うことができます。この制度を使うことで、どんなに高額な医療費がかかったとしても、支払いは月10万円以内で済むケースがほとんどです。高額療養費制度は公的な制度であり、健康保険に加入している方は誰でも使うことができます。

さらに、A子さんは、医療機関で支払う窓口での負担についても勉強しました。医療費の自己負担割合は、一定の所得者であれば70歳になると2割となり、75歳になると後期高齢者医療制度に移行し、1割の負担で済むようになります。医療費に対して過剰に心配していたA子さんでしたが、高額療養費制度や窓口での自己負担割合について知り、安心したそうです。

結果A子さんは、がん保険は解約し、がんの保障も手厚いタイプの医療保険に絞りました。傷害保険については、保険料が安いため、残すことにしたと言います。毎月6万円だった保険料は、月に約2万5千円まで減らすことができました。

「保険で備えるのも大事かもしれませんが、保険料の分を貯蓄に回しておけば、病気以外のことでも使うことができますよね。とにかくこれからは、貯蓄を増やすことに力を注いでいきたいと思います」とA子さんは穏やかな表情で話します。
 

まとめ

A子さんは、ご主人の定年退職を機に家計のダウンサイジングを図りましたが、このような取り組みは早く始めるに越したことはありません。早ければ早いほどお金も貯まり、老後資金の増加につながります。50歳を過ぎたら、ぜひ取り組んでみてください。


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