定年・退職のお金/老後資金の貯め方

貯めどきを逃さない! 老後貯金を増やす「5つの方法」

老後の「健康」と「お金の準備」は、誰もが不安に思うものです。定年退職や再雇用などで老後の収入が減ってしまうことを考えると、老後貯金は早めに準備しておくことが欠かせません。ではどうすれば、貯金を増やすことができるのでしょうか。

滝田 知歩

執筆者:滝田 知歩

初心者向け貯蓄に役立つ情報ガイド

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<目次>

プラス1000万円程度の資金をつくることを意識しよう

「人生100年時代」といわれ、平均寿命が延びるとともに長生きした際のお金の準備は、とても重要になっています。でも、老後資金を準備する必要があるのは分かっていても、いくら貯めればいいかなどは、漠然としていてイメージがわかないものです。そこで参考になるのが、総務省が発表している「家計調査報告(家計収支編)」のデータです。

家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要
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老後貯金を増やすポイントは5つ

こちらのデータによると、65歳以上の夫婦のみ無職世帯の1カ月の実収入は24万6237円(公的年金などの社会保障給付は22万418円)、支出は26万8508円(非消費支出と消費支出を合算)となっています。

また、65歳以上の単身者の1カ月の実収入は13万4915円(公的年金などの社会保障給付は12万1496円)、支出は15万5495円(非消費支出と消費支出を合算)となっています。つまり、夫婦では毎月約2万2270円、単身者では約2万580円の生活費が不足するということになるのです。

現在65歳で仮に85歳まで生きるとした場合、夫婦世帯なら約530万円、単身者では約490万円のお金が不足することが予測できます。またこのデータでは住居費について、夫婦世帯は月約1万6000円、単身者は月約1万3000円となっていることから、賃貸住まいの場合では支出がもっと多くなると考えられます。さらに旅行や趣味などを楽しむゆとりのある生活を送ろうとするのであれば、トータルで数百万円の上乗せ分が必要になります。

なお、いずれの場合も収入のうち約9割が公的年金などの社会保障給付となっていることから、年金額がこれよりも少ない場合は、さらに不足分が増えることになります。

ここでようやく、漠然としていた老後資金をいくら貯めればいいかがイメージできたと思います。お金があるに越したことはありませんが、上乗せ分も含めて約1000万円程度の資金があれば、ひとまず安心ですね。次は、不足分にどう備えるか、その戦略を立てていきましょう。

50代の人生の貯めどきを逃さない

貯金額を増やすためには、人生にある「3度の貯めどき」を意識することが大切です。貯めどきの1度目は独身時代、2度目は結婚して子どもにお金がかかるまで、そして3度目は子どもが独立して退職するまでです。

老後貯金への備えができるようになるのは、実質的には3度目の貯めどきとなるでしょう。なぜなら、子どもが独立するまでは、教育費やマイホームなどにお金がかかることから、老後資金を視野に入れて貯めることは、よほど収入に余裕がないと難しいからです。

子どもの独立後は、教育費や子どものレジャー費などの負担がなくなります。ようやく家計に余裕が出るこの時期に、財布のひもを締めることで、貯蓄額を大きく増やすことができます。

老後貯金を増やすポイントは5つ

それでは、家計の見直しを以下の5つのポイントの順に行うことで、老後貯金を増やしていきましょう。

ポイント1:子どもの独立による教育費と生活費の見直し

日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果」(令和3年度)によると、大学に通う子どもの1年間の在学費用は平均149万9000円となっています。つまり、子どもの独立後はこうした教育費の負担がなくなることに。「教育費の支払いがなくなって余裕が出たから、趣味や旅行を楽しもう」と油断せずに、その分をきちんと貯蓄に回す計画を立てることが大切です。

また、子どもの独立により、教育費だけでなく、生活費も削減されます。子どもの生活費は、食費や雑費、レジャー費や光熱費など、世帯全体の家計に組み込まれているケースが多いもの。独立を機に家計費を見直してみて、減った分の生活費も貯蓄することを忘れずに。

日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果」

ポイント2:生命保険の見直し

死亡保険は、世帯主に万が一のことがあった際、残された家族の生活保障のために加入するもの。そのため末っ子の誕生をピークに、子どもが成長するにつれて保障額を減額するのが合理的です。子どもが独立したあとは、配偶者の老後生活の不足分と葬式代を備えるつもりで、大幅に保障額を減額することで、保険料を抑えることができます。

なお保険を見直すときは、同じ保険で減額するか、別の保険に入り直すか、見積もりを比較して検討しましょう。

ポイント3:住宅ローンの借り換え

ポイント1、2の方法で、貯蓄額がある程度確保できたら、次は住宅ローンにも着手しましょう。退職後に住宅ローンが残ると、その後の支出に影響します。借り換えや繰り上げ返済などで、退職前に完済できるようにしましょう。

住宅ローンの借り換えは、今、組んでいる住宅ローンよりも低い金利のローンに変更することで、残りの期間の利息を減らすことができます。なお、住宅ローンの借り換えには諸費用がかかるので、諸費用を考慮しても効果があるようであれば、借り換えたほうがお得です。複数の金融機関に見積もりを取って検討するといいでしょう。

繰り上げ返済には、毎月の返済額を変えずに残りの返済期間を短くする「期間短縮型」と、返済期間はそのままで毎月の返済額を減らす「返済額軽減型」があります。利息軽減効果は「期間短縮型」のほうが大きいのですが、「返済額軽減型」は毎月の負担が軽くなります。いずれの場合も繰り上げ返済する資金を捻出できる人向きの方法だといえます。

ポイント4:早い時期に老後の生活費に合わせて生活

定年後も働くという人も多いですが、年金分をプラスしても、現役時代と同じだけの収入を確保するのは難しいもの。それならば今のうちに、老後の収入に合わせて、生活費を減額してしまうのも1つの方法です。

例えば月に2万円カットすると、1年間で24万円、10年間で240万円の支出減となり、その分を貯蓄に回すことができます。

ポイント5:妻が働く

老後を意識する年齢になると、夫が給与を増やすのはなかなか困難です。でも、専業主婦だった妻が働くことで、世帯全体での収入を増やすことは可能になります。

なお、妻が所得税を支払わずに、夫の会社から配偶者手当などが支給される場合にカットされない扶養の範囲で働くとなると、妻の年収は100万円を目安にするのがポイントです。つまり、月8万3000円程度の収入となるので、フルタイムではなく、アルバイトやパートタイム勤務ということに。

知り合いのお店で働いたり、趣味や特技を生かしたりした無理のない働き方を心がけましょう。月8万円の収入なら1年間で96万円、10年間で960万円貯蓄することができます。

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いかがでしたか? すべての見直しポイントを実践する必要はありませんが、老後資金を貯めるためのイメージができたのではないでしょうか。

なお、老後貯金づくりを実践するには、夫婦で同じ目標を持つことが大切です。まずは、老後はどんな生活を送っていきたいか、ご夫婦できちんと話し合って、貯めるモチベーションをアップしましょう。

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