持ち家の場合、老後資金はいくら必要?

人生100年時代を迎えるといわれ、老後に必要な資金を統計の平均値で計算すると約100万円の「不足」となります。実際には、住宅が持ち家か賃貸か、ローン返済が残っているか、生活スタイル、家族構成、住む地域などあらゆる条件によって、必要な老後の資金額も収入も大きく違います。

今回は、持ち家の世帯が65歳で定年退職した場合を前提として、いくら資金が必要なのか、そして資金不足の場合、どのようにして工面する方法があるかを解説します。今、やるべきことを考えるきっかけにしてください。
持ち家の時に必要な老後資金は2000万円?

持ち家の場合、必要な老後資金はいくら?

目次

老後の生活費はいくら?
老後はいつまで?
老後の資金を工面する方法
(1)リバースモーゲージ
(2)各都道府県の社会福祉協議会の不動産担保型生活資金貸付
(3)持ち家を売却する
(4)セール アンド リースバック
賃貸の場合、老後資金はいくら必要?
地方別の平均家賃
サービス付き高齢者向け住宅の費用はいくら必要?
まとめ
 

老後の生活費はいくら?

総務省の家計調査(2020年)によると、65歳以上の世帯主の可処分所得が23万円であるのに対して、支出は23万2000円。1カ月当たり2000円の赤字です。
持ち家・賃貸の老後資金

持ち家・賃貸の老後資金 (家計調査(総務省統計局)」より作成)

2018年以降の推移を見比べてみると、可処分所得が増えて支出が減ったため、不足額は激減しています。2年ほど前に話題になった老後資金2000万円不足問題ですが、現在の統計を基にすると100万円程度の不足になっています。

赤字は赤字ですので、この赤字がでないよう、貯蓄の取り崩しや資産の売却で資金を工面していくことになります。
 

老後はいつまで?

何歳まで生きるかなんて誰にもわかりませんが、平均余命と100歳まで生きた場合にいくら必要になるかを計算してみます。

平均余命は、厚生労働省の発表(※1)によると、65歳のとき男性が19.41年、女性が24.24年です。年齢に置き換えると男性が84.41歳(65歳+19.41年)、女性は89.24歳(65歳+24.24年)となります。

(期間):(時間) ×(不足額)=(必要な蓄え)
65~84歳まで:240カ月×0.2万円=48万円
65~89歳まで:300カ月×0.2万円=60万円
65~100歳まで:420カ月×0.2万円=84万円

あくまで単純に考えた場合の金額です。2018年の不足額は月5万円で、100歳までの必要額は2085万円です。2年で必要額が2000万円も減ってしまったことになります。

何が言いたいかというと、これらのデータに振り回されることなく、あなたの家計に置き換えて計算をやってみてほしいということです。
 

老後の資金を工面する方法

老後資金の不足額がわかったところで、その不足をどう埋めていくかを考えます。真っ当にお金を増やす方法といえば、以下の2つが考えられます。
 
  1. 支出を減らす・節約する
  2. 所得を得る(勤める、起業、資産運用による配当・利子・売却益)

また、持ち家の場合には、次のような方法でお金を調達することが可能です。
 

1. リバースモーゲージ

持ち家を担保にお金を借りることができる仕組みです。一部の銀行や信用金庫で取り扱っています。私のいる九州の場合、福岡銀行と西日本シティ銀行(どちらも福岡県にある地方銀行)だけしか取り扱っていないところを見ると、地方都市ではリバースモーゲージが成り立つ不動産が少ないのかもしれません。

この制度を使ってお金を借りた場合、一般的には亡くなるときまで元本を返済する必要がありませんが、毎月利息を支払わなくてはなりません。いくらくらい借りられるのかというと、土地の評価額の50~60%程度となります。

ここでいう評価額は、金融機関の評価額です。固定資産税路線価や相続税路線価よりもさらに低く設定されることがあります。
 

2. 各都道府県の社会福祉協議会の不動産担保型生活資金貸付

各都道府県の社会福祉協議会が提供している貸付です。毎月30万円を限度に生活資金として融資を受ける制度です。土地評価額の7割程度まで貸してもらえますが、月額30万円以内、土地評価額1000万円以上などの条件があり、実際にはあまり利用されていない制度のようです。

他にも65歳以上、住民税非課税世帯であること、推定相続人の中から連帯保証人1名以上などの要件があります。
 

3. 持ち家を売却する

売却した場合、一括で現金が入りますが、その後の住まいとして高齢者施設や賃貸住宅などを確保しておかなければなりません。相続も考慮して判断してください。

家を売るにあたっては、売り急げばプロの業者に買いたたかれることになるので、長期的な計画を立てて、早めに(頭も体も元気なうちに)売却活動を始めてください。許容範囲内の買付申し込みが入ったら、欲を出さずに決断することが早く売るコツです。
 
売却で得たお金は譲渡所得として、所得税や社会保険料に影響するので、売却後のお金のやり繰りに注意が必要です。
 

4. セール アンド リースバック

いったん売却をして、売った人からその家を借りて賃料を支払う仕組みが、「セール アンド リースバック」です。売却したあとも、そこに住み続けられるのが最大のメリットです。

欠点は、生涯借りられる(そこに住める)保証がないことと、賃料が割高であることです。10年くらいで元が取れるくらいの買取価格と賃料設定になると思われます。一部の不動産会社が積極的に行っているようです。問い合わせて見積もりを出してもらうとよいでしょう。
 

賃貸の場合、老後資金はいくら必要?

最後に、賃貸に住み替え、あるいは住み続けた場合の老後資金を見ていきます。
持ち家・賃貸の老後資金

持ち家・賃貸の老後資金

可処分所得から消費支出を引いた毎月の不足額は1408円です。100歳まで住み続けたとすると59万円の不足です。持ち家の場合より不足額は少ないということになります。
 

地方別の平均家賃

年齢別の家賃(国土交通省の調査)を全国・東京都・福岡県で比べてみると次のようになります。
持ち家・賃貸の老後資金

持ち家・賃貸の老後資金(「平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計より作成)

 
65歳以上の平均家賃は全国平均で4万4000円、東京が高く6万4000円、福岡は3万9000円です。
 

サービス付き高齢者向け住宅の費用はいくら必要?

健康でもバリアフリーや見守り、生活相談などサービスを受けられる住宅(サービス付き高齢者向け住宅)に住む場合、家賃・共益費・サービス費の平均月額は10万円前後(※2)です。
 
  • 全国     :10万7000円
  • 大都市  :12万5000円
  • 地方     :8万9000円
高齢になってからの住居は、お金だけでなく、自身の健康状況・家族関係にもよるので予測が立てづらいのですが、想定できる最大の費用を必要資金として準備しておくとよいと思います。
 

おわりに

前例のない超高齢時代を迎えています。何が起こるかわからないのに、お金だけで備えようとすると、何億円あっても不安な気持ちは晴れないかもしれません。だから今の自分自身の状況を把握して、何が起きても乗り切れるように、知識や稼ぐ力を身に付けておくことが一番の備えだと思います。

【出典】
※1:「第22回生命表」(厚生労働省・5年ごと調査、2017年の発表)
※2:サービス付き高齢者向け住宅に関する懇談会「サービス付き高齢者向け住宅の現状等」

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