退職金相場を比較!勤務年数や会社規模などでいくら違う?

退職金は、会社から退職した人に支払われるお金のことです。退職金には長い歴史があり、江戸時代の「のれん分け」が起源といわれています。退職金といえば、定年退職時に一括で支払われる退職一時金の印象が強いのですが、その他にも確定給付年金や確定拠出年金のように、年金として受け取る退職金もあります。
勤務年数別退職金相場を規模や地方別に比較

勤務年数別退職金相場を規模や地方別に比較

退職金のことを意識するのは、就職・転職先を選ぶ時、あるいは定年退職が近づいた時くらいでしょうか。しかし、転職・退職・起業の予定が当面ない場合でも、退職金は人生計画を立てる上で影響が大きいので、勤務先の退職金規程やご自身の退職金がいくらになるのかを確認しておきましょう。
 

勤務年数別・退職金の相場はいくら?

 
勤続年数別のモデル退職金(東京都の中小企業で自己都合退職の場合)

勤続年数別のモデル退職金(出典:東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版)」)


上の表は、東京都の中小企業の勤続年数別のモデル退職金です。モデル退職金とは、学校卒業後に入社し、標準的な昇進をした場合の退職金の水準のことです。

東京都の場合は、300人未満の事業者(中小企業)を対象とした調査を行っており、約1000社のデータを基にモデル退職金が算出されています。

表を見ての通り、勤務年数を重ねるごとに退職金額は増えていくのが一般的です。例えば、大学卒の人が勤続15年で自己都合退職した場合の退職金額は、214万9000円になります。グラフにすると次のようになります。
勤務年数別退職金額グラフ(自己都合退職)

勤務年数別退職金額グラフ(自己都合退職)

(出典:東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版)」を基に作成)


また、前回(2年前:平成30年)の調査と比べると、すべての階層で退職金は減少しています。
 
勤続年数別のモデル退職金今回と前回の比較

勤続年数別のモデル退職金今回と前回の比較(出典:東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版)」)

 

福岡県の中小企業の退職金比較

東京と地方の勤続年数別の退職金額を比べてみます。地方を代表して、福岡県のモデル退職金を使用します。
勤続年数別の退職金(福岡県の中小企業で自己都合退職の場合)

勤続年数別の退職金(福岡県の中小企業で自己都合退職の場合)

大学卒の場合、勤続年数5年を除いては東京の退職金の方が高く、年数が経過するごとに差は広がっているのに対し、高校卒では福岡の退職金が東京を上回っています。
 

退職の分類

ここまで自己都合退職金額のデータを見比べてきましたが、退職は「定年退職」「会社都合退職」「自己都合退職」の3つに分けることができます。

<定年退職>
定年退職とは、定年制度で定められた年齢の到来による退職のことです。定年制を設けている会社は全体の約95%あり、うち8割ほどが60歳定年です。平成17年の調査では60歳定年の割合が9割を超えていましたので、定年の年齢は上がっているようです(出典:厚生労働省『平成29年就労条件総合調査』)。

<会社都合退職>
会社都合退職とは、会社側の都合による退職のことです。例えば、経営不振・業績悪化によるリストラで労働契約を解除されることなどです。早期希望退職など、自己都合退職と比べて退職金が割り増しで支払われることがあります。

<自己都合退職>
自己都合退職とは、転職、引越しや結婚など自分の意思や都合で退職することです。
 

会社都合退職と自己都合退職の退職金比較

3つの退職では、退職の事由によって退職金額に差が出ます。自己都合と会社都合の退職金額の差がどれくらいあるのか、見てみましょう。東京都・大卒の勤務年数別の退職金額で比較してみました。
 
自己都合退職と会社都合退職の退職金の比較(出典:東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版)」)

自己都合退職と会社都合退職の退職金の比較(出典:東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版)」)


自己都合退職の退職金額は、会社都合と比べてかなり少ないです。自己都合の増減率(黄色い網掛部分)は勤続年数を重ねるごとに小さくなっています。これは、勤務年数が長くなるにつれ、自己都合と会社都合の差が縮まっているということです。
 

退職金給付は会社の義務ではない

退職金給付は企業の義務ではないため、退職金制度がない企業もあります。厚生労働省の調査によると、退職金制度がある企業の割合は、2018年時点で80.5%でした。前回調査(2013年)の75.5%と比べると、退職金制度のある会社は増えています。
退職給付(一時金・年金)制度がある企業の割合とその変化

退職給付(一時金・年金)制度がある企業の割合とその変化


企業規模別に見ると、1000人以上が92.3%、300~999人が91.8%、100~299人が84.9%、30~99人が77.6%となっていて、退職金(一時金・年金)制度の導入率と企業規模は比例しています。今回と前回を比較すると、会社規模が300人未満の中小企業で退職金制度の導入が進んだことがわかります。

ちなみに日本全国にある事業者数は、中小企業庁によると382万(2014年)あり、そのうち中小企業・小規模事業者は380.9万と99.7%を占めています。
 

勤続年数別の大企業の退職金

最後に大企業と中小企業の差を比べてみます。次の表は、資本金5億円以上、労働者1000人以上の企業から選定された380社のモデル退職金です。先に紹介した中小企業と比べると、どの年数でも大企業の退職金が上回っています。勤続30年の時には退職金額が2倍以上です。
大企業の勤続年数別退職金

大企業の勤続年数別退職金(出典:中央労働委員会「令和元年賃金事情等総合調査」)


福岡県の大企業と見比べてみましょう。
大企業の勤続年数別退職金福岡

大企業の勤続年数別退職金(福岡)

全国の大企業と比べ、勤続年数に対する退職金額の増え幅がかなり小さいです。地域の差がこれほど大きいとは思えませんので、調査対象を確認してみたところ、福岡県の統計では大企業の範囲を従業員数300人以上としていることがわかりました。

中央労働委員会の調査対象(資本金5億円以上、従業員1000人以上)とは、企業規模が異なっていることが差の原因と考えられます。
 

おわりに

勤続年数別の退職金相場をご紹介しました。退職金はライフプランを立てる上で重要です。これを機に勤務先の退職金規程やご自身の退職金がいくらになるのかをチェックしておきましょう。

【関連記事・動画をチェック!】  

■All Aboutで「毎月の家計」について、アンケートを実施中です!
回答いただいた内容をAll About記事企画の参考にさせていただきます
※毎月5名の方にAmazonギフト券1000円分をプレゼント

「毎月の家計についてのアンケート」に回答する


※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。