東京と地方の家計を比べてみました

日本人の3分の1が東京都市圏に集中しています。東京以外の地方は魅力がないのでしょうか。住まいの選び方は人それぞれなので、単純比較できるわけではありませんが、収入が多いことが1つの決め手になる人もいるかと思います。
都会と地方の収入・家計を比べてみました

都会と地方の収入・家計を比べてみました

東京は平均収入が高い、地方は低いというイメージがありますが、東京は物価も高いというイメージも強いです。そこで実際のところどうなのかを検証してみたいと思います。地方を代表して、著者が住んでいる福岡(九州地方)を比較対象とさせていただきます。

●目次
東京と地方の年収差は100万円以上
東京と地方の手取りを比べる
家計調査の手取金額
東京と地方の物価の差
家賃差だけで月8.5万円
持ち家(マンション)の場合
まとめ

 

東京と地方の年収差は100万円以上

国税庁の調査によると、東京の民間企業の平均年収は501万円、福岡(国税局管内:佐賀県・長崎県を含む)の民間企業平均年収は384万円です。その差は117万円とイメージ通り100万円以上の開きがありました(※1)。
 

東京と地方の手取りを比べる

平均年収から毎月の手取り額(可処分所得)を計算してみます。ボーナスなしで12カ月分が均等に支給されたとし、単純に12で割カ月り1カ月分の収入を計算します。
  • 東京:501万円 ÷ 12カ月 = 41.7万円
  • 福岡:384万円 ÷ 12カ月 = 32万円
東京-福岡の給与収入の差は、月9.7万円です。

そして手取額を計算します。給与から所得税・住民税、社会保険料を差し引きます。生命保険料控除や住宅ローン控除などの所得控除・税額控除はないものとすると、大まかな手取り額は次のようになります。
  • 東京:34.1万円
  • 福岡:26.3万円
給与総額は9.7万円の差でしたが、手取りでは7.8万円に縮まりました。
 

家計調査の手取り金額

総務省が実施している家計調査でも、手取額(可処分所得)を比べてみます。都と県のデータがないため東京都区部と福岡市のものを使用しました。

2019年(令和元年)分
  • 東京都区部:55.4万円
  • 福岡市:46.5万円
  • その差:8.9万円
世帯全体(勤労・二人以上世帯)の収入のため、収入額は国税庁の調査より多くなっていますが、その差8.9万円でした。ちなみに家計調査は、2020年の結果も出ていて、その差は6.4万円に縮まっています(※2)。
  • 東京都区部:58.9万円
  • 福岡市:52.5万円
  • その差:6.4万円
 

東京と地方の物価の差

東京と福岡の手取り収入は、月8万円程度の差があることがつかめたので、続けて支出を見ていきます。物価全体の差を確かめるため、地方別の消費者物価指数を見てみます。

10大費目別消費者物価地域差指数

10大費目別消費者物価地域差指数
総務省「小売物価統計調査(2019年)」を加工して作成。


表は、地方別と東京都・福岡県の物価の差を指数にした表です。例えば、「食料」の全国平均が1000円だとすると、関東地方では1012円、九州地方では976円ということです。関東地方・東京は、ほとんどの項目が全国平均を上回っていて、九州や福岡と比べると5%ほど高くなっています。中でも住居費の高さが目立ちます。
 

家賃差だけで月8.5万円

他と大きな差がある東京の住居費を実際の金額に置き換えてみたいと思います。2LDK~3DKの東京都の平均家賃相場は約15万円、福岡県の相場は約6.4万円です(著者調べ)。

ちなみに、福岡市中心部の最も人気のある地域ですら、平均家賃は13万円と東京の平均家賃に届かない水準です。平均家賃を比べると東京都が福岡県よりも8.5万円も高いという結果になりました。毎月の手取額の差が8万円だとすると、家賃差だけで手取額の差がなくなるということです。
 

持ち家(マンション)の場合

持ち家の場合も比較してみます。住宅ローンのフラット35利用者のうち、マンションを購入した人の「1カ月当たり予定返済額」を使って比較します(※3)。
  • 東京都:14.5万円(平均購入価格:5464万円)
  • 福岡県:10.0万円(平均購入価格:3623万円)
東京と福岡の毎月のローン返済額の差は4.5万円です。手取りの差額を埋めるほどの差はありませんでした。
 

まとめ

東京と地方の収入は、100万円以上の差があるけれど、東京の物価、特に住居費が高いため、自由に使えるお金にはほとんど差がないといえそうです。ただし、住居を購入するなら、東京の方が少しだけ有利ということがわかりました。

今回紹介したデータは平均です。金額の単純比較だけで判断することはないと思いますが、もし就職・転職先を目先の収入で東京にするか、地方にするかで迷っているような状況なら、支出や自由に使えるお金も計算してみてはどうでしょうか。


【データ出典】
※1:国税庁「民間給与実態統計調査(令和元年分)」​​​​​​
※2:総務省「家計調査結果(2019年、2020年)」
※3:住宅金融支援機構「2019年度フラット35利用者調査(マンション)

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