効果がないは大間違い!音読は全ての学力の基礎
音読に効果がないって?大間違い!音読は読み方しだいで読解力の基礎となるとても大切なもの
昔のauのCMで、
「鏑木だよ」
「読めねーよ」
とメールでやりとりをするシーンがありました。
昔の知り合いに会ったという設定なのに、名字が読めないとはいったいどういう関係だったのか疑問ですが、このように「読めない字は覚えられない」のです。
ですから、まず音読して読めるようにすることが何においても大切なのです。音読は、国語に限らず英語や算数・数学でも重要で全ての学力の基礎となります。
音読の効果
音読には、ワーキングメモリーと呼ばれる記憶力を鍛える効果があります。国語が苦手な人の中には、教科書を読んでいても、内容が全然頭に入ってこないという人がいます(そういう私も、小中学生の頃はそうでした)。読んでいる間に、読んだことをどんどん忘れてしまうのです。これはワーキングメモリーの機能が弱いため、起こる現象です。
穴の空いたバケツに水を入れるところを想像してみてください。たくさん水を注いでも、大きな穴が空いていたら、バケツに水はたまりません。
この場合、注いでいる水が読んでいる内容で、バケツが頭ということになります。
バケツに水をためるためには、穴をふさぐしかありません。音読してワーキングメモリーを鍛えることで、“バケツの穴”は少しずつふさがるのです。
効果ある音読の方法
音読といえば、ただ国語の教科書を読むだけと思っている人もいるかもしれません。しかし、それだけではありません。「句点読み(。読み)」「模範読み」「高速読み」「間違えたら一番最初から読み直し読み」などなど、狙いに応じて、実にたくさんの音読の仕方があります。■句点読み(。読み)
「句点読み(。読み)」は、句点(。)までの一文を一人が読む音読の方法です。最もポピュラーな読み方で、グループで読むなど読み手が多いときに向いています。親子で読む場合や兄弟姉妹がいる場合にもできます。
■模範読み
「模範読み」とは、先生や親がまずお手本として読み、それに続いて子どもが同じところを読む音読方法です。句読点で区切りながら読むとよいでしょう。
■高速読み
高速読みは、読むスピードをつけるために、できるだけ速く読む音読方法です。「ごにょごにょ」とごまかして読むのではなく、一語一語はっきりと発声しながら、できるだけ速く読むようにしましょう。
■間違えたら一番最初から読み直し読み
間違えたら一番最初から読み直し読みは、文字通り間違えたりつまったりしたら、最初に戻って読み直す音読方法です。緊張感をもって読む練習になります。
このように、メリハリをつける工夫をすると、楽しく、そして、ためになる音読ができます。
何回も音読する必要なし
音読というと、何回も何回も読む必要があると思っている方もいるようです。しかし、必ずしもそうではありません。文章を何回も読んだグループ(A)と、読んだ内容を思い出す練習を何回もしたグループ(B)とで、どれだけ文章を理解していたかを調べた実験があります。
結果は、思い出す練習を何回もしたBのグループの方が成績が良かったのです。これは検索練習といって、思い出す練習をすることで、覚えたことが定着することを示しています。
音読は、まず、書いてある文章を理解するために必要なことです。ただし、一通り読めるようになればそれでよく、何回も何回も読む必要はないのです。
それよりも、音読+「どんなお話だった?」など、内容について質問することで読解力が高まることを示しています。
音読は、国語に限らず英語や算数・数学でも重要
音読というと、国語をイメージする人が大半でしょう。しかし、国語に限らず、英語や算数・数学、社会や理科でもできるのです。英単語は、「f(フ)、rie(レ)、n(ン)、d(ド)」とつづりと読みを対応させながら書いたり、「エフ、アール、アイ、イー、エヌ、ディ」とつづりを声に出しながら書いたりすることで覚えられます。教科書の英文もすらすら読めないと内容は理解できません。
算数が苦手な子は、平方センチメートルと上手に言えないことがよくあります。九九はすらすら言えないと、覚えているとは言えませんよね。やはり、言えないものは覚えられないのです。
中学校では解の公式を習いますが、「2エイ、ぶんの、マイナスビー、プラスマイナス‥‥」と、まず声に出して言えるようにしないと覚えられません。
墾田永年私財法(こんでんえいねんしざいのほう)と言えないことには、答えを書くことができません。それに、墾田=田を耕す、永年=ずっと、私財=自分のものと、漢字の意味を考えればどんな法律なのかがわかります。
このように、音読とはただ声を出して読めばよいというわけではなく、ねらいに応じて工夫しながら読むことで、読解力の向上につながるとても重要なものなのです。
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